ディプロマシー ルール解説 よくある質問 第4回 「移動命令が失敗して現在のエリアに留まることになる場合に備えて、あらかじめ維持支援命令も出しておきたいのですが、これは有効ですか」

2025.10.06

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ボードゲーム系社労士&ファイナンシャルプランナーの徳本です。

筆者の愛してやまないボードゲーム「ディプロマシー」をより多くの人たちと楽しむために、初心者さんからよく聞かれることを「よくある質問」としてまとめていきます。

第4回目の質問は「移動命令が失敗して現在のエリアに留まることになる場合に備えて、あらかじめ維持支援命令も出しておきたいのですが、これは有効ですか」というものです。

前回(第3回)に続いて、「維持支援命令の被支援ユニット」についての質問ですが、今回は被支援ユニットが移動命令を受けている場合の質問です。

ディプロマシー よくある質問 第4回 維持支援命令の被支援ユニットが移動命令を受けている場合

【質問と回答】

Q
移動命令が失敗して現在のエリアに留まることになる場合に備えて、あらかじめ維持支援命令も出しておきたいのですが、これは有効ですか
A

いいえ、有効ではありません。

維持支援命令が有効になるためには、被支援ユニットが移動命令以外の命令(維持命令(何も命令を受けていない場合を含む)・支援命令・輸送命令)を受けている必要があります。

【解説】

支援命令は次の2つに分けて理解することが多いです。

  • 移動支援命令(被支援ユニットに移動力(攻撃力)を付与する命令)
  • 維持支援命令(被支援ユニットに維持力(防御力)を付与する命令)

そして、前回は「被支援ユニットが「維持命令」・「支援命令」・「輸送命令」のうちどの命令を受けていても、維持支援命令を出すことは可能」だが、「移動命令を受けている被支援ユニットに維持支援を行うことはできない」という結論でした。

今回の質問は、この結論を踏まえて、移動命令を受けている被支援ユニットの移動が失敗して現在のエリアに留まる場合(=維持命令を受けているのと同じ効果が生じる場合)、あらかじめ維持支援命令も出して備えておきたいという趣旨だと思われます。

たしかに、移動命令に失敗すれば、現状維持となり維持命令を受けているのと同じ効果が生じます。

そうだとすれば、支援命令や輸送命令を受けている場合と同様に、維持支援命令も可能のようにも思えてきます。

しかし、ルール上そこは明確に区別されて、「維持支援命令を受けることができるのは、移動命令を受けていないユニットである」ことが定められています。

これを図1の盤面で説明していきましょう。

【ユニット配置(図1)】

  • フランス
    • A Mar(マルセイユ陸軍)
    • F GoL(リヨン湾海軍)
    • A Gas(ガスコーニュ陸軍)
  • イタリア
    • A Pie(ピエモンテ陸軍)
    • F Tus(トスカーナ海軍)
  • ドイツ
    • A Bur(ブルゴーニュ陸軍)

イタリアは、A Pie(ピエモンテ陸軍)をMar(マルセイユ)に移動させる計画をしており、ドイツとの外交によって、A Bur(ブルゴーニュ陸軍)から移動支援を出してもらう約束を取り付けました。

しかし、イタリアとしては、A Pie(ピエモンテ陸軍)のMar(マルセイユ)への移動が失敗して、Pie(ピエモンテ)から動けなかった場合にそなえて、F Tus(トスカーナ海軍)からA Pie(ピエモンテ陸軍)に維持支援命令を出しておけば、維持力を増強できるのではないかと考えました。

これに対して、フランスもA Mar(マルセイユ陸軍)をPie(ピエモンテ)に移動させて、それをF GoL(リヨン湾海軍)に移動支援をさせる考えです。

各国の命令書は次のとおりです。

【命令書の記載例】

  • フランス
    • A Mar – Pie(マルセイユ陸軍をピエモンテに移動)
    • F GoL S A Mar – Pie(リヨン湾海軍は、マルセイユ陸軍がピエモンテに移動するのを支援)
    • A Gas – Bur(ガスコーニュ陸軍をブルゴーニュに移動)
  • イタリア
    • A Pie – Mar(ピエモンテ陸軍をマルセイユに移動)
    • F Tus S A Pie(トスカーナ海軍はピエモンテ陸軍が(維持)支援)
  • ドイツ
    • A Bur S A Pie – Mar(ブルゴーニュ陸軍は、ピエモンテ陸軍をがマルセイユに移動するのを支援)

では、図1-1の結果をみてみましょう。

【結果表示】

  • フランス
    • A Mar – Pie(マルセイユ陸軍をピエモンテに移動):成功(移動力2)
    • F GoL S A Mar – Pie(リヨン湾海軍は、マルセイユ陸軍がピエモンテに移動するのを支援):成功
    • A Gas – Bur(ガスコーニュ陸軍をブルゴーニュに移動):失敗
  • イタリア
    • A Pie – Mar(ピエモンテ陸軍をマルセイユに移動):失敗(移動力1) ⇒ 撃退
    • F Tus S A Pie(トスカーナ海軍はピエモンテ陸軍が(維持)支援):無効(被支援ユニットが移動命令を受けているため)
  • ドイツ
    • A Bur S A Pie – Mar(ブルゴーニュ陸軍は、ピエモンテ陸軍をがマルセイユに移動するのを支援):失敗=支援カット

ドイツの「A Bur S A Pie – Mar(ブルゴーニュ陸軍は、ピエモンテ陸軍をがマルセイユに移動するのを支援)」が、フランスの「A Gas – Bur(ガスコーニュ陸軍をブルゴーニュに移動)」を受けて、支援カットとなったため、イタリアの「A Pie – Mar(ピエモンテ陸軍をマルセイユに移動)」は移動力1のままです。

これに対して、フランスの「A Mar – Pie(マルセイユ陸軍をピエモンテに移動)」は、「F GoL S A Mar – Pie(リヨン湾海軍は、マルセイユ陸軍がピエモンテに移動するのを支援)」の移動支援を受けて移動力2となりました。

その結果、イタリアの「A Pie – Mar(ピエモンテ陸軍をマルセイユに移動)」は失敗します(移動力1VS2)。

そのため、A Pie(ピエモント陸軍)はPie(ピエモンテ)で維持となります(実際の判定ではこの時点で撃退判定となります。移動力2VS移動力1で移動の成否が決した後に、あらためて同じユニット同士で移動力VS維持力の判定は行いません。)。

ここでもしも、「F Tus S A Pie(トスカーナ海軍はピエモンテ陸軍が(維持)支援)」の維持支援が有効であるなら、A Pie(ピエモント陸軍)の維持力は2となり、「A Mar – Pie(マルセイユ陸軍をピエモンテに移動)」(移動力2)に負けないことになります(維持力2VS移動力2)。

しかし、「F Tus S A Pie(トスカーナ海軍はピエモンテ陸軍が(維持)支援)」は、被支援ユニットのA Pie(ピエモント陸軍)が移動命令を受けているため、維持支援命令は無効となります。

その結果、A Pie(ピエモント陸軍)の維持力は1のままで、「A Mar – Pie(マルセイユ陸軍をピエモンテに移動)」(移動力2)を防ぐことはできません(繰り返しますが、実際にはこのような判定は行いません)。

判定処理後の盤面は図2のようになります(イタリアは「A Pie – Ven(ピエモンテ陸軍はヴェニスに移動(撤退)」を選択)。

まとめ

支援命令に関しては、被支援ユニットが移動命令を受けているのか、それ以外(維持・支援・輸送)を受けているのかによって、支援命令の内容が変わってきます。

第3回の質問も含めてまとめると、次のようになります。

  • 被支援ユニットが移動命令を受けていない場合(維持・支援・輸送)
    • 維持支援命令を受けることができる
  • 被支援ユニットが移動命令
    • 移動支援命令を受けることができる(移動動支援命令が有効になるためには、移動先まで一致させる必要)
    • (移動命令が失敗した場合でも)維持支援命令を受けることはできない

ディプロマシーは支援命令なしでは成立しないゲームです。

支援命令の基本をしっかり理解していないと、せっかく出した支援命令が失敗や無効になることもあります。

逆に支援命令が理解できると、いっきにディプロマシーの戦術幅が広がって、外交交渉や命令書作成が楽しめるようになります。

支援命令の基本を押さえて、ディプロマシーを楽しんでいきましょう!

最後までお読みいただきありがとうございました。

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