厚生年金しか払っていませんが、将来国民年金ももらえますか?【年金の常識5】
2018.08.17
いまさら聞けない 年金の常識(5) ~厚生年金保険料と国民年金受給金額の関係
オフィス北浦のブログサイトにようこそおいでくださいました。
「いまさら聞けない 年金の常識」シリーズです。
社会保険労務士である筆者が受けた相談や質問から、意外と間違えやすい年金の仕組みを回答していきます。
第5回目の質問はこちらです。
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質問「厚生年金しか払っていませんが、将来国民年金ももらえますか?」
回答:はい、もらえます(資格期間が10年以上必要です)。厚生年金の被保険者は、原則として国民年金の第2号被保険者となりますので、その期間(20歳以上60歳未満)は国民年金の老齢基礎年金の受給金額にも反映されます。
会社員などの厚生年金の被保険者は、国民年金の第2号被保険者となりますが、国民年金保険料を別途支払う必要はありません。
厚生年金の保険料には、国民年金の保険料に相当する部分が含まれているとお考えください。
国民年金保険料を支払う義務があるのは、自営業者などの国民年金第1号被保険者です。
ただし、将来老齢年金をもらうには、保険料納付済期間(国民年金の保険料納付済期間や厚生年金保険、共済組合等の加入期間を含む)と国民年金の保険料免除期間などを合算した資格期間が原則として10年以上必要です(ちなみに、平成29年7月31日までは、この資格期間が25年以上必要でしたが、法律が改正されて同年8月1日から10年に短縮されました)。
ざっくり言えば、厚生年金に加入していた期間と、国民年金の保険料を支払った期間などが合わせて10年以上必要というわけです(正確には、国民年金第3号被保険者であった期間や、ちゃんと手続きをとって国民年金の保険料の免除や猶予を受けた期間なども、この10年間には含まれます)。
この点、厚生年金と国民年金の加入期間が、それぞれ最低10年必要と勘違いされている人がいらっしゃいますので、お間違えのないようにお願いいたします。
合わせて10年以上あれば大丈夫です(必ずしも老齢基礎年金を満額もらえるわけではありません)。
逆に言えば、資格期間が合わせて10年にも満たない場合には、老齢年金は原則もらえないというわけです。
たとえば、会社員(厚生年金の被保険者)を5年間続けた後、自営業を始めて国民年金の第1号被保険者となった場合には、最低あと5年間は国民年金保険料を納めないと、原則として、国民年金だけでなく厚生年金についても、一切老齢年金はもらえなくなります。
その場合、かけた保険料はもどってくるのかといえば、原則として、そのような制度はありません。
もったいない話ですが、掛け捨てになります。
せっかくかけた保険料を無駄にしないためにも、国民年金の保険料はしっかり納めましょう。
経済的に国民年金の保険料を納めることが困難な場合にも、免除や猶予の制度が使える場合もありますので、あきらめずに行政機関の窓口などで相談してみてください。
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