スキルアップのための給付金を利用するには【新社会人】

2017.06.29

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今回は、雇用保険の「一般教育訓練給付金」について考えてみたいと思います。

 

雇用保険というのは社会保険(労働保険)の一つで、新社会人の皆さんも、給料明細の控除欄に「雇用保険料」として毎月保険料が引かれていると思います(厚生年金保険料や健康保険料に比べると少額だと思いますが、それでも毎月雇用保険料を負担しているはずです)。

雇用保険と聞いて、一番最初に思いつくのは、仕事を辞めて、次の就職先を探している間(求職中)に、ハローワークに行けばもらえる給付金(求職者給付)だと思います。

これは、仕事を辞めて給料が入ってこなくなった場合でも、雇用保険から給付金をもらいつつ、次の就職先を探せる制度です。

ある程度の収入を確保しつつ次の就職先を探せるという点で、とても頼りになる保険だと思います。

ただ、雇用保険の給付は、この求職者給付だけではありません。

求職者給付の他に、「就職促進給付」、「雇用継続給付」という制度もあります。

新社会人の皆さんも、就職促進給付の中では「再就職手当」(ハローワークからもらえる再就職の祝い金のようなもの)、雇用継続給付の中では「育児休業給付」や「介護休業給付」などは聞いたことがあるかもしれません。

これらの制度は、求職中や休業中の収入の確保や、再就職の際の支度金のようなものであり、困ったときに収入が大幅に減らないように填補するものだと言っていいでしょう。

それに対して、雇用保険には、もうひとつ、収入を上げるための制度が用意されています。

それが、「教育訓練給付」です。

教育訓練給付とは、働く人の主体的な能力開発の取組み又は中長期的なキャリア形成を支援するためのものであり、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的とする雇用保険の給付制度です。

制度の趣旨としては、雇用の安定と再就職の促進を図るものですが、要は、スキルアップのために経済的なバックアップをしてくれる制度であり、実質的にはスキルアップによって収入を上げるための制度と言っていいでしょう。

教育訓練給付の中には「教育訓練給付金」という制度があり、その中でも「一般教育訓練給付金」と「専門実践教育訓練給付金」という制度があります(専門実践教育訓練給付金は、まさに専門的な学校で資格をとるような場合であり、要件も厳しく、なかなかハードルの高いところもありますので、今回は一般教育訓練給付金について紹介していきます)。

 

一般教育訓練給付金の支給対象者は、

①受講開始日現在で雇用保険の被保険者等であった期間が3年以上(初めて支給を受けようとする人については、当分の間、1年以上)あること

②受講開始日時点で被保険者でない人は、被保険者資格を喪失した日(離職日の翌日)以降、受講開始日までが1年以内(育児や疾病などの理由で適用対象期間の延長が行われた場合は最大20年以内)であること

③前回の教育訓練給付金受給から今回受講開始日前までに3年以上経過していること

厚生労働大臣の指定する教育訓練を受講し修了すること

などの要件を満たした人です。

新社会人の皆さんが仕事を続けつつ、この一般教育訓練給付金を初めて受給する場合、②と③の要件はあまり関係がないと思いますので、①1年以上雇用保険の被保険者であった段階で対象の教育訓練講座の受講を開始し、④それを修了することが必要になるということです。

こう聞くと、意外と使いやすそうな制度だと思いませんか。

そして、支給額ですが、教育訓練施設に支払った教育訓練経費(入学金や受講料)の20%に相当する額となります。

ただし、その額が10万円を超える場合は10万円とし、4000円を超えない場合は支給されません

たとえば、20万円の経費がかかった場合には支給額は4万円(=20万円×20%)ですが、60万円の経費がかかった場合には支給額は10万円ということです(60万円×20%=12万円ですが、10万円を超えているので、この場合10万円が限度になるということです)。

また、経費が1万円しかかからなかった場合には、支給はされません(1万円×20%=2000円ですが、4000円を超えていないので、支給されないということです)。

支給申請手続は、教育訓練を受講した本人が、受講修了後、原則として本人の住所を管轄するハローワークに対して、必要書類を提出することによって行います(支給申請の時期については、原則として、教育訓練の受講修了日の翌日から起算して1か月以内に手続を行う必要があります)。

詳細については、ハローワークインターネットサービスをご参照のうえ、最寄りのハローワークで確認してください。

 

以上のように、一般教育訓練給付金は、10万円という限度はありますが、スキルアップできたうえに、払ったお金の20%が支給されるという、かなり嬉しい制度だと思います。

それに、一般教育訓練給付金の対象となる教育訓練講座は、資格の予備校等にも用意されていますし、通学だけでなく通信でも対象となっている講座もあります。

一般教育訓練給付金は、新社会人の皆さんにとって、入社してすぐに使える制度ではありませんが、1年後を見据えて、対象講座を探すなど、今からスキルアップのための準備をしてみてもいいかもしれません。

雇用保険は、仕事を辞めたり、休業したりしたときに使うものという思い込みを捨てて、在職中でも、せっかくもらえる給付金をしっかり活かしていきましょう。

スキルアップをして、収入アップを図ってください。

最後まで、お読みいただき、ありがとうございました。