「第12回 対話型勉強会」のお知らせ
2019.05.29
弁護士と社労士と参加者みんなで考える「交通事故の損害賠償請求と社会保険給付の調整」
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オフィス北浦のブログサイトにようこそおいでくださいました。
今回は、勉強会のお知らせです。
筆者は、オフィス北浦の社会保険労務士として、不定期に勉強会を開催しています。
その勉強会ですが、「第12回 対話型勉強会」として、
日時:2019年6月8日(土)17:00~18:30
場所:萩市内(参加者には追ってお知らせします)
テーマ:「交通事故の損害賠償請求権と社会保険給付の調整」
を行うこととなりました。
弁護士山口正之先生をお迎えして、ざっくばらんな勉強会になる予定です。
交通事故を原因とした死亡や後遺障害によって、遺族年金や障害年金の受給権が発生した場合の調整については、損害賠償が先行する場合、保険給付が先行する場合、労災も関係してくる場合など、いろいろなケースが考えられます。
そこで、ケースごとに論点をまとめたうえで、どのように対応したらよいかを参加者で話し合いながら整理してみようという企画です。
弁護士の先生の関心としては、依頼者の利益を最大化する社会保険給付の請求のタイミングはあるのか、あるとしたらいつなのかという問題だと思います。
そのような問題も含めて、社会保険給付の支給停止や受給調整、損益相殺の問題について、本音で対話ができればと思っています。
参加希望の方は6月5日(水)までにお申し込みくださいませ(定員に達しましたら、事前に締め切る場合もございますのでご了承ください)。
勉強会の後には食事会も予定していますので、こちらの参加も募集しています。
勉強会は無料ですが、食事会は会費3000円が必要です(現地で徴収)。
なお、この勉強会及び食事会は、一般社団法人萩長門成年後見支援センター「てとて」が企画準備中の「障害年金支援プロジェクト」の一環でもあります。
法律の専門家の弁護士+福祉の専門家の社会福祉士+年金の専門家の社会保険労務士の有志がチームを組んで、必要な人に適正な障害年金の受給を実現するためのプロジェクトを企画しています。
よろしくお願いいたします。
【 追記(2019.6.9) 】
第12回対話型勉強会、無事に終了いたしました。
かなりマニアックなテーマにもかかわらず、萩市内の3つの法律事務所の事務職員さんも参加してくださいました。
時間が1時間30分と限られていたため、当初のテーマを少し変更して、「交通事故の損害賠償請求権と障害年金の調整」に絞りこみました。
その分、かなりつっこんだ話ができたと思います。
具体的には、法の建前(第三者行為事故の求償権規定及び支給停止規定。厚生年金保険法40条、国民年金法22条)を確認したあと、支給停止を具体的に定める「厚生年金保険法及び国民年金法に基づく給付と損害賠償額との調整に関する事務処理要領」(年管管発0930号第6号通知添付)を読み、さらに事例をいくつかのケースにわけて、被害者の取得する金額にどのような差が出るのかを考えてみました。
詳細は省略しますが、①損害賠償先行型(+障害年金の消滅時効完成前に遡及請求)、②障害年金給付先行型1(事故日の翌月以降36月以内に損害賠償が成立した場合)、③障害年金給付先行型2(事故日の翌月以降36月経過後に損害賠償が成立した場合)の3つに分け、さらに②と③のそれぞれで損害賠償において障害年金の既給付額を損益相殺された場合とされなかった場合の合計5つのケースに分けたのです。
すると、ある一つのケースにおいて被害者の取得する金額が少なくなくなるのではないかという考えになりました。
原因としては、それ以外のケースでは損害賠償と保険給付を二重に取得できていた部分の一部が、このケースでは得られなくなるのではないかということでした。
この結論の妥当性についてどのように考えるかを参加者で話し合いました。
被害者利益の最大化という視点はもちろんのこと、弁護士報酬との調和といった本音トークから、二重補償が権利として保障されているのかどうかといったそもそも論まで、本当に面白い対話型勉強会ができたと思います。
被害者が「損」をすることはないのですが、「得」をすることができないケースがあるというのが議論のポイントです。
筆者自身もこの問題をここまで詳細に検討したことはなかったので、とても勉強になりました。
弁護士が得意とする交通事故の損害賠償の知識(ここでは特に損益相殺の知識)と、社会保険労務士が得意とする障害年金の知識(ここでは支給停止の知識)を合せることで、両者の問題意識を共有することができたように感じます。
二重補償が許されている現状を知らなかった人もいたようで、少なくともそういった実務上の知識が共有できたことは有意義だったと思います。
これからもこういった勉強会は続けていきたいと思っています。
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