若い人ほど障害厚生年金がお得な理由【新社会人】
2017.04.14
新社会人の皆さん、厚生年金についてどんなイメージを持っていますか。
正直なところ、「給料から天引きされる保険料が高すぎる」という以外に、具体的なイメージはないかもしれません。
特に「どんなメリットがあるのか」と聞かれれば、即答は難しいのではないでしょうか。
健康保険は、病院に行ったときに3割負担ですむとか、医療費が高額になれば差額が戻ってくるとか、病気で仕事ができず給料がなかったときに傷病手当金がもらえるとか、いろいろとメリットがイメージしやすいのですが、厚生年金保険となると具体的なメリットがイメージしにくいものです。
「老後に年金をもらうために保険料をはらっているんでしょう」という人、たしかにそれは正解です。
でも、それだけではありません。
厚生年金保険は、若い人ほど恩恵を受けられる点があるので、今回はそれをご紹介しておきます。
それは「障害厚生年金」です。
ちなみに、老後にもらえる厚生年金は「老齢厚生年金」といいます(この他にも「遺族厚生年金」などがあります)。
障害厚生年金について、かなりざっくりと説明すると、①初めて病院に行った日に厚生年金に加入していた人が、②一定程度以上の障害が残った場合にもらえる年金です(他にも保険料を一定期間ちゃんと納めていることなどの要件がありますので、詳しいことは、日本年金機構のホームページでご確認ください)。
この障害の原因となった病気やケガは、仕事上のものに限りません(休日にレジャーで交通事故に遭ったような場合も含まれます。なお、仕事上の原因の場合には労災保険からもお金がもらえる場合があります)。
そして、この障害厚生年金の計算方法なのですが、こちらもかなりざっくり説明すると
(賞与を含めた平均月収)×約0.55%×(厚生年金に加入していた月数)+配偶者がいる場合加給年金(約22万円)
というものです(障害等級2級の場合)。
たとえば、平均月収20万円の人(正確には標準報酬月額や標準賞与額という数字を用いるのですが、ここではイメージしやすいように単純化して計算します)が、入社1年後(配偶者なし)に障害が残った場合、
その障害厚生年金の年額は
20万円×約0.55%×12ヶ月=約1万3200円
となりそうです・・・
「え、年額でたったのこれだけ? どこかお得なの??」と思われたかもしれませんが、この話には続きがあります。
実は、厚生年金に加入していた月数が300ヶ月(25年)未満の人は、一律300ヶ月として計算するというお得な制度があるのです。
すると
20万円×約0.55%×300ヶ月=約33万円
となり、元の計算の25倍の障害厚生年金がもらえることになります。
1年間しか厚生年金保険料を払っていないのに、25年間分払ったこととして年金がもらえるというのは、かなりお得な制度ではないでしょうか。
ちなみに、遺族厚生年金にも同じような制度がありますが、こちらは配偶者や子、親などが本人の給料によって生活している場合にしかもらえないので、新社会人さんに当てはまるケースは少ないかもしれません(それに、遺族厚生年金は自分が死んでしまった場合に、遺族がもらえる年金ですので、自分で使えるわけではありません)。
さらに、障害等級が2級以上の場合には、障害厚生年金に併せて、障害基礎年金(2級の場合は年額約78万円)がもらえます(なお、2級以上の障害基礎年金がもらえない場合=主に障害厚生年金3級の場合には、障害厚生年金の額は障害基礎年金2級の場合の4分の3が最低保障額としてもらえます。平成29年度の場合、最低保証額は584,500円です)。
すると、この例の場合(2級の場合)には、年額にして、障害厚生年金(約33万円)+障害基礎年金(約78万円)=約111万円がもらえることになります(この計算はかなりおおざっぱなものですので、実際にどれくらい障害年金がもらえそうかは、社労士さんやFPなどにご相談ください)。
このように、障害厚生年金が若い人ほどお得になるというのは、25年間働いたことにして計算してくれるという点です(ちなみに障害基礎年金に関しても、40年間満額保険料を支払ったことと同じ額がもらえるので、こちらもかなりお得な制度です)。
「年金なんて自分には関係のない話」なんて思っていた人も、年金もいざというときには意外と頼りになってくれると思えば、高い保険料にも少しは納得できるのではないでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。