社会に出るまでに勉強してほしい資格 FP3級のお勧め度
2017.04.07
オフィス北浦のファイナンシャルプランナーの徳本です。
今日は、学生さんに「社会に出るまでに勉強してほしい資格」としてFP3級をお勧めしたいと思います。
FPが何を手前味噌なことを言うのかと冷笑されそうですが、いくつかの資格試験に挑戦している私が、本当にお勧めするのが、このFP3級なのですから、そこは堂々とお勧めしたいと思っています。
なお、ここでは特定の講座や教材などをお勧めするのではなく、あくまで資格の魅力についてお話しさせていただきます。
FP3級試験は、「ファイナンシャル・プランニング技能検定」3級のことで、金融財政事情研究会と日本FP協会の2団体が行っています。
試験の概要など詳細は、各団体のホームページで確認してください。
私が、FP3級をお勧めする理由は3つあります
1 誰も教えてくれなかった「お金」の知識がぎっしり詰まっています
現代の社会で生きていくうえで、「お金」のことを無視して生きていくことは不可能です。
服を買うにも、食事をするにも、家を借りるにも、何をするにも「お金」です。
先日ある人が「息をするにもお金がかかる」と言っていたのには笑いました。
これはまさにその通りで、清潔な空気を確保するには空気清浄器やエアコンが必要ですし、そういった物理的な意味でなくとも、たとえば自動車ローンや住宅ローン、カードローンやキャッシングなど借入のある人の場合、寝息をたてている間にも「利息」というお金が発生しています。
そう、「お金」を抜きにして生きていくことはできないのです。
「お金」についての力は、生きる力そのものだと言っていいでしょう。
では、私たちは、「お金」についてどこでどんなことを習ってきたでしょうか。
数学や国語といった基本的な教養は学校で教えてくれます。
また、専門的なことであっても、自動車の運転なら教習所で教えてくれますし、外国語を習いたいなら語学スクールに行けばいいでしょう。
そういったことに比べて、「お金」について、どこでどんなことを習ってきたか、明確に言える人は少ないのではないでしょうか。
少なくとも私は、学生時代に「お金」のことをしっかり習った記憶がありません。
むしろ、まったく知識のないまま、社会に放り出された感じがします。
これは、泳げない人をいきなり海の真ん中に放り出して、溺れながら体で泳ぎ方を覚えろと言っているようなものです。
そのまま溺れても「それは自己責任だ」と、誰も責任をとってはくれません。
最近では、小中校でもお金について勉強したり、高校や大学でパーソナルファイナンス教育を導入しているところもありますが、時間的にも内容的にも、まだまだ十分とはいえないのが現状です。
そうだとすれば、「お金」のことは、当面は自分で意識して、自力で学んでいくしかないのです。
そこで、このFP3級の学習が役に立ちます。
FP3級試験の範囲はとても広範で、学科試験は「ライフプランニングと資金計画」「リスク管理」「金融資産運用」「タックスプランニング」「不動産」「相続・事業承継」の6つの分野から成ります(詳細は日本FP協会でご確認ください)。
こうやって見てみると、少しとっつきにくい感じがしますが、その内容は、まさに「お金」の基礎知識であり、私たちの生活に密着したものがたくさんあります。
たとえば、「ライフプランニングと資金計画」では、社会保険制度(年金や公的医療保険など)やローン(利息や返済の仕方)を学べますし、「タックスプランニング」では所得税の各種控除、「リスク管理」では生命保険や損害保険について基本的な知識が詰まっているのです。
私自身、最初にこれらを学んだときは、それまで何となくでしかわかっていなかったことがどんどんクリアになっていき、まさに「目からうろこ」体験をしたことを覚えています。
逆に言えば、こんなことさえ知らずによく今までやってこられたなと我ながら驚いたものです(知らずに損していたことも多かったのでしょうが)。
そして、こういった「お金」の知識を社会に出る前に学べていたら、もう少しいい人生が待っていたかもしれないなとも思っています。
2 何がわからないのかがわかるようになります
もちろん、FP3級は入門的な位置づけですので、これさえやっておけば「お金」の専門家になれるかといえば、そうではありません。
そもそもFPの役割は、その方のライフプラン(人生で叶えたい夢など)を「お金」の面からどうやって支えるかを計画するのが仕事なので、仮にその過程で問題点が発見されれば、弁護士や税理士といった専門家に適切に繋いでいくことも大切な仕事のひとつです。
FPといえば、保険の見直しやローンの借り換えなどの相談をしているイメージが大きいかと思いますが、実はその相談の過程で、色々な困りごとが発見されることがあります。
その際に、これはFPが解決できること、これは他の専門家の力が必要なことといった見極め力が必要になります。
これは弁護士さんに相談しようとか、これは税理士さんだなとか、この部分だけは社労士さんに聞いてみようとか、そういうことを判断しなければならないのです。
これは、「自分が何がわからないのかがわかる力」が身に着くということに他なりません。
問題の解決能力ではなく、問題の抽出能力に長けてくると言ってもいいかもしれません。
これは複雑な現代社会を生きていくうえで、とても役に立つ力だと思います。
自分が何がわからないのかがわからなければ、適切に専門家に助けを求めることもできないのです。
3 国家検定ですが、合格率が比較的高い試験です
FP3級の技能検定は国家検定です。
技能検定とは、働くうえで身につける、または必要とされる技能の習得レベルを評価する国家検定制度で、全部で128職種の試験があります。
試験に合格すると合格証書が交付され、「技能士」を名乗ることができます。
ですので、履歴書の資格欄に書くこともできます。
もちろん、FP3級をとったからといって、就職に特に有利に働くとか、すぐに独立開業ができるかといえば、そうではないと思います。
ただ、国家検定である以上、一定の質が保たれた資格であることは間違いありません。
しかも、その合格率は、たとえば平成29年1月実施の日本FP協会のFP3級試験では、学科試験が約67%、実技試験が約85%となっており、比較的高い水準であることがわかります。
言ってしまえば、かなりコスパの良い試験なのです。
また、一般的に入手しやすいテキストや教材も充実しており、試験も年に3回実施されることから、そういった意味でも取得しやすい資格と言えるでしょう。
以上、学生さんにむけて、「社会に出るまでに勉強してほしい資格」としてFP3級をお勧めしてきました。
繰り返しになりますが、「お金」についての力は、生きる力そのものだと思っています。
社会に出てから「いいカモ」にされないためにも、学生のうちに、できるだけ「お金」についての力を養ってほしいと願っています。