ユーミンとみゆきさんの世界 【Holiday in Acapulco】【あたいの夏休み】

2020.08.10

ユーミン&みゆきさんの楽曲聴きくらべ 第2回

オフィス北浦「代表の独り言」のページにようこそおいでくださいました。

ここでは、おすすめの書籍や映画などのご紹介や、ボードゲーム会のお誘いなど、業務に直接関係のない情報を発信しています。

今回は、ユーミンこと松任谷由実さんと中島みゆきさんの気になる楽曲を聴きくらべてみる企画の第2回目です。

ユーミン&みゆきさんのファン歴30年以上の筆者が独断と偏見に基づいて、気ままに話をさせていただきます。

よろしければおつきあいくださいませ。

 

さて、今回は8月ということもありますので、夏休みにちなんだ「お土産」の楽曲を2曲ご紹介しましょう。

  • 『Holiday in Acapulco』(作詞作曲 松任谷由実 アルバム『ALARM a la mode』収録)

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  • 『あたいの夏休み』(作詞作曲 中島みゆき アルバム『36.5°C』他収録)

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こちらの2曲です。

みゆきさんのファンの人なら「お土産」と聞いて『夏土産』をイメージされた人もいたかもしれませんが、『Holiday in Acapulco』と聴きくらべるという意味で『あたいの夏休み』を選んでみました。

この2つの楽曲に描かれている主人公はとても対照的な2人なんですけど、共通した「お土産」というキーワードでも比べてみることができます。

それでは簡単に楽曲の内容をみていきましょう。

 

ユーミンの涼やかなHoliday

まずは『Holiday in Acapulco』です。

主人公の旅行先はもちろんアカプルコ、メキシコの太平洋側のリゾート都市です。

機内の「陽気なスパニッシュ」のアナウンスで目を覚ました主人公は、窓からみえるきらびやかな景色を目の当たりにします。

そこは「100萬$の夜景」が「海に浮かぶ」アカプルコでした。

「マリアッチのリズム」が流れて「熱い風」が吹くアカプルコですが、楽曲全体をとおしてむしろ涼やかな印象になっています。

「100萬$の夜景」、「月明り」、「夜のスコール」、「ナイトクラブの舞踏会」といった「夜」の要素、「海に浮かぶ」、「石の噴水」、「渚」、「冷えたテキーラ」、「夜のスコール」、「プールサイド」といった「水」の要素、「白いヴェランダ」、「青いダリアの髪飾り」、「プールサイドは虹色」といった「色彩」の要素によって、暑さの中の涼やかさが見事に表現されています。

ユーミンのHolidayは涼やかです。

 

みゆきさんの息苦しい Summer vacation

これに対して「あたいの夏休み」です。

主人公の旅行先は、国内の「別荘地」です。

そこは「週刊誌」に記事が載っていて、「数珠繋ぎ」の賑わいぶりのようです。

宿泊先は「2段ベッド」で、「冷めたスープ」が「放り投げるように」出てくるような環境です。

それでも、主人公にとっては、1年間お金を貯めて、やっと3日もらえた貴重な夏休みの旅行なのです。

そんな貴重な夏休みなのですが、楽曲全体をとおして、これでもかというような息苦しい暑さが表現されています。

この息苦しさの原因は、主人公が他者の目をひたすらに気にしていることにあると思います

主人公は「町じゃ捨てたもんじゃない」と啖呵を切れるほどの水商売(最近の用語で言えば「夜の街」)のひとのようです。

ただそのような強がりを言うわりには、自分たちに向けられた「レースのカーテンの陰」から聞こえる「囁く声」を気にしたり、「新聞に載るほど悪いこともなく」と自分に言い聞かせたり、VIPルームを「覗きこんでつまみ出され」たりしています。

とにかく他者と比べて「あたい きっと勝ってる」と負けん気で踏ん張っています。

みゆきさんのSummer vacationはかくも息苦しいのです。

 

対照的なお土産エピソード

このように、涼やかなHolidayの一人旅を楽しんでいるユーミンの主人公と、息苦しいSummer vacationのグループ旅行を楽しんでいるみゆきさんの主人公には、ともに「お土産」のエピソードが描かれています。

それぞれみていきましょう。

  • ” 革のサンダル ソンブレロ hum hum  安くされても いらないわ hum hum お土産買うあてもない ホリデイはアカプルコ ” (『Holiday in Acapulco』 作詞 松任谷由実)
  • ” だけどあたいちょっと この夏は違うのよね 昨夜買った土産物屋のコースター 安物だけど自分用じゃないもんね ちょっとわけありで今年の夏休み ” (『あたいの夏休み』 作詞 中島みゆき)

なんとも対照的なことになっています。

「お土産買うあてもない」ユーミンの主人公と、自分用ではないお土産のコースターを買った「ちょっとわけあり」なみゆきさんの主人公。

そもそもユーミンの主人公はアカプルコに「あなたを忘れる途中」の傷心旅行に来ています。

「月明りで」「ちょっと思い出したように」「手紙」を書いてみたり、「渚で手を握り合う」「ハネムーン」のような「ツアーの老夫婦」を眺めながら「あなたと旅したかった いつかあんな風に でももうだめね」と感傷に浸っています。

きらびやかで涼しげなHolidayも、ホテルの部屋に帰れば、「散らかった荷物と ひとりの私」が残されるのです。

これに対して、みゆきさんの主人公は、「2段ベッド」だろうが、「十把ひとからげ」にされて「慣れた酒を飲んで酔」おうが、「一人泣き」をすることはない「わけあり」です。

ここで先述の「だからあたい きっと勝ってる」という勝利宣言までが飛び出すのです。

まさに夏が翻っています。

お土産買っただけで、ここまでマウントとらんでもと思いますが、他者を気にする主人公には譲れないところなのでしょう。

 

このように、ユーミンの涼やかな『Holiday in Acapulco』と、みゆきさんの息苦しい『あたいの夏休み』は、「お土産」エピソードまできれいなシンメトリーを描いています。

なかなか外出もままならないこの夏、ぜひ『Holiday in Acapulco』と『あたいの夏休み』を聴きくらべてみて、楽しんでいただければと思います。

 

ここから先は余談ですが、気ままな一人旅という点ではみゆきさんの夜会『2/2』も忘れてはいけませんね。

まあ、本当に「気まま」なのか「一人」なのかという問題はありますが・・・

夜会『2/2』は複数回再演されていて、映像として販売されているものも、夜会Vol.7と夜会Vol.17の二つがあります。

気ままな一人旅の描写が強いのは夜会Vol.7の方かもしれません。

こちらも二つの『2/2』をみくらべてみるのも面白いのではないかと思っています。

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最後までお読みいただきありがとうございました。