ディプロマシー ルール解説 よくある質問 第3回 「維持支援命令は維持命令を受けているユニットを対象にしかできないのですか」
2025.10.05

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ボードゲーム系社労士&ファイナンシャルプランナーの徳本です。
筆者の愛してやまないボードゲーム「ディプロマシー」をより多くの人たちと楽しむために、初心者さんからよく聞かれることを「よくある質問」としてまとめていきます。
第3回目の質問は「維持支援命令は維持命令を受けているユニットを対象にしかできないのですか」というものです。
これは「維持支援命令の被支援ユニット」についての質問です。
ディプロマシー よくある質問 第3回 維持支援命令の被支援ユニット
【質問と回答】
いいえ、維持支援命令は、維持命令を受けているユニットに限らず、支援命令・輸送命令・何も命令を受けていないユニットも対象になります。
ただし、移動命令を受けているユニットを対象とした維持支援命令は無効です。
【解説】
支援命令は次の2つに分けて理解することが多いです。
- 移動支援命令(被支援ユニットに移動力(攻撃力)を付与する命令)
- 維持支援命令(被支援ユニットに維持力(防御力)を付与する命令)
支援命令は、命令書では単に「S」と記載しますが、移動力(攻撃力)を付与するのか、維持力(防御力)を維持するのかで区別されます。
ここでは、図1の盤面(ユニット配置)を仮定して、解説していきます。

ユニット配置(図1)
- フランス
- A Mar(マルセイユ陸軍)
- A Gas(ガスコーニュ陸軍)
- F GoL(リヨン湾海軍)
- イタリア
- A Pie(ピエモンテ陸軍)
- F Tus(トスカーナ海軍)
- ドイツ
- A Bur(ブルゴーニュ陸軍)
維持支援命令は維持命令を受けたユニットにしか出せないのか?
今回の質問をもう一度確認しておくと、「維持支援命令は維持命令を受けているユニットを対象にしかできないのですか」というものです。
この質問を言い換えると、「維持支援命令の被支援ユニットには維持命令しか出せないのか」ということだと思います。
この質問は初心者卓で必ずと言っていいほど質問されます。
これは「維持」支援命令というからには、被支援ユニットが「維持命令」を受けていることが前提のような印象を持つ方が多いからだと思われます。
語感からすれば、とても自然なことだと思います。
しかし、これが誤解の原因なのです。
結論を言いますと、被支援ユニットが「維持命令」・「支援命令」・「輸送命令」のうちどの命令を受けていても、維持支援命令を出すことは可能です。
これを図1-1をみながら解説していきます。
【命令書の記載例】

- フランス
- A Mar S F GoL – Pie(マルセイユ陸軍は、リヨン湾海軍がピエモンテに移動するのを支援)
- A Gas S A Mar(ガスコーニュ陸軍はマルセイユ陸軍を(維持)支援)
- F GoL – Pie(リヨン湾海軍をピエモンテに移動)
- イタリア
- A Pie S A Bur – Mar(ピエモンテ陸軍は、ブルゴーニュ陸軍がマルセイユに移動するのを支援)
- F Tus S A Pie(トスカーナ海軍はピエモンテ陸軍を(維持)支援)
- ドイツ
- A Bur – Mar(ブルゴーニュ陸軍をマルセイユに移動)
ここで注目してほしいのは、フランスのA Gas(ガスコーニュ陸軍)とイタリアの F Tus(トスカーナ海軍)です。
それぞれの命令書を再確認しておきます。
- A Gas S A Mar(ガスコーニュ陸軍はマルセイユ陸軍を(維持)支援)
- F Tus S A Pie(トスカーナ海軍はピエモンテ陸軍を(維持)支援)
これらの被支援ユニットであるA Mar(マルセイユ陸軍)と A Pie(ピエモンテ陸軍)は、どちらも維持命令を受けておらず、移動支援命令を受けています。
にもかかわらず、上記の維持支援命令は有効かつ成功して、被支援ユニットの維持力が2に増えています。
この理由は、支援命令や輸送命令を受けたユニットは、現在いるエリアにおいては、維持命令を受けているのと同様の効果があるからなのです。
つまり、支援命令(または輸送命令)を受けている被支援ユニットに維持支援を行うことは可能であるということです。
これを別の視点で言い換えると、「移動命令を受けている被支援ユニットに維持支援を行うことはできない」ということにもなります。
そのため、判定結果は次のようになります(図1-1の盤面は動きません)。
【結果表示】
- フランス
- A Mar S F GoL – Pie(マルセイユ陸軍は、リヨン湾海軍がピエモンテに移動するのを支援):失敗=支援カット(A Bur(ブルゴーニュ陸軍)からの攻撃を受けたので)。A Gas(ガスコーニュ陸軍)から維持支援を受けて維持力が2に増加
- A Gas S A Mar(ガスコーニュ陸軍はマルセイユ陸軍を(維持)支援):成功
- F GoL – Pie(リヨン湾海軍をピエモンテに移動):失敗(A Pie(ピエモンテ陸軍)の維持力2を超えていない)
- イタリア
- A Pie S A Bur – Mar(ピエモンテ陸軍は、ブルゴーニュ陸軍がマルセイユに移動するのを支援):失敗=支援カット(F GoL(リヨン湾海軍)の攻撃を受けたので)。F Tus(トスカーナ海軍)から維持支援を受けて維持力が2に増加
- F Tus S A Pie(トスカーナ海軍はピエモンテ陸軍を(維持)支援):成功
- ドイツ
- A Bur – Mar(ブルゴーニュ陸軍をマルセイユに移動):失敗(A Mar(マルセイユ陸軍)の維持力2を超えていない)
移動命令の場合
最後に、移動支援命令についても、少しおさらいしておきましょう。
移動支援命令においては、支援ユニットの命令書の後半部分(「S」より後の部分)が、支援ユニットの命令と完全一致する必要があります。
図1-1でいえば、
- フランス
- A Mar S F GoL – Pie(マルセイユ陸軍は、リヨン湾海軍がピエモンテに移動するのを支援)
- F GoL – Pie(リヨン湾海軍をピエモンテに移動)
- イタリアとドイツ
- A Pie S A Bur – Mar(ピエモンテ陸軍は、ブルゴーニュ陸軍がマルセイユに移動するのを支援
- A Bur – Mar(ブルゴーニュ陸軍をマルセイユに移動)
のように記載する必要があります。
自軍同士だとここのミスは生じにくいですが、他国との連携が必要な場合には、外交フェイズにおいて、
- どちらの国が移動を行い、どちらの国が支援を出すのか
- 支援は「移動支援」なのか「維持支援」なのか
- 維持支援の場合には、どのユニットを支援すればいいのか
- 移動支援の場合には、どのユニットがどのエリアに移動するのか
このあたりをしっかり詰めておかないと、思わぬ誤算が起きて、その国との信頼関係に大きな影響をもたらします(「わざと間違えたのではないか」などと疑われることもありえます)。
他国との約束事(条約)は、誤解のないようにしっかりと詰めておきたいものです。
以上最後までお読みいただきありがとうございました。
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