現役社会保険労務士が受験用基本書を買う理由

2020.04.18

2016年社会保険労務士試験合格者が自分の使ってきた基本書を紹介

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今回は、筆者が社会保険労務士試験の受験時代から現在に至るまで使っている基本書を紹介します。

 

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、在宅時間が長くなった人も多いのではと思います。

社会保険労務士試験に挑戦してみようと思っている人もいるかもしれません。

中には「どんな参考書や問題集がいいのかな」と迷っている人もいるのではないでしょうか。

そのような人のために、筆者が使っていた(現在も買っている)基本書を紹介しようと思います。

 

その基本書とは、

「出る順 社労士 必修基本書」(LEC 東京リーガルマインド 編著)

です。

筆者は、通学や通信の受験講座はとっておらず、この「出る順 必修基本書」及び過去問と模試を中心に学習していました。

結論からいうと、択一式試験対策にはそれで必要十分だと思います。

筆者自身、択一式試験の合格レベルには学習を始めて1年で到達しましたので、これは自信をもってお勧めできます。

ちなみに最終合格は2016年です(選択式の労一で2年ほど苦戦してしまいましたが、択一式は初年度から合格レベルに達しました)。

 

「出る順 必修基本書」ってどんな本なの?

まずは、筆者が最終合格した2016年版の「出る順 必修基本書」の画像をご覧ください(使い込んでいてお見苦しいですが)。

 

当時は①労働編と②社会保険編の2分冊になっていました。

現在の2020年版は、次の画像のように、1冊にまとまっています。

 

もっとも、「2分冊セパレート方式」となっていて、買ったときは1冊ですが、2分冊に分けて使うことができます。

 

あと、チェック用の赤いシートもついています。

1冊にまとまるとちょっと重たいのですが、2分冊に分ければ持ち運びにも便利です。

 

どうして現役社会保険労務士が受験用の基本書を買っているの?

筆者が合格後(しかも社会保険労務士開業登録後)も受験用の基本書を買いつづける理由は、最新の改正点を網羅的にチェックするためです。

社労保険労務士試験は8科目について行われます。

①労働基準法及び労働安全衛生法、②労働者災害補償保険法、③雇用保険法、④労働保険徴収法、⑤健康保険法、⑥厚生年金保険法、⑦国民年金法、⑧労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識、の8科目です。

このように試験科目自体が広範囲なことからもわかると思いますが、社会保険労務士の実務においては、その取扱業務は幅広い分野を対象としています。

ですので、ひとくちに社会保険労務士といっても、労務管理分野を得意とする人や社会保険手続を主業務とする人、年金に特化した人、企業の勤務社労士として活動する人など、それぞれの分野で活動をしています。

つまり、それぞれが自分の専門分野や取扱業務を持っているということです。

ちなみに筆者は、弁護士の先生が行う成年後見業務の社会保険手続の適正化をメインに、年金手続や各種社会保険手続の代行を行っています(他にも労働事件や交通事故、労災事故など弁護士の先生が扱う事件のアシスタントも行っています)。

そうすると、自分の専門分野や取扱業務以外の分野については、どうしても疎かになる部分が出てきてしまうことがあるのです。

そこで、受験用の基本書が役に立ちます。

受験用の基本書は、全範囲をカバーしてあって、各種改正にも対応しているからです。

もちろんこれだけでは実務には物足りない部分もありますが、調査の取っ掛かりには十分役に立ちます。

そういうわけで、筆者も毎年のように「出る順 必修基本書」を購入しているのです。

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「出る順 必修基本書」のおすすめポイント

「出る順 必修基本書」の筆者のおすすめポイントは4つあります。

  • 出る順ランクがわかりやすい

これは、書籍のタイトルにもなっているので、「出る順」の最大の特徴でしょう。

重要度がAAA、AA、A、B、Cの5段階になっています。

これは、初学者がAAAを中心に理解しつつ一度通読して、2周目、3周目…と学習の理解範囲を広げていく目安になります。

ただ、択一式対策であればBやCの学習優先順位は下がりますが、選択式対策にはBやCもやっていないと、そこが出てしまえば足切りをくらうことにもなります。

優先順位は効率的な学習に有意義ですが、取りこぼしのないように注意したいところです。

 

  • 過去問リンクが役に立つ

過去問の出題率が低下傾向にあるとはいえ、過去問の重要度は変わりません。

筆者の印象としては、直近の選択式で出題されたところが、次の年の択一式で狙われること(その逆も)が少なからずあるように感じています。

「出る順 必修基本書」では、過去問で出題された箇所には、出題年と択一式か選択式(記述式)の別が記載されていますので、重要度の目安になります。

「出る順」シリーズの「出る順 必修過去問題集」を併用することで学習効率が格段に上がります。

筆者の実体験として、択一式試験は、「出る順 必修基本書」と「出る順 必修過去問題集」で十分に合格点を狙えると思います。

 

  • 改正ポイントが明確

改正ポイントは、過去に学習していた人にとっては、最重要チェックポイントです。

なぜならば、改正ポイントに関しては「過去の知識=間違った知識」になるからです。

過去の知識をアップデートして修正しなければ、思わぬところで失点してしまいます。

改正ポイントは出題可能性も高いところですので、学習の優先順位もあがってきます。

なお、「出る順 必修基本書」は本試験前年の秋ころに出版されますので、それ以降の改正ポイントが反映されていないことがあります。

最新の改正ポイントはLECのホームページの「インターネット情報提供サービス」(登録不要)を利用するなど、各自でフォローしていく必要があります。

 

  • 発展ポイントが得点源になる

「出る順 必修基本書」には「発展」というマークがあります。

凡例には「発展学習。余力があればおさえたい」となっています。

筆者の印象では、この発展ポイントを侮ってはいけません。

意外と出ます。

かつての「出る順 必修基本書」では、この発展ポイントが欄外に記載されていた時期がありました。

筆者の実体験としては、本試験の答え合わせをしながら「こんなところ(欄外の発展ポイント)に書いてあったのか!」と悔しがった記憶があります。

「余力があればおさえておきたい」というより「直前期にはおさえておきたい」くらいの対応が必要なのではないかと思っています。

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「出る順 必修基本書」の物足りないポイント

「出る順 必修基本書」には、ちょっと物足りなかったポイントもあります。

それは、選択式対策として使う場合の情報量です。

選択式試験は、①労基・安衛、②労災保険、③雇用保険、④労一、⑤健康保険、⑥厚生年金、⑦国民年金、⑧社一の8科目で出題されます。

しかも、8科目それぞれに基準点があり、どれか1科目でも基準点に達しなければ足切り不合格となるという、過酷なシステムです。

かつて筆者は、択一式と、労一以外の選択式で8割以上得点したにもかかわらず、選択式労一で基準点に満たずに、足切り不合格となったことがあります。

選択式の出題では、8科目中3科目くらいが楽勝問題、3科目くらいが学習が進んでいる人には問題ないけど初学者が苦戦する問題、2科目くらいが「なんじゃこれ」問題だと思っています。

この「なんじゃこれ」問題でいかに3点を取るかが、学習の進んだ人にとっての最大の悩みなのではないでしょうか(筆者の悩みもこれでした)。

「出る順 必修基本書」だけでは、「なんじゃこれ」問題への対応(白書系問題への対応を含む)が物足りないように思います。

これが「出る順 必修基本書」の弱点なのではないかと思っています。

この点については、「出る順」シリーズに「出る順 選択式徹底対策問題集」というものが出ています。

選択式対策としてはこちらも併用すべきだと思います。

本試験では目的条文問題でかなり助けてもらいました。

また、筆者は選択式対策や白書対策として、「出る順 選択式徹底対策問題集」の他に、模試と受験雑誌を活用していました。

とくに模試は「なんじゃこれ」問題対策に有効でした。

実際に模試で「こんなところから出題されるの?」と思っていた問題が、2016年の本試験で出ましたので、試験会場で内心「やったぜ」と思ってました。

このように、選択式対策にはさらに一工夫が必要なのではないかと思っています。

 

さいごに

社会保険労務士対策には各種予備校をはじめたくさんの基本書が出版されています。

今回ご紹介した「出る順 必修基本書」の他にも優良な基本書はたくさんあるでしょう。

ただ、筆者が実際に使っていて、しかも合格後も最新版を購入してるのは「出る順 必修基本書」ですので、実体験としておすすめできるものはこちらに限らせていただきました。

ご参考までに、「出る順」シリーズのamazonでのリンクを貼っておきます。

皆さんも自分にあった基本書をみつけて、みごと合格を勝ち取ってください。

少しでもその助力となることができれば幸いです。