ディプロマシールール説明 基本編(12) ~ユニット増減フェイズ

2020.02.26

初心者向けディプロマシー基本ルール(12)

オフィス北浦が主宰する祥福舎卓ゲ部では、対面型のディプロマシーというボードゲームを行っています。

参加者は初心者さんが多いので、その都度ルール説明の時間を1時間程度設けていますが、事前に基本的なことを確認できるように、こちらのサイトでも説明していきたいと思います。

第12回目は、ユニット増減フェイズについてご説明します。

今回で基本編は最終回です。
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ユニット増減フェイズって何をするの?

ユニット増減フェイズは、命令解決フェイズ及び撤退・解体フェイズで決まった新たな軍隊ユニットの配置に基づいて、補給都市の占有を確定し、最新の各国の補給都市数に合わせて軍隊ユニットを増設または解体するフェイズです。

このフェイズは、補給都市の占有確定という段階と、軍隊ユニットの増設・解体という段階の2つに分かれています。

公式ルールでは、ユニット増減フェイズは、秋ターンのみにあるフェイズです。

もっとも、ハウスルールによっては、ユニット増減フェイズを春ターンにも行ったり、春ターンには補給都市の占有確定だけを行うということもあります(ゲーム開始前によく確認してください)。

 

補給都市の占有確定のルール

補給都市の占有確定には、次のようなルールがあります。

  • 秋ターンの時点で軍隊ユニットが駐留している補給都市は、その国に占有される(春ターンのみの駐留では占有されない)※春ターン時点でも占有可能とすることもある
  • 占有しないことも可能(GMに申告)
  • 一度占有した補給都市は、その後他国に占有されるまで、その国が占有している状態が続く(軍隊ユニットを駐留させる必要はない)

 

補給都市の占有確定を、秋ターンのみで行うのか、春ターンにも行うのかで、どのような違いが生じるのか、次のフランスの例をみながら検討してみましょう。

まずは、補給都市の占有確定が秋ターンのみに行われるケースです(①と②)

①1901年春ターンで

  • Mar(マルセイユ)陸軍がSpa(スペイン)に移動
  • Par(パリ)陸軍がBur(ブルゴーニュ)に移動
  • Bre(ブレスト)海軍は維持 ※Eng(イギリス海峡)でスタンドオフ

となっています(補給都市数 3)。

この時点でSpa(スペイン)に陸軍ユニットがいますが、春ターンでは占有確定が行われないので、空白となっています(リアルでいえば、ゲームボードの上に国旗トークンが置かれていない状態です)。

なお、マップ上で補給都市が各国のユニットカラー(祥福舎卓ゲ部ではフランスは紫)に染まっているところは、その国が占有していることを表しています(リアルでいえば、ゲームボードの上に国旗トークンが置かれている状態です)。

そして②1901年秋ターンでは

  • Spa(スペイン)陸軍がPor(ポルトガル)に移動
  • Bur(ブルゴーニュ)は維持 ※Bel(ベルギー)でスタンドオフ
  • Bre(ブレスト)海軍は維持 ※Eng(イギリス海峡)でスタンドオフ

この時点で占有確定が行われますので、Por(ポルトガル)がフランスに占有されます。

その結果、1901年秋ターンのフランスの補給都市数は4となります。

 

これに対して、春ターンにも占有確定が行われるとどうなるでしょう(軍事行動は同じです)。

③と④をご覧ください。

③1901年春ターンでSpa(スペイン)が占有され、④1901年秋ターンでPor(ポルトガル)が占有されます。

その結果、1901年秋ターンのフランスの補給都市数は5となります。

 

補給都市数の確定によって、勝利条件を満たした国が現れた場合には、その国の勝利となり、ゲームは終了します。

 

軍隊ユニットの増設・解体のルール

軍隊ユニットの増設・解体には、次のようなルールがあります。

  • 自国の軍隊ユニットの数を、占有する補給都市の数と一致するように増減させる
  • 春ターンにはない(秋ターンのみ)※ハウスルールでの変更可能性あり
  • 任意の解体はできない (例)海軍ユニットを任意に解体して、陸軍ユニットを増設するようなことはできない
  • 軍隊ユニットの増設は、本国の補給都市のうち、自国が占有していてかつ空白であるところ(軍隊ユニットの存在していない補給都市)にのみ、行うことができる(本国以外の補給都市に軍隊ユニットを増設することはできない)
  • 沿岸地域での増設は、陸軍ユニット・海軍ユニットの区別を明記する
  • StP(サンクトペテルブルク)に海軍を増設する場合は、nc(北岸)かsc(南岸)の区別を明記する
  • 増設はしなくても構わない
  • 増設または解体には、増設命令、解体命令を行う
  • 増設命令、解体命令を行う際には、外交交渉をしてはならない

 

補給都市の占有確定によって、自国の補給都市数が確定します。

上記の②の例でいえば、1901年秋のフランスの補給都市数が4に確定しました。

しかし、その時点でのフランスの軍隊ユニットの数は3です。

そこで、上限を4として、軍隊ユニットの増設が可能になります。

ここで注意が必要なのは、軍隊ユニットをさらに4増設できるというわけではないという点です。

増設後の軍隊ユニット数が補給都市数と一致(またはそれ以下に)なるようにするということです。

②の場合には、軍隊ユニットの増設は1だけです(補給都市数 4 – 増設前の軍隊ユニット数 3 = 増設可能数 1 )。

もっとも、増設が可能なのは、本国の補給都市で軍隊ユニットがいないところです。

②では、Bre(ブレスト)に海軍ユニットがいるため、ここに増設をすることはできません。

Mar(マルセイユ)かPar(パリ)に増設することになります。

なお、Par(パリ)は内陸地域なので、陸軍ユニットしか増設できませんが、Mar(マルセイユ)は沿岸地域なので陸海どちらのユニットでも増設できます(なので、増設命令には陸海の区別も明記してください)。

 

このように、軍隊ユニットのいない本国の補給都市でしか増設ができないため、ときどき増設をしたくてもできないことがあります。

⑤⑥は、春ターンでも補給都市の占有確定を行う③④のパターンの変形です(③と⑤は同じです)。

ただ、④と⑥で異なるのは、⑥では、Bur(ブルゴーニュ)陸軍がBel(ベルギー)への移動を成功させているところです。

その結果、⑥1901年秋の時点で、フランスの補給都市数が6になっています。

補給都市数6で軍隊ユニット数3ですので、増設可能数は3です。

しかし、3つしかない本国の補給都市のうち、Bre(ブレスト)に海軍ユニットがいるため、結局Mar(マルセイユ)とPar(パリ)に増設するしかありません。

3ユニット増設可能なのですが、実際には2ユニットしか増設できないということです。

もっとも、補給都市数が減るわけではないので、次以降の秋ターンで再度増設をすることは可能です。

 

解体についてもご説明しましょう。

増設はしてもしなくても構いませんが、解体は必ずしなければいけません。

仮に②のケースで、Mar(マルセイユ)とPar(パリ)が他国に占有されたとしましょう。

その場合、フランスの補給都市数は2となります(Bre(ブレスト)とPor(ポルトガル))。

軍隊ユニットの数は3です。

そこで、軍隊ユニット数を補給都市数にあわせるために、軍隊ユニットを必ず1解体して、2にしなければいけません。

どの軍隊ユニットを解体するかはプレーヤーが任意で決定できます。

解体によって、自国の軍隊ユニットがゲーム盤上からすべてなくなった国(=補給都市数0)は滅亡します(プレーヤーはゲームから離脱し、以後、外交などは行わないでください)。

なお、祥福舎卓ゲ部では、撤退・解体フェイズでの解体で、ゲーム盤上から一時的に軍隊ユニットがすべてなくなった場合でも、次の増設命令で軍隊ユニットが現れれば、その国は滅亡しないことにしています(補給都市数は0ではないので。ただし、本国の補給都市をすべて失っているのであれば、増設可能性はないので、その場合は滅亡します)。

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増設命令・解体命令はどうやって書くの?

増設命令も解体命令も、原則として命令書に記載する方法でだしてもらいます。

その際に、他国と交渉をしてはいけません。

 

増設命令は、

  • F Mar – Builds
  • マルセイユに海軍を増設

のように書いてください(陸海の区別を必ず記載するようにしてください)。

繰り返しますが、本国の補給都市にしか増設はできませんので、増設命令でその他の補給都市名を書くと無効になります。

 

解体命令は、

  • A Por – Disbands
  • ポルトガル陸軍を解体

のように書いてください。

 

祥福舎卓ゲ部の命令書カードは、

このようなものです。

増設命令・解体命令は、

 

このように書いてください。

 

ユニット増減フェイズがおわって、勝利条件を充たす国がない場合には、ゲームは続行します。

次のターンの外交フェイズへと移っていきます。

 

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さいごに

今回は、ユニット増減フェイズについてご説明しました。

ハウスルールがいろいろあるところです。

春ターンにも補給都市の占有確定を行った方が、早期に軍隊ユニットが増えますので、ダイナミックにゲームが動きます。

しかし、一回のミスが致命傷になってしまい、なかなか挽回ができないという点でゲームの柔軟性を損なう可能性もあります。

どのようなルールが採用されているのかを事前によく確認してください。

さて、12回にわたって、ディプロマシーの基本ルールを説明させていただきました。

あくまでも基本ルールということで、書けなかったこともたくさんあります(それはまた別に機会にできたらいいなとは思っていますが)。

しかし、ゲームを楽しむためには、最低限のことは説明できたのではないかと思っています。

ここまでお付き合いいただいた皆さま、まことにありがとうございました。

ご興味をもたれた方はぜひ、祥福舎卓ゲ部のディプロマシー会にもご参加くださいませ。

山口県萩市という、本州の西の端の、しかも日本海側というアクセスしにくい場所ではございますが、第一次世界大戦あたりの歴史がお好きな方は、きっと日本史の明治維新あたりもお好きなはず(?)。

明治維新胎動の地で、ディプロマシーを楽しみましょう!
 

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