てとて障害年金支援プロジェクトへの道 その1
2019.06.29
弁護士、社会福祉士、社会保険労務士のチームによる障害年金支援プロジェクト(1)
オフィス北浦のブログサイトにようこそおいでくださいました。
社会保険労務士の徳本です。
現在、一般社団法人萩長門成年後見支援センター「てとて」の新規事業として、弁護士、社会福祉士、社会保険労務士がチームを組んで、障害年金の支援を行っていくというプロジェクトを準備しています。
筆者も社会保険労務士として、そのプロジェクトに参加しています。
「てとて障害年金支援プロジェクト」といいます。
まだ立ち上げ準備が始まったばかりですが、このブログでも随時進捗状況を発信していこうと思っています。
今回はその第1回目です。
プロジェクトの概要と、今後の予定などをお知らせしていきます。
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てとて障害年金支援プロジェクトの概要
てとて障害年金支援プロジェクトは、法律の専門家の弁護士など、福祉の専門家の社会福祉士など、年金手続の専門家の社会保険労務士がチームを組んで、必要な人に適正な障害年金の受給が可能になるように支援していくプロジェクトです。
具体的には、相談業務に始まって、請求準備支援、請求手続支援、不服申立支援といった内容を予定しています。
相談業務においては、社会福祉士と社会保険労務士のチームがメインになると思われます。
請求準備支援おいては、本人や家族、職場などの事情確認には社会福祉士が、診断書作成で医師との面談などが必要な場合には弁護士が、全体を通じて手続き技術的な面からの指揮やアドバイスを社会保険労務士が担うといったイメージです。
診断書(医師への情報提供を含む)は弁護士と社会保険労務士が担当し、病歴・就労状況等申立書は社会福祉士と社会保険労務士が担当するといった感じになるのではないかと思っています。
請求手続支援と不服申立支援においては、請求手続きは社会保険労務士が、不服申立(訴訟含む)は弁護士と社会保険労務士が主に担当することになるでしょう(実際にやったことはありませんが、訴訟になった場合には、弁護士が訴訟代理人として、社会保険労務士がその補佐人として訴訟対応をするというようなことも視野に入れています)。
以上は、まだまだ流動的な部分が多いのですが、概要としてはこのようなものをイメージしています。
プロジェクトの背景
てとて障害年金支援プロジェクトを企画した背景としては、必要な人に適正な障害年金が本当に届いているのだろうかという疑問からです。
障害年金の請求手続き自体のハードルは決して高くありません。
年金事務所でも丁寧に教えてくれます。
専門家に頼んだから年金を受給できるとか、上の等級が狙えるとかそういったことはありません。
黒が白になることはありませんし、それを試みるのが専門家の仕事でもありません。
それでも、必要な人に適正な障害年金が本当に届いているのだろうかという疑問がぬぐえないのはどうしてでしょうか。
筆者はそこに3つのハードルがあるのではないかと考えています。
1つめは、初診日。
障害年金にとって、初診日というのは非常に重要な意味を持っています。
この初診日をどのように証明するのかという点で挫折してしまうケースです。
2つめは、診断書。
診断書を作成するのは医師ですが、そもそもどのように診断書を書けばいいのかよく理解されていないケースや、診断書作成に必要な情報が患者から医師にちゃんと伝わっていないというケースがあります。
適正な診断書が作成されることが適正な障害年金の前提ですが、必ずしも適正な診断書が作成されているわけではないという現状があります。
3つめは、諦め。
障害年金が不支給となった場合などには、不服申立制度が用意されていますが、不支給決定の時点で「どうせだめだろう」と諦めてしまうケースです。
時間と手間とお金をかけて不服申立を行うべきかの判断は専門家でも難しいものですから、その気持ちはよくわかるのですが、どうして不支給になったのかの分析なしに諦めているとしたら、そこには専門家の関与する価値があるように思うのです。
もしもこれらのハードルのせいで、本来もらえるべき適正な障害年金が必要な人に届いていないのだとしたら、それは誰かがお手伝いするべきではないのかというのが問題意識です。
つまり、黒を白にするお手伝いは絶対にできませんが、白が黒にならないようにお手伝いすることはできるし、その必要があるだろうということです。
現在の活動状況と今後の予定
現時点では、うちうちの勉強会や外部との意見交換会を実施している段階です。
先日は、障害者支援の現場の精神保健福祉士さんから、障害年金で困っていることをお伺いしました。
「お金がないので、弁護士や社会保険労務士に依頼することができない」という根本的な問題も聞くことができました(実際には福祉職の皆さんが本人に同行するなど支援しているそうです。何度も年金事務所に足を運び、一から確認しながら手続きを進めたとのことでした)。
他の社会福祉士さんからは、初診日問題で苦労しているというお話もありました。
てとて障害年金支援プロジェクトの話をすると、実現に向けて協力したいという前向きなお返事でした。
今後は定期的に、医療関係者も含めて意見交換会を実施し、福祉関係者や医療関係者との協力体制を作っていきたいと思っています。
また、弁護士の先生方との協働にも力を入れていきたいと思っており、7月には某弁護士会で実施される障害年金研修も受講させていだだく予定です(部外者にも関わらずご配慮いただき感謝しています)。
さいごに
てとて障害年金支援プロジェクトは、準備が動き出した段階で、ほとんど白紙のような状況です。
それでも、このお話をすれば、興味をもってくださる福祉関係者の方が多いと肌で感じています。
弁護士と社会福祉士だけではできなかったことが、社会保険労務士が加わることで何かできるようになるのであれば、それは意義のあることだと思っています。
もしも萩市、長門市、阿武町近郊の福祉関係者の皆さまでこのプロジェクトに興味のある方がいらっしゃいましたら、オフィス北浦の徳本までお問い合わせいただければと思います。
今後も動きがありましたら、お知らせしていきます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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