ボーナスについてちょっと考えてみた【新社会人】

2017.04.19

今回は、「ボーナス」のお話です。

夏と冬にボーナスがある場合、4月に採用された新社会人さんが本格的にボーナスをもらえるのは、今年の冬からになると思いますが、今から楽しみにしている人もいるのではないでしょうか(ちょっと気が早いですが)。

ただ、「月給の何か月分がもらえる」とか話はきいているけど、ボーナスについてちゃんと説明できる人はどれだけいらっしゃるのでしょうか。

パートさんやアルバイトさんはもらえない人が多いのに、正社員だけがもらえたり、その一方で、大企業でも業績悪化でボーナスがでないってニュースがあったり・・・ボーナスってわかっているようでよくわからないところがあります。

そこで、ボーナスとは何で、誰がいつもらえるものなのかについて、少し考えてみましょう。

ボーナスを支払うことは、会社の法律上の義務ではない

ボーナスは、「一時金」と言ったり、「賞与」と言ったりもします(ここでは「ボーナス」といいます)。

労働基準法では、ボーナスも賃金のひとつで、労働者が働いたことによる対価です。

ただ、普通の賃金(月給など)は毎月1回以上払わないといけないのですが、ボーナスはその例外であり(労働基準法24条)、「半年に1回」だとか「臨時に」だとかで払うことができます。

そして、ボーナスは法律上必ず払わないといけないわけではなく、払うと決めた場合にのみ、それが労働条件になるという特徴があります(これは、ボーナスを払う決まりを作ったら、会社にはボーナスを払う義務が生じるということです)。

なので、「うちの会社はそもそもボーナスない」ってとこもありますし、「正社員はボーナスあるけど、パートさんやアルバイトさんにはない」というところもあります(むしろパートさんやアルバイトさんにはボーナスがないとか、あっても少ないという決まりのところが多いのが現状です)。

ボーナスを払う決まりがあっても、必ず毎回もらえるとは限らない

ボーナスを払う決まりは、普通は就業規則に定められます。

就業規則には会社と労働者の基本的な約束事が記載されており、会社も労働者もこれに従う義務があります。

では、就業規則にボーナスの定めがあれば、ボーナスは保障されたものになるのでしょうか。

就業規則は会社毎に内容が違うので、一概には言えないのですが、ここでは、次のような就業規則があるとして考えてみましょう。

 

「(賞与)第××条 会社は、会社の業績、従業員各人の査定結果、会社への貢献度等を考慮して、賞与を支給するものとする。ただし、会社の業績状況等により支給しないことができる。

2 賞与の支給時期は、原則として、毎年6月及び12月の会社が定める日とする。

3 賞与支給額の算定対象期間は、次の各号のとおりとする。

(1)6月支給分:下期決算期(前年10月1日から当年3月31日まで)

(2)12月支給分:上期決算期(当年4月1日から当年9月30日まで)

4 賞与の支給対象者は、賞与支給日において在籍する者とする。」

 

第1項のただし書をみてください。

「ただし、会社の業績状況等により支給しないことができる。」とあります。

これは、平たく言えば、「普通ならボーナスは支払うけど、会社が大変なときには払わないこともある」って書いてあるのです。

つまり、100%ボーナスがもらえると保障されているわけではないってことです。

ただ、逆に言うと、ボーナスが出ないのは、客観的に会社の業績が深刻に悪化している場合など例外的な場合に限られ、社長の気分次第でボーナスを出したり出さなかったりできるというわけではないということです。

対象期間に働いていても、ボーナスがもらえない人がいる

次に、ボーナスの支払い条件を確認してみましょう。

この就業規則の例では、2項で、ボーナス支払い月が6月と12月と定められています。

また、3項で、6月支払い分は前年10月~当年3月までの期間の従業員の働きぶりなどをみて決める(12月支払い分は当年4~9月までの期間が対象)と定められています。

たとえば、4月に入社した新社会人さんは、6月支払い分のボーナスはなく(対象期間に働いていないため)、入社後、4月から9月にしっかり働いた分が12月のボーナスに反映されるということです。

ただ、色々な事情があって、それまでにどうしても会社を辞めなければならないという人もいるかもしれません。

たとえば、9月末日付で退職した人がいるとします。

この人は12月分のボーナスはもらえるのでしょうか。

結論から言えば、就業規則上はもらえません。

理由は4項で「賞与の支給対象者は、賞与支給日において在籍する者とする。」と定めてあるからです。

これは、「3項の対象期間に働いていた人でも、実際の支給日に社員でない人にはボーナスは払いません」という意味です。

つまり、9月末日付で退職した人は、4月から9月の6か月間しっかり働いていても、12月のボーナス支払い日に社員ではないので、ボーナスはもらえないということになるのです。

毎月の給料であれば、給料の締日までに辞めた人でも、働いた分の給料は法律上必ず払わないといけない(日割りで計算したりします)のですが、このような就業規則がある場合、ボーナスはそういうわけにはいかないのです。

「辞めるならボーナスもらってからにすれば?」なんてことを先輩から言われることがあるかもしれませんが、これはそういう理由からのアドバイスだと思います。

就業規則などでボーナスの条件を確認しておこう

今回は、架空の就業規則をもとに、ボーナスがもらえる条件を考えてみました。

しかし、この就業規則は会社によって異なります。

そもそも就業規則は周知されてこそ、その効力が生じるのですが、実際問題として、就業規則を知らない人が多いのも事実です。

会社が意図的に社員に知られないようにしている悪質なケースもありますが、社員の側も、こまかいことにはあまり興味がないって事情があるのかもしれません。

ただ、賃金(ボーナスを含む)や福利厚生などの「お金」に関わる部分は、しっかり就業規則や各種規定で確認しておいて損はないと思います。

これを機会に、会社の就業規則をそれとなく確認されてみてはいかがでしょうか。