ユーミンとみゆきさんの世界 【月曜日のロボット】【Maybe】

2020.05.21

ユーミン&みゆきさんの楽曲聴きくらべ

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今回は、ユーミンこと松任谷由実さんと中島みゆきさんの気になる楽曲を聴きくらべてみる企画です(もしかしたらシリーズ化も?)。

ユーミン&みゆきさんのファン歴30年以上の筆者が独断と偏見に基づいて、気ままに話をさせていただきます。

よろしければおつきあいくださいませ。

 

今回は「働く女性のライフスタイル」という視点から、つぎの2曲を紹介します。

  • 『月曜日のロボット』(作詞作曲 松任谷由実 アルバム『ダイアモンドダストが消えぬまに』収録)

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  • 『Maybe』(作詞作曲 中島みゆき アルバム『歌でしか言えない』他収録)

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の2曲です。

いきなり渋いところから始めていきます。

この2曲、ファンであればご存じかと思いますが、そうでないひとは「?」かもしれません。

 

個人的な思い入れで申し訳ないのですが、ユーミンのアルバム『ダイアモンドダストが消えぬまに』は初めて購入したCDで、その一番最初に収録されている楽曲が『月曜日のロボット』なのです。

この楽曲は「カタカタカタカタ・・・」というタイプライターを打つ音から始まります。

なので最初に聴いたときは、「あれ、音が小さい?」と思ってCDラジカセの音量を上げてしまって、イントロが始まったとたんに爆音になるという事故を起した思い出があります。

ちなみに初めてみたユーミンのライブも『DIAMOND DUST』コンサートツアー(1987-88年)でした。

コンサートのオープニングで「カタカタカタカタ・・・」というタイプライターを打つ音がきこえてきたときには全身がしびれました。

 

対して『Maybe』は、1990年の「夜会1990」(第2回)のために書き下ろされた楽曲です。

「夜会」というのは、みゆきさんが脚本を作り、みゆきさんの楽曲で構成された音楽劇のようなものです。

コンサートともオペラやミュージカルとも違うステージで、みゆきさんの世界観が楽しめます。

この「夜会1990」は実際にみることはできなかったのですが、幸いなことにビデオ化(当時)されていて、貴重な夜会を映像で楽しむことができました(ちなみに初めてみた夜会は、1992年の「夜会VOL.4 金環蝕」です)。

当時のアーティストはあまりライブビデオを出していなかったので、何度も繰り返しみた記憶があります。

 

働く女性のライフスタイル

『月曜日のロボット』と『Maybe』は、ともに働く女性のライフスタイルが描かれています。

ただ、そこで描かれる主人公のライフスタイルはかなり対比がはっきりとしています。

ひとことでいえば「受け流す生き方」と「抗う生き方」というのでしょうか。

仕事の内容も、当時でいうところの、一般職(事務職)と総合職の違いがあるのかもしれません。

 

『月曜日のロボット』の主人公は、日々のルーティンを淡々とこなしていきます。

朝起きて、電車に乗って、出勤して、オフィスワークをこなして・・・

まさにロボットのようにルーティンをこなしていきます。

そんな彼女のライフスタイルは、

” 知らないことは 悩まなくていい ”

とどこか受け流している印象です。

ただ「虚ろな 迷宮」のような毎日にはちょっとつかれているよう。

そんな現状からいつか救い出してくれる、まだ見ぬ「あなた」を夢見て、「熱いプラズマ」を自分に吹き込んでいきます。

 

これに対して『Maybe』の主人公はとにかく抗っています。

高層ビルの谷間を風に吹かれながら、大きな荷物をかかえて颯爽と歩いています。

キャリアにおいて上昇志向のある女性のようで、感情的にならず、弱気にならずと、どこにも隙のない自分を作り上げています。

でも内心では仕事がうまくいかず(意気込んでいったプレゼンで失敗したのでしょうかね)、悔しい思いをしているよう。

もしかしたら、女性であるということが仕事上で不利に働いているのかもしれません。

それでも彼女は、

” なんでもないわ私は大丈夫 ”

と自分に言い聞かせ「唇かみしめて胸をそらして歩いていく」のです。

「もしかしたら・・・」と夢を見ながら。

 

最大の推しポイントは二人の意外な共通点

そんな対照的な二人ですが、実は意外な共通点が描かれています。

ここは歌詞をじっくり読んでみましょう。

  • 甘い夢は鋼鉄のマスクの ああ 下に秘めて レスト・ルームのひとりの鏡で そっとウィンクしてみる “ (『月曜日のロボット』 (作詞 松任谷由実))

 

  • 思い出なんか何ひとつ私を助けちゃくれないわ 私をいつも守ってくれるのはパウダールームの自己暗示 “(『Maybe』(作詞 中島みゆき))

お化粧直しの際に気持ちをリセットして「仕事の自分」に戻っていく二人の女性の姿が、ユーミンとみゆきさんのそれぞれの視点で見事に描き出されています。

恋愛の成就と仕事での成功。

この二人の見ている「夢」は多分違うのでしょう。

それでも、1980年代後半の世界を生きている二人の主人公の姿が、ユーミンとみゆきさんの中で一瞬リアルにシンクロします。

一瞬重なった二人は、また「受け流す」自分と「抗う」自分に戻っていきます。

もしかしたらこの二人はどこかですれ違っているかもしれません。

ここが最大の推しポイントだったりします。

働く女性という意味でみゆきさんの『Maybe』と比べるなら、ユーミンの『メトロポリスの片隅で』もいいかもと思ったのですが、この推しポイントがあったので『月曜日のロボット』を紹介してみました。

 

ライブ映像は必見

この2曲は、誰でもが知っている有名曲というわけではないので、ご存じないひともいると思います。

CDで聴くのもいいのですが、ありがたいことにライブ映像化されています。

『月曜日のロボット』は、『TIME MACHINE TOUR Traveling through 45 years』(2018-19年)でみることができます。

この『TIME MACHINE TOUR Traveling through 45 years』はユーミンのこれまでの45年間のステージを再構成して、新たなショーをつくり出すという壮大な試みでした。

ユーミンのこれまでのステージパフォーマンスが凝縮された、ライブステージのベスト盤とでもいうのでしょうか。

とくに『DIAMOND DUST』コンサートツアー(1987-88年)のオープニングを再構成した『月曜日のロボット』は必見です。

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『Maybe』は、少し古い作品ですが『夜会1990』に収録されています(この夜会のための楽曲ですし)。

映像化された「夜会」のなかでは最も古いもので、「夜会」の原点のような作品です。

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また最近のものであれば『夜会工場VOL.2』(2017-18年)にも収録されています。

「夜会工場」とはこれまでの夜会で行われたステージを再現したガラコンサートです。

懐かしい夜会のシーンが次々と再現されるステージはまさに圧巻でした。

みゆきさんだけでなく、これまでに夜会に出演された人たちも参加されています。

夜会工場VOL.2』では、『Maybe』を中村中さんが歌っておられます。

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今回はユーミン&みゆきさんの対照的な2曲をご紹介してきました。

正直どの楽曲も好きすぎて、ふだんは冷静に分析することってあまりありませんでした。

たまにはこうやって聴きくらべてみるのも新鮮な気持ちになります。

ここまでおつきあいいただき本当にありがとうございました。

次回は(あるとしたら)「お土産」をテーマにしてみようと思っています。

そのときはまたお読みいただければ光栄です。
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