自分より年金を多くもらっている人が臨時福祉給付金をもらえる理由

2017.04.05

平成29年4月、各自治体では、「臨時福祉給付金(経済対策分)」の申請受付が始まっています。

期限のあることですので、詳細は各自治体に確認のうえ、申請忘れのないようにしてほしいところですが、最近、ある年金受給者の方から、臨時福祉給付金について次のようなことを聞かれました。

「私は臨時福祉給付金をもらえません。でも、近所の人は私より年金をもらっているのに、臨時福祉給付金がもらえるそうです。なんででしょうか?」というものです(以下、質問された方をAさん、「近所の人」をBさんとします)。

そんなことがあるのかなと思って、少し詳しく事情を聞くと、段々と理由が浮かんできました。

多分、理由として考えられるのは、もらっている年金の種類です。

Aさんは老齢(厚生)年金、Bさんは遺族(厚生)年金のようなのです。

臨時福祉給付金をもらうには、色々な要件がありますが、今回の場合、原則として「平成28年度分の住民税が課税されていない方」が対象です。

そして、意外と知られていないのですが、「遺族年金は非課税」だということです。

つまり、Bさんは、年金はもらっているが、それが遺族年金で非課税なので、臨時福祉給付金の対象になっているのではないかと思われるのです。

これに対してAさんの老齢年金は、課税されます。

ただ、老齢年金でも住民税が非課税となる場合があります。

たとえば、私の住む地域(萩市)の場合、控除対象配偶者などがいない方なら、合計所得金額が28万円以下の方が非課税となります(均等割)。

65歳以上のAさんの場合、年金収入から公的年金等控除120万円を引いた所得金額が28万円以下になれば非課税になるというわけです(逆にいえば老齢年金が148万円を超えると課税対象)。

ちなみに、これを非課税限度額といいますが、この非課税限度額は自治体により異なるので、注意が必要です。

話を聞くと、Aさんの年金の所得金額は、非課税限度額を若干超えているようでした。

Aさんには、「Bさんから話を聞くわけにもいかないので、あくまで推論ですが」と前置きをしたうえで、一般論として、遺族年金の非課税性と住民税の非課税限度額の説明をしました。

Aさんは「比べるものではないとはわかっていますが、私より年金額が多いと言っていたBさんが、さらに臨時福祉給付金までもらえるというのは、やっぱりどこかひっかかりますね」と複雑な表情をしておられました。

遺族年金が非課税であるのはそれなりの理由があることなので、ここでそれを批判するつもりはありません(課題のひとつだとは思っていますが)。

また、臨時福祉給付金は、収入の低い方にとって、本当にありがたい制度だと思っています。

ただ、臨時福祉給付金をもらえない人(とくに収入がギリギリ超えてしまってもらえない人)からすれば、「はいそうですか」と簡単に納得のできる話でもないんだろうなとも思っています。