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50代のおひとり様予備軍が始めた「放活(はなかつ)」──生前整理の第一歩、2ヶ月目の記録(2025年6月~7月前半)

放活(はなかつ)まだまだ継続中― 2ヶ月目は“気持ちの整理”が本番でした ―

おひとり様をサポートするボードゲーム系社労士&ファイナンシャルプランナーの徳本です。

5月から始めた「放活(はなかつ)」。

“手放す生活”という意味を込めたこの言葉には、単にモノを処分するだけでなく、「暮らしを軽くして、心にも余白をつくる」という願いを込めています。

1ヶ月目は、物理的なモノを片付けることが中心でしたが、2ヶ月目に入ってからは“気持ちと向き合う放活”が始まりました(1ヶ月目の報告は「50代のおひとり様予備軍が始めた「放活(はなかつ)」──生前整理の第一歩、1ヶ月目の記録(2025年5月)」の記事をご覧ください)。

今月は、本や紙類、縁起物の置物など、どれも「なぜか手放しにくい」ものばかり。

でも、少しずつでも「なぜ持ち続けているのか」「今の暮らしに必要か?」と問い直すことが、放活(はなかつ)の核心かもしれないと感じ始めています。

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今月手放したモノたち

書籍:200冊処分。30冊を売却、約5,000円に

まずは、本棚の整理に着手しました。

詳しく数えてはいませんが、もう使わない書籍(大学時代の教科書や各種資格試験の参考書など)、知識の古くなった書籍(法律や社会保険関係の専門書、実用書、パソコン関係の本など)、読まない漫画や小説などなど、ざっと200冊はあったかと思います。

一気に捨てると重量があるので、分割して処分していきました。

ただ、状態の良い漫画や小説、ビジネス書、自己啓発本などまだ誰かに読んでもらえそうなもの合計30冊ほどは、古本の買取サービスを利用して処分しました。

厳選したからか、買値がつかなかったのは2冊だけで、その他は買い取ってもらえました。

値段は合計で5000円ほどでしたが、誰かに読んでもらえるならそれが何よりです。

個別にメルカリなどで出品すれば、もう少し高く売れたのかもしれませんが、その手間と時間を考えると、一括で買い取ってもらえたのはありがたかったです。

何より本棚がすっきりしました。

本棚に、お気に入りの小説や最新の実用書、趣味の歴史関係の本(日本史と西洋史の本が1:1)が整然と並んでいるのをみていると本当に気持ちのいいものです。

本棚が整うと、ちょっと賢くなった気がするのは気のせいでしょうかね(多分気のせい)。

取り扱い説明書:昭和レトロに、笑ってちょっと切なくなった

次に手を付けたのは、「取説・保証書」といった家電などの付属書類です。

このての書類、ほとんど使うことはないのに、なぜか律儀に保管していました。

それを片っ端から廃棄処分していきました。

なにせ、もう本体がないものがほとんどなので、「使う・使わない」を考えずにただゴミ袋に入れていくだけの単純作業・・・のはずでした。

そんな中、なんとも懐かしいものを発見しました。

その画像はこちら。

なんと昭和後期のエアコン、洗濯機、テレビの古い取扱説明書たち。

ついでに、知っている人は知っている初期の家庭用パソコン三菱「レタス」の保証書までも。

当然もう現物は残っていませんが、附属書類だけが引出しの中で眠っていました。

つい手に取って読んでみると、当時のデザインや言い回しが妙に味わい深くて、懐かしいやら、おかしいやらで、しばし時間を忘れて昔のことを思い出していました(これを始めると放活がすすまなくなるのですけど、さすがに抗えなかったです)。

ただ、当時の筆者は小学生高学年か中学生くらい・・・「ああ、これだけ長い時間が経ってたんだな」と気づいて、少し切なくもありました。

置物:一番手放しにくかった「縁起物」たち

今月、いちばん心理的に手ごわかったのが、縁起物の置物たち。

とくに招き猫の貯金箱が9個ほどありました。

「福を呼んでくれそうだから」と、なかなか手放せませんでした。

そこで、知り合いの神主さんや住職さんに、縁起物の処分に際して何かした方がいいのかと聞いてみました。

そうするとお二方ともに「どうしても気になるというのならやれることはあるけど、もう役目を終えていると思うのであれば感謝の気持ちを込めて手放せばいいではないか」とのこと。

それを聞いて、手放そうと決心がつきました。

このまま置いておいて、自分が亡くなったあとに、処分業者に単なるゴミの一部として扱われるくらいなら、自分が生きている間に感謝を込めてお見送りするほうがいいのではと思ったのです。

そうして「ありがとうございました」と言いながら一つ一つ埃を払って片付けていると、「チャリン」と音がするではないですか。

「これ貯金箱だったんだ」と思い出し、中をあらためると100円玉が1枚だけ出てきました。

招き猫さんたちも役目を終えてほっとしたのかもしれません。

ありがたくいただき、すぐに使わせてもらいました(お金は流通することが役目だと思っているので)。

おわりに|“手放す”は、“暮らし直す”こと

2ヶ月目の放活(はなかつ)は、「気持ち」との向き合いが中心でした。

モノには、記憶や感情がくっついているからこそ、ただ「いらない」では判断できない。

でも、迷いながらでもいいから、1つずつ丁寧に向き合うことが大事だと思っています。

無理に全部を捨てなくてもいい。

「今はまだ持っていたい」と思うなら、それも大切な自分の気持ち。

でも、「なぜ持っているのか?」を考えるだけでも、暮らしは少しずつ変わっていく気がしています。

確実に言えることは、2ヶ月前の我が家とは見違えるくらいに整ってきたこと。

一つ一つの行動は地味なことが多いけど、一つ一つ着実に部屋と心が整ってきています。

放活(はなかつ)は、「暮らしを軽くして、心にも余白をつくる」こと、つまり単なる“モノの片づけ”で終わらない、暮らし直しの習慣だと思っています。

まだまだ先は長いと思いますが、これからも放活(はなかつ)続けていきます。

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【19歳大学生さんからの質問】とっくんセンセのお金と仕事 ゆとりの学び舎 その2 「20歳未満でも社会保険料を払う人、払わない人の違い」

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ボードゲーム系社労士&FPの「とっくんセンセ」こと徳本です。

「とっくんセンセの お金と仕事 ゆとりの学び舎」2回目は、ある学生さんと雑談してて気づいたことをネタにしています。

それは、「20歳未満でも社会保険料を払うかどうか」という問題です。

これは「年金の常識(3)」でも取り上げたネタですが、今回はもう少し深堀りしてみました。

今回の相談者はBさん(19歳の全日制の大学に通う1年生)です。

保険料、払ったり、払わなかったり、どっちなんだい?

Bさん

とっくんセンセ、ちょっと聞きたいんですけど。この前、高校のときのクラスメイトと会ったとき、その人が「給料から年金とか健康保険とかがっつり引かれてて、正直しんどい」みたいなこと言ってたんです。その時は「たいへんだよね」って話を合わせていたんですけど、私、年金も健康保険もお金払ってないんですよ。これって違法なんですか?

とっくんセンセ

大丈夫、心配しないで。結論から先に言うけど、違法でもなんでもないよ。Bさんはまだ19歳の大学生さんだから、国民年金は払わなくていいし、多分、健康保険も親御さんの扶養に入ってるはずだからね。

Bさん

よかった。安心しました。

でも、私の友達は同じ19歳なのに年金も健康保険も保険料を払ってるんですよ。じゃあ、友達の方がおかしいんですか?

とっくんセンセ

ううん、それもおかしいことではないよ。そのお友達のことを正確には知らないから仮定の話も入るけど。そのお友達は「給料から引かれていた」って言っていたんでしょう?そうすると、それは会社員の人の「厚生年金・健康保険」のことだと思うんだよ。

Bさん

はい、その人は高校卒業してから就職して、地元で働いています。

じゃあ、大学生は年金や健康保険料を払わなくていいけど、社会人は年金や健康保険料を払わないといけないってことなんですか?

とっくんセンセ

うーん、それも正確ではないかもね。

まあ、本当に社会保険は制度が複雑だから、大人でもよくわかってない人も多いんだよ。とっくんセンセも偉そうなこと言ってるけど、大学生のころに社会保険のことなんて考えたことなかったよ。Bさんはちゃんと知ろうとしてて、感心する。

話を戻すと、一口に「(公的)年金」や「健康保険(公的医療保険)」と言っても、いくつかの種類があるんだ。ここでは大きく分けて、年金は「国民年金」と「厚生年金」、公的医療保険は「国民健康保険」と「(会社の)健康保険」のそれぞれ2つを押さえておいてほしい。もっと正確に言うなら、公務員のケースや75歳以上の後期高齢者のケースなど別の種類もあるんだけど、まずはこの4つが基本だからね。

会社員なら「厚生年金・健康保険」

Bさん

うーん、もう複雑になってきました。でも、大切なお金のことだから、教えてください。できれば、わかりやすく。

とっくんセンセ

まかせて!

まずは、わかりやすい方から行こう。会社員のお友達の方からね。

ざっくりになるけど、一般に「社員さん」と言われている会社員の人たちは、「厚生年金」と「(会社の)健康保険」に加入している。で、この保険料は「標準報酬月額」に応じた保険料を毎月の給料から控除(天引き)されているんだ。「標準報酬月額」ってのは、ここでは毎月の基本給+手当だと思っていいよ(正確ではないけど)。また、ボーナスからもこれらの保険料は控除(天引き)されるんだよ。

お友達が「正直しんどい」っていうのは、会社員なら「あるある」の話なんだよ。

で、この会社員が加入する「厚生年金・健康保険」は年齢に下限がないから、19歳であっても、入らないっていう選択肢はないんだよ。

学生は「厚生年金・健康保険」には入れないという誤解

Bさん

なるほど。19歳であっても、会社員になったら「厚生年金・健康保険」はマストなんですね。

ってことは逆に学生は「厚生年金・健康保険」に入ることはできないんですか?

とっくんセンセ

いや、そうとも限らないんだ。むしろ、条件を満たしたら、大学生であっても「厚生年金・健康保険」に入らなきゃいけない。こういった公的社会保険は、こちら側が入る入らないを決めることができない「強制加入」だからね。

で、その条件というのは、ざっくり言うと正社員の人の勤務時間と比べて、4分の3以上働いている人。この場合には、大学生であっても「厚生年金・健康保険」に入らなきゃいけない。これを「社会保険の4分の3ルール」って言ったりする。正社員が週40時間勤務なら、週30時間働いているアルバイトさんってイメージでいいと思う。たとえば塾の講師なんかでがっつり働いている人なんかだと、学生さんでもこれくらい働いていることがあるかもね。

Bさん

そうなんですか。最近、大学生のアルバイトはアルバイト先の年金とかに入らなくていいってどこかで聞いたことがあるような・・・

とっくんセンセ

それは、今話題の「106万円の壁」の撤廃ってやつかな? これは、厚生年金・健康保険の適用拡大といって、パートさんやアルバイトさんのような短い時間しか働いていない人であっても、収入を問題にせずに厚生年金・健康保険に加入してもらおうっていう制度のことなんだ。4分の3ルールに当てはまらない人たちだね。

で、たしかに、この「106万円の壁」の撤廃によって厚生年金・健康保険が適用される人には「学生ではない」って条件が入ってる。でも、これは「4分の3ルール」とは別の話。さっき4分の3ルールが週30時間勤務のイメージって話をしたけど、この「106万円の壁」撤廃の件は「週20時間勤務」というさらに短い勤務時間でも厚生年金に加入するって話なんだよ。

ついでにいうと、通信制や夜間の学生さんなどは「106万円の壁」撤廃の対象になるから、学生なら誰でも対象外ってわけでもないんだ。

まとめると、学生であっても4分の3ルールは適用されるし、通信制や夜間などの学生なら「106万円の壁」撤廃の適用もありうるってことだね。

Bさん

いろいろ複雑ですね・・・まあ、私はそんなにたくさんアルバイトもしていないから、今のところ「厚生年金・健康保険」に入ることはなさそうです。

「国民年金」と「国民健康保険」は必ずしもセットではない

とっくんセンセ

そうだね。じゃあ次に、Bさんのように「厚生年金・健康保険」に入っていない人のケースを考えてみよう。

まずは、年金から。

「厚生年金」ではないとすると、問題になるのは「国民年金」の方だね。

ところが、国民年金は「日本に住んでいる20歳以上60歳未満の方」に加入が義務付けられているんだ。つまり、19歳のBさんはまだ国民年金に加入できないんだよ。

Bさん

なるほどです。同じ19歳でも、会社員なら「厚生年金」に入らなきゃいけないけど、そうでないならまだ「国民年金」には入れないということなんですね。

じゃあ、同じように「国民健康保険」も19歳の私は加入できないのですか?

とっくんセンセ

いや、そこは違うんだ。「国民健康保険」には年齢の下限はないんだよ。

ただ、Bさんの場合には、親御さんの会社の健康保険の「被扶養者」となっていると思われる。世間では「親の扶養に入る」なんて言い方もするね。

つまり、国民年金と国民健康保険は必ずしもセットではないってことだね。

そして、健康保険の「被扶養者」には保険料は発生しない。もちろん、親御さんはご自分の保険料をお給料から天引きされているんだけど、「被扶養者」が何人増えたとしても追加の保険料を支払うことはないんだよ。

Bさん

え、親の保険料が上がるとかもないんですか? すごくお得な感じがします。

とっくんセンセ

うん、そうかもしれないね。

ただ、扶養に入るためには、収入制限があったりといろいろな条件をクリアする必要がある。それに親御さんが会社員でない場合もあるだろうから、大学生なら誰でも親の健康保険の扶養に入ってるなんて単純に考えることはできないんだよ。

国民年金に被扶養者制度はない

Bさん

わかりました。

まとめると、私が国民年金の保険料を払っていないのは19歳だからで、健康保険の保険料を払っていないのは親の扶養に入っているからなんですね。

あ、でも私、来年20歳になるんですよ。そしたら、国民年金はどうなるんですか? あ、もしかして、国民年金も「親の扶養に入る」ことができるんですか?

とっくんセンセ

いいところに気づいたね!

そう、先ほど出たように国民年金は日本に住む「20歳以上60歳未満」の人に加入義務があるんだけど、国民年金には「厚生年金の被扶養者」といった制度はないんだ。ここが健康保険との大きな違い。

だから、大学生であっても20歳になったら国民年金には入らなきゃいけないし、保険料も払う必要があるんだよ。

ちなみに、とっくんセンセが大学生のころにこの制度が変わったんだ。とっくんセンセが大学に入ったころには大学生は20歳以上でも国民年金は任意加入(入りたい人だけが入れる制度)だったんだけど、平成3年4月からは大学生も強制加入になった。ってこんな思い出は話はどうでもいいね(笑)

Bさん

そうなんですね。私、国民年金の保険料ちゃんと払っていけるんでしょうか・・・いくらくらいなんですか?

とっくんセンセ

令和7年度は、1ヶ月あたり1万7,510円だね。

国民年金保険料、ちょっときついなと感じたらやること

Bさん

わ、毎月1万7,510円ですか・・・払っていけるかな。

とっくんセンセ

うん、決して安くはない保険料だよね。だから、ちゃんと払えるか不安に思う人は多いと思うよ。むしろ、ちゃんと払おうって思ってるBさんはしっかりしてる方だと思う。

でも、そのあたりは、国もちゃんと考えてくれていて、「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」というものを用意してくれてるんだ。特に学生さんには「学生納付特例制度」というのもあるからね。こういったことは大学でも対応窓口があると思うので、積極的に活用しよう。もちろん親御さんともしっかり相談してみてね。

絶対にダメなのは「放置」! せっかくいろんな制度があるんだから、ちゃんと賢く使っていってね。

Bさん

とっくんセンセ、いろいろ教えてくださって、ありがとうございます。

正直言って、年金とか全然実感がわかないけど、私と同い年でも会社員の人は「厚生年金・健康保険」の保険料を払ってるんだってわかって、私ももっとしっかりしたいなって思いました。

とっくんセンセ

Bさんは充分しっかりしているよ。

ほんと、若い時のとっくんセンセをタイムマシンで連れてきて、「Bさんを見習いなさい」って説教したいくらい。

社会保険は毎年のように何らかの改正もあるし、大人でも完全に理解できているって人は少数派だと思う。でも、社会保険はお金の問題として生活に直結する問題だから、もっとアンテナをはって、情報をアップデートしていかないといけないと思う。これからもわからないことがあったら、遠慮なく聞いてね。

Bさん

(とっくんセンセが若い時のとっくんセンセに説教しているとこはちょっと見てみたいかも・・・)あ、はい、もっと勉強してみます!

さいごに

今回は、基本的なことを中心に国民年金、厚生年金、国民健康保険、(会社の)健康保険と4つの社会保険についてみてきました。

社会保険制度は本当に複雑で、専門家の社労士であっても毎年アップデートに追われるのですから、そうでない人たちがついてくるのは大変だろうなと思います。

なので、Bさんにはわかりやすさ優先で説明したつもりです。

その分、必ずしも正確ではない表現もありますが。

もしも山口県萩市・長門市・阿武町にお住まいか通学されている学生さんで、社会保険のこともっと知りたいって人がいらしたら、気軽に相談してもらえればと思います(もちろん無料ですよ)。

それではこれにて、とっくんセンセのお金と仕事 ゆとりの学び舎 その2 「20歳未満でも社会保険料を払う人、払わない人の違い」閉講といたします。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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ボードゲーム系社労士&FP

とっくんセンセ
(徳本 博方)

自己紹介

ボードゲーム系社労士&FP

50代おひとりさま予備軍

「ゆとり・つながり・まもり」の3つの「り」メイクでおひとりさまのシングルライフステージをサポート

ボードゲームで楽しく「つながり」をつくり、キャリア相談・資産形成相談と年金サポートで「ゆとり」を、成年後見で最終的な「まもり」をお届けします

プロフィール
  • 資格
    • 社会保険労務士
    • ファイナンシャルプランナー(2級ファイナンシャル・プランニング技能士・AFP)
    • 宅建士
  • 経歴
    • 一般社団法人萩長門成年後見センター事務局長(現)
    • 弁護士事務所パラリーガル(勤務17年以上)
    • 山口県萩市出身
    • 萩高校、慶応義塾大学文学部

50代のおひとり様予備軍が始めた「放活(はなかつ)」──生前整理の第一歩、1ヶ月目の記録(2025年5月)

放活(はなかつ)とは?

おひとり様をサポートするボードゲーム系社労士&ファイナンシャルプランナーの徳本です。

とつぜんですが、筆者はこの5月から「放活(はなかつ)」を始めました。

放活とは、「手放す生活」の略(筆者の造語)。

世間一般には「捨て活」といった方が通じやすいとは思いますが、単に「捨てる」ではなく、モノに感謝しながら、新たな場所へ送り出すような感覚で名づけた、私自身の暮らしの整理術です。

不用品を捨てるだけでなく、リユース・リサイクル・譲渡・寄付といった手段も積極的に取り入れています。

「お疲れ様でした。今までありがとう」とリリースする感じ。

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なぜ今「放活(はなかつ)」なのか

「放活(はなかつ)」は「生前整理」のひとつです(イメージとしては、生前整理の準備段階のようなかんじですかね)。

「生前整理」とは自分が元気なうちに自分の身の回りのモノを整理しておくこと。

これに対して、亡くなったあとにするモノの整理は「遺品整理」と言ったりします。

筆者は仕事柄(身寄りのない方などの成年後見人として業務を行う法人の事務局長をやっています)、これまで何人ものおひとり様の先輩方をお見送りしてきました。

その際に「遺品整理」の現場にも立ち会ってきました(成年後見業務はご本人さまが亡くなると業務は終了するのですが、引継ぎのために亡くなった後もある程度関与することがあります)。

残された不動産(家土地)については、「負動産」なんて言い方もあるようにかなり問題意識が共有されてきましたが、実は動産類(モノ)の処分も思った以上に大変なんです。

当然、モノの処分には「お金」がかかります。

でも、それだけじゃありません。

処分に伴う「時間」と「労力」もかなりのものです。

想像の3倍くらい。

そういう場面に立ち会うたびに「元気なうちに自分のお金と時間と労力を使ってやっていれば、他の人に迷惑かけなくて済んだかもしれないのに」と思っていました。

でも、「生前整理」って「言うは易し行うは難し」の見本みたいなものなんです。

かく言う筆者も、「いつかやらなきゃ」とどこか他人事のようにとらえていて、自分事としては手付かずな状態が続いていました。

それでもようやく「放活」スタートさせることができました。

きっかけは、親が要介護認定を受けたこと。

そして気付けば、おひとり様予備軍の自分も50代の半ばに近づいていること。

ちなみに筆者の属性は、50代前半の未婚男性で両親と同居の「こどおじ」です。

「これ、私が急にいなくなったら、親はどうするだろう?」

「逆に、親に何かあったとき、私は片付けの負担に耐えられるだろうか?」

「あれ、もうカウントダウン始まってる?」

そう思ったとき、ようやく行動に移せました。

動くなら「今」しかない。

「50代おひとり様予備軍&同居の親」にこそ放活が必要な理由

いいえ、むしろ50代の「今」こそ放活に絶好の機会のように思います。

理由はシンプル。

自分も両親も、

  • まだ気力と体力がある
  • 必要な経済的負担にも耐えられる
  • 自分でコントロールできる時間が増えている

やらない理由がないんですよね。

しかも、モノを処分するにあたって両親との会話が増えました。

「これは高校のときのだ。まだあったんか」

「(母が)結婚したときに持ってきたもの。これは置いておいて」

などと思い出の共有もできます(これをやりすぎると進まないのですが)。

放活は単なる片付けではなく、未来への備えと、親子の対話のきっかけづくりです。

おひとり様予備軍の自分が50代になった今だからこそ、親とゆっくり向き合う時間の大切さを知っています。

モノを大切に手放しながら、自分たちの残りの時間を整えていく。

これはこれでとても貴重な時間なのかもしれません。

この1ヶ月で「手放してよかったモノ」3選

前置きが長くなりましたが、ここからはこの1ヶ月で「手放してよかったモノ」を3つご紹介します。

着なくなった衣類や靴、キッチン回りのモノもそれなりに手放してきましたが、ここでは我が家ならではのモノをピックアップしてみました。

1. 押し入れに眠っていたブラウン管テレビなど(なんと5台!)

気づけば、押し入れの奥にブラウン管テレビが4台と液晶テレビが1台で合計5台も眠っていました。

どれもかつての生活の名残ですが、今では当然使わず、動かすのも一苦労(中には筆者が高校生の時に使っていた自室の小型テレビもありました)。

これは押し入れの収納力の罠ですね。

古い家あるあるですが、我が家は無駄に押し入れの収納スペースだけはあるんです。

いったん押し入れに入れてしまえば、視界に入ることもないので、つい後回しになってしまいます。

でも、存在そのものを完全に忘れているわけではないんです。

「いつか捨てなきゃ」が心のどこかでモヤモヤしている状態です。

まさに「押し入れの罠」。

今回、放活の先陣を切って眠っていたブラウン管テレビを処分してみて、使っていないモノに場所を占領されているのは、実は心の重荷にもなっていたことに初めて気づきました。

業者に引き取りをお願いして、数十年越しにようやく手放せてスッキリしました。

リサイクル料金だけでなく運搬費用もかかりましたが、ここはちょっとお金をかけてもいいかなと思いました(ちなみに、消費税込みで1万8000円くらいかかりました)。

2. ガーデニングの植木鉢や植物たち

かつて母が楽しんでいたガーデニングの植木鉢や植物たち。

庭づくりが大好きだった母ですが、ここ数年で足腰が弱り、世話が難しくなってしまいました。

外に出るのも億劫になって、家の中で過ごす時間が増えていたのです。

筆者も水やりなどはやっていたのですが、どうしても手入れがおろそかになって、見た目もみっともない状態になっていました(自分で言うのもなんですが、「お化け屋敷」状態でした)。

そこで、農家をやっている母方の実家にお願いして、引き取ってもらうことにしました。

軽トラックで2往復。

ついでに父が張り切って残った庭の植物の剪定をばっさばっさとやってくれました。

これは効きましたね。

毎日の帰宅が気持ちいいんですよ。

そして、もう一ついいことが。

それは、「(実家に)植物を見にいこう」と母を外に連れ出すちょうどいい口実ができたことです。

通院くらいでしか外出したがらない母も、これはまんざらでもないようです。

3. 祖母の小料理屋時代の食器類

「押し入れの罠」第2弾なのですが、それは祖母(すでに他界しています)が昔小料理屋を営んでいたときの食器類です。

これも押し入れの奥に眠っていました。

祖母が小料理屋をやっていたのは50年以上前の話(筆者が物心つくころにはもうやめていました)。

ただこれらの食器類は、祖母が小料理屋をやめた後も、筆者が子どもの頃には、まだ親戚が集まるときなどに使われていたのですが、いつの間にか親戚が集まることもなくなっています。

そうして、使わなくなってからは数十年触れていなかったのです。

食器としての役目はとうに終えています。

ようやくお休みしてもらうことができた感じです。

今回の「放活(はなかつ)」で祖母にも「お疲れ様でした」と言えた気がします。

まだ手放せないモノたち──「好き」と「思い出」との折り合いをつける

放活を進めるなかで、手放してスッキリしたモノがある一方で、まだどうしても手が付けられないモノたちもあります。

本──「青春」が詰まっているからこそ、簡単には手放せない

高校生の頃に夢中になって読んだ漫画、大学時代に夜通し読みふけった小説。

本棚や段ボール箱の中に並ぶそれらの背表紙を見るたびに、当時の空気感や感情が一気によみがえるんです。

「これが好きだった自分を、まるごと手放す気がして……」

そんな思いがよぎって、どうしても処分に踏み切れません(いい年したおっちゃんでもこういう感情はあるんですよ)。

それでも、まずはあまり思い入れのない本、きれいな状態のものから売却を始めてみることにしました。

「全部じゃなくていい」「厳選して残す」という選択肢があることで、少しだけ気持ちが前に進めた気がします。

CD・DVD──今でも“音”や“映像”が記憶を揺さぶる

音楽や映画もまた、記憶と強く結びついたメディアです。

よく視聴しているお気に入りは残しますが、正直なところ、「もう聴かない(視ない)だろうな」というものも多いんです。

でも、買ったときのワクワクや、そのときの生活や心境がふとよみがえってきて――なかなか判断がつきません。

何より「これ、また買おうと思っても、もう買えないよな」

これもブレーキがかかる理由です。

保留でもいいじゃないという開き直り

最近は、サブスクも検討中です。

今は本も音楽も映像もサブスク時代です。

物理的なモノにしがみつかずに済むのかもしれない。

“データで残す・データを楽しむという選択肢が、心の整理の助けになりそうだと思い始めています

手放せるモノがある一方で、まだ「向き合うことすら迷う」モノもある。

それでも、「いまは手放せない」と気づくことも、放活の大切な一歩なのだと思います。

「愛着」と「執着」は別のものとは理解していますが、ここはいったん保留してみてもいいかなと思っています。

「保留もあり」これが放活1ヶ月目の正直な感想です。

おわりに──放活は3つの「り」メイクの実践

放活(はなかつ)を始めて、まだたった1ヶ月。

それでも、押し入れの奥で眠っていたモノたちを手放しながら、少しずつ心と暮らしの風通しがよくなってきた気がします。

まさに「ゆとり」が生まれています。

それに特に印象に残っているのは、モノを減らしたことよりも、両親との会話や外出のきっかけができたこと

手放すことで生まれる「つながり」があることに気づかされました。

もちろん、まだ手放せないモノもあります

でも、「今は手放せない」と分かったこと自体が、ひとつの大切な“整理”なのかもしれません。

大事なのは、完璧を目指すことではなく、自分の気持ちに素直に向き合いながら一歩ずつ進むことだと感じています。

こうして少しずつでも生前整理を進めていくのはまさに老後の「まもり」を固めること。

「放活(はなかつ)」は「ゆとり」「つながり」「まもり」の3つの「り」メイクの実践なのです。

これからも、月に一度くらいのペースで「放活記録」を残していこうと思います。

読んでくださった皆さんも、よければご自身の「手放したもの」「まだ手放せないもの」を、ぜひ振り返ってみてください。

それが、思いがけずやさしい未来への準備になるかもしれません。

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【初心者学生限定】ボードゲーム体験会 参加者募集【山口県萩市・長門市・阿武町】

ボードゲーム系社労士の主催するBOARDGAMES OFFICEKITAURAでは、山口県萩市・長門市・阿武町にお住まいか通学している学生さん向けに「初心者学生限定ボードゲーム体験会」の参加者を募集しています。

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初心者学生限定ボードゲーム体験会

開催日時:2025年5月31日(土)13:00~18:00(入退出自由)

開催場所:萩長門成年後見センター会議室(萩市西田町70番地 萩・山口法律事務所2階)

参加費:無料

参加資格:山口県萩市・長門市・阿武町にお住いの(または通学している)学生さん(高校生以下の方は保護者様の承諾が必要です)

なお、このボードゲーム体験会においては、一切の政治的・宗教的・商業的(ネットワークビジネスなど)勧誘等をお断りします(当該勧誘行為など主催者が不適切と認めた場合には予告なく退出させることがあります)。

体験会で扱うボードゲーム

今回は、本格的なボードゲームをやったことのない学生さんに向けて、「カタン」「カルカソンヌ」「ドミニオン」といったボードゲーム界隈ではかなりメジャーなゲームを遊んでみたいと思っています。

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単なる運ゲーとは一味も二味も違うボードゲームの面白さを感じてもらいたいです。

こういうと「え、初心者にカタン?」と心配されることがあります。

というのも、ボードゲーム界隈では「初心者にいきなりカタン問題」というものがあって、定期的に問題提起がなされているのです。

これは、カタンは入門編というにはちょっとルールが難しく、しかも妨害ルールもあるので(「盗賊」)、いきなりカタンから入ると、初心者さんが委縮してボードゲームを楽しめない(もっというと苦手意識を持ってしまってボードゲームそのものを嫌いになるかもしれない)という問題意識です。

この問題意識自体はよく理解しているつもりです。

そこをあえて「カタン」から入ってみようと思います。

ただし、あまりギスギスした雰囲気にならないように「盗賊」については特別ルールを採用しようかとは思っています。

筆者もかつて他プレーヤーに組まれて執拗に盗賊攻撃を受けたことがあります。

前のゲームで勝っていたので、リベンジしたいという気持ちだったのでしょうが、暫定1位でもなく、期待値の高い数字でもない場所なのに盗賊を置き続けられたときは、さすがに疲弊しました。

まあ、そのメンバーの中では経験者だったので「強い人認定」されてしまったのかもしれませんが(人狼でいうところの「脅威嚙み」みたいなものかな)、正直気持ちのいいものではなかったです。

そういった経験を踏まえて、筆者がゲームマスターをします。

初心者にも安心で楽しめる「カタン」をやりたいと思っています。

申し込み方法

初心者学生限定ボードゲーム体験会の当日は、開催時間中であれば入退出自由なのですが、事前の申込時に入室見込み時間を教えてもらえればと思っています。

お申し込みは次のメールアドレスまで下記の項目をお知らせください。

boardgamesofficekitaura@officekitaura.jp

件名:5/31ボードゲーム体験会参加申込

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知っているひとだけ得してる! 親の介護費用を抑えるための非課税世帯の制度活用術【50代必見】

「そろそろ親の介護が始まるかも……どうしたらいいのだろう」


50代になると、そろそろ親の介護のことが気になってきます。

そう思っても、具体的な対策がわからず、不安を抱えたままの方は多いのではないでしょうか。

かくいう筆者自身も「5080」問題の当事者です。

今回は、社労士&ファイナンシャルプランナーとして、14年以上成年後見制度の社会保険最適化業務に取り組んでいる筆者が、成年後見業務を通じて学んだ介護費用を抑制する方法をお届けします。

結論から言います。

それはずばり「住民税非課税世帯」になることです。

「住民税非課税世帯」であれば、介護サービスの自己負担を軽くできる制度があるのです。

この制度を知っているか知らないかだけで年間で数十万円以上の差が出ることもあります。

今回は、そんな「介護×住民税非課税世帯」のメリットをわかりやすく解説します。

なお、こちらの情報は投稿日現在のものですのでご注意ください。

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「住民税非課税世帯」とは?

住民税には「所得割」と「均等割」の2種類があり、世帯全員がそのどちらも課税されない場合にその世帯は「住民税非課税世帯」となります。

たとえばこんなケースが該当します(東京都23区内の場合)

  • 〈東京23区内の場合〉
    • 同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合
      35万円 × (本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数) + 31万円 以下
    • 同一生計配偶者又は扶養親族がいない場合
      45万円 以下

※東京都主税局ホームページから引用

東京都23区の例でいうと、たとえば65歳以上の単身世帯で収入が公的年金だけの場合には、年金収入が年間155万円以下の場合に住民税非課税世帯になります。(公的年金収入155万円から公的年金等控除額110万円を引いたら45万円になりますね。これを「155万円の壁」というひともいます)。

ただし、住民税が非課税になる基準は住所地(その年の1月1日のもの)によって変わることがあります。

これを級地区分といいます(ちなみに、筆者の住んでいる山口県萩市の単身世帯の住民税非課税の基準は38万円以下ですので、先ほどの「155万円の壁」は「148万円の壁」と読み替えることになります)。

住民税非課税の基準については、お住まいの自治体でご確認することが必要です。

今回の記事では、各制度自体をしっかり知っていただくために、「誰の扶養にもなっていない単身世帯の親(65歳以上)」という設定で考えていきます。

実際には、同一世帯に課税対象者がいたり、誰かの扶養になっていたりということもあるでしょう。

そういった場合には世帯分離をした方がいいのか扶養から外れた方がいいのかなど、状況に応じてどちらがより大きなメリットがあるかを検討する必要がでてきます。

住民税非課税世帯が介護で得られる3つのメリット

住民税非課税世帯の方が介護の現場で使うことができる3つの制度をご紹介します。

ここでは、

  • 高額介護(介護予防)サービス費
  • 特定入所者介護サービス費(補足給付)
  • 社会福祉法人の「利用者負担軽減制度」

の3つを紹介します。

高額介護(介護予防)サービス費の自己負担上限が下がる!

在宅介護や通所介護などで発生する介護保険サービス費用(利用料)には、要介護度等による利用限度額が定められており、さらに所得区分によって月ごとの自己負担額に上限が設けられています。

そして、支払った自己負担額がその上限を超えている場合には、差額に相当する金額が申請によって支給されることになります。

これを「高額介護(介護予防)サービス費」といいます。

対象者にはお住まいの自治体から申請書などが送られてくると思いますので、申請手続きを必ず行いましょう(申請主義なので、放っておくと時効で消滅する可能性がありますので要注意です)。

投稿日現在の住民税非課税世帯の高額介護(介護予防)サービス費利用者負担上限額は月額2万4600円(年間収入が80万円以下であれば1万5000円)です。

たとえば、要介護度3のひとの1ヶ月の居宅サービス費が27万円(利用限度額は27万0480円)だった場合、自己負担額(1割負担)は2万7000円となり、限度額2万4600円を超えた2400円が支給されます。

仮にこの支給が同じ条件で5年間続いた場合には、2400円×12ヶ月×5年=14万4000円となります。

介護は長期間に及ぶケースも多いので、毎月の支給額はそれほど多くはなくても、それが積もり積もれば無視できない金額になるということです。

入所施設の食費・居住費が軽減される特定入所者介護サービス費(「負担限度額認定」)

特養などの入所施設では、介護費用のほかに「食費・居住費」が発生しますが、住民税非課税世帯で預貯金額の資産要件など諸条件を満たせば、「特定入所者介護サービス費(補足給付)」により費用が軽減されることがあります。

具体的には、自治体から「負担限度額認定」を受けることで、毎月の施設での食費・居住費が軽減された額で請求されます(先ほど紹介した高額介護(介護予防)サービス費はいったん払った後での差額分支給でしたが、こちらはそもそもの請求金額が安くなるので、より経済的負担が減ります)。

こちらも申請が必要ですので、対象者は自治体にご相談のうえ、負担限度額認定の申請を行ってください。

たとえば、筆者の住んでいる山口県萩市では、住民税非課税世帯のひとの年収(非課税年金も含む)が80万円超120万円以下のひとは「第三段階①」に該当するとされ、特養等の住居費は多床室で日額430円、食費は日額650円とされています(投稿日現在)。

つまり住居費と食費の合計は日額1080円となります。

30日の月であれば、1080円×30日=月額3万2400円という計算です。

もしこれが住民税非課税世帯「第三段階①」ではなく標準費用額(めやす)であれば、特養住居費(多床室)日額915円、食費日額1445円で、合計日額は2360円となり、30日なら2360円×30日=7万0800円となります。

その差額は、7万0800円-3万2400円=3万8400円です。

これが1年間なら46万0800円、5年間なら……

これほどの差がつくのは驚きです。

住民税非課税世帯の方が特養などに入所される場合には、預貯金額などの条件はありますが、介護保険の限度額適用認定は必ず検討しましょう。

社会福祉法人の「利用者負担軽減制度」が使えることも

次にご紹介するのは、社会福祉法人の「利用者負担軽減制度」です。

収入や預貯金額が基準以下などの要件を満たせば、社会福祉法人が提供する介護サービスの利用者負担が軽減される制度です。

正直言って、筆者は今の仕事をするまでこの制度を知りませんでした。

なぜならば、この制度は社会保険の制度ではないからです。

筆者は社会保険労務士で、公的年金や公的医療保険の専門家です。

また、ケアマネさんほどではありませんが、広義の社会保険として介護保険の知識もある程度は持っています。

しかし、この制度は福祉の制度ですので、社会保険労務士の専門範囲外なのです。

福祉の専門家以外でこの制度知ってる人はどの程度いるのでしょうね……

この制度は、介護保険の制度と併せて使うことができます

もし該当するのであれば躊躇なく使っていきましょう(預貯金額などの条件はシビアですが)。

利用には申請が必要なので、まずは事業所や自治体に相談しましょう。

「障害者控除対象認定」制度を知っていますか?

さきほど、65歳以上の単身世帯で公的年金収入のみの場合、住民税非課税世帯になるためには「155万円の壁」が存在するというお話をしました(なお、公的年金が障害年金や遺族年金などの非課税年金の場合には、そもそも非課税なので155万円の壁はありません)。

では、老齢年金などの年収が155万円の壁を超えてしまう場合には、住民税非課税世帯にはなれないのでしょうか。

ここで検討したいのが「障害者控除対象認定」です。

住民税非課税世帯の要件を思い出してください。

「障害者・未成年者・寡婦又はひとり親で、前年中の合計所得金額が135万円以下」というのがありましたよね。

税法上の「障害者」であれば、所得が135万円以下であれば住民税非課税世帯となるという規定です。

つまり、障害者等であれば、公的年金等控除額(110万円 ※65歳以上で年金年収330万円未満の場合)を加算すれば、「155万円の壁」は「245万円の壁」まで上がるということです(壁が上がった方が住民税非課税世帯になりやすいです)。

このような税法上の障害者と認められるには、いわゆる「障害者手帳」を有しているケースが考えられます。

しかし、「障害者手帳」を持っていない場合であっても、要介護認定を受けた高齢者は、自治体の判断により「障害者控除」の対象になることがあります。

これを「障害者控除対象認定」といいます。

自治体から「障害者控除対象認定」を受ければ、住民税非課税世帯になる可能性がでてくるのです。

たとえば、公的老齢年金のみで年収180万円(月15万円)の場合、このままだと住民税非課税世帯にはなれませんが、障害者控除対象認定を受けて手続きを行った場合には住民税非課税世帯になることが可能となります。

障害者控除対象認定の基準や方法はお住まいの自治体に相談してください。

なお、障害者控除対象認定を受けたあとは、自治体の税務課に障害者であることを伝える必要がありますので、確定申告や住民税申告などの手続きもお忘れなく。

おわりに

介護費用は、ただでさえ精神的・身体的な負担が重なる中での出費になります。

しかし、制度を知り、上手に活用することで、負担を軽くすることは十分に可能です。

ただし、こういった制度のほとんどは「申請主義」を採用しています。

平たく言えば「言ってくれればやるけど、そっちが言うまでは知りませんからね」ということです。

まさに「知ってるひとだけが得する」制度と言っても過言ではありません。

なかには自治体から「あなたは対象者ですので申請ができます」といった趣旨の文書が送られてくることがあります。

また、一度申請しておけば、その後はいちいち申請しなくても自動的に対応してくれる場合もあります(これはありがたい!)

しかし、高齢者の場合、そういった文書はよく読まずに、そのまましまい込んでいるケースが散見されます。

実際に、筆者が成年後見業務でかかわったひとの中には自治体からのお知らせ文書を放置していたケースが複数ありました。

成年後見人が就任後ただちに手続きを行ったものの、一部は時効で消滅してしまっていたケースもあります。

これが申請主義というものかと実感しました。

いずれにしても、これらの制度を知っているだけで、介護に向き合う“心の余裕”と“家計の安心”が多少なりとも生まれると思います。

親の介護が心配になった今こそ、一度ご家庭の収入状況や制度適用の可能性をチェックしてみてください。

この記事が何かのお役に立てれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

ボードゲーム系社労士&FP

とっくんセンセ
(徳本 博方)

自己紹介

ボードゲーム系社労士&FP

50代おひとりさま予備軍

「ゆとり・つながり・まもり」の3つの「り」メイクでおひとりさまのシングルライフステージをサポート

ボードゲームで楽しく「つながり」をつくり、キャリア相談・資産形成相談と年金サポートで「ゆとり」を、成年後見で最終的な「まもり」をお届けします

プロフィール
  • 資格
    • 社会保険労務士
    • ファイナンシャルプランナー(2級ファイナンシャル・プランニング技能士・AFP)
    • 宅建士
  • 経歴
    • 一般社団法人萩長門成年後見センター事務局長(現)
    • 弁護士事務所パラリーガル(勤務17年以上)
    • 山口県萩市出身
    • 萩高校、慶応義塾大学文学部