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意外と困る保佐人の権限外行為

できないことの方が多い保佐人業務

オフィス北浦のブログサイトにようこそおいでくださいました。

社会保険労務士の徳本です。

筆者は、法定成年後見業務を専門に行う法人の事務局長を務めています。

成年後見業務(保佐業務)をやっていて困ることの一つに、「保佐人の代理権が設定されていないのに、その業務を保佐人が行うことが当然とされている」というケースがあります。

今回は、このような保佐人の権限外の行為について現状とその問題点(できれば解決策まで)を考えてみたいと思います。

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保佐人のできることは限られている

保佐人のできること(権限)は、原則として、民法13条1項各号に定められた事項(たとえば、借入や保証契約(2号)、不動産の取引(3号)など)についての同意権と、それらを本人が保佐人の同意なしに行った場合の取消権(ないし追認権)です。

たとえば、本人が借金をしようとした場合には、保佐人の同意を得て契約しなければならず、仮にその同意なしに契約をした場合には保佐人がその契約を取り消すことができるということです。

また、これらの同意権の範囲は、拡張することもできます(民法13条2項)。

ただし、契約を行うのはあくまでも本人であり、保佐人はそれに同意をすることができるというだけです。

この点、「成年後見人」の場合には、本人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為については本人を代表する(=法定代理人として法律行為ができる)とされていること(民法859条1項)と比べると、大きな違いがあります。

もちろん、保佐人の場合にも、代理権付与の審判(民法876条の4)を得ることで、一定の行為については代理権が行使できますが、成年後見人のように、広範な代理権を一般的に行使することはできないのです。

このように保佐人の権限が限られていることは、本人(成年被後見人と被保佐人)の現有能力の違いに由来するものですし、そもそも広範な代理権行使は本人の人権の制約にもつながるので、理にかなった制度ではあります。

しかし、実際の保佐人の活動の現場では、困ったことも生じるのです。

 

権限外行為を求められる現実

実際に保佐人として活動をしていると、民法13条の同意権(またはその取消権)を行使する場面というのはそれほど多くはありません。

よく考えずに不相当な契約をしてしまったとか、不動産を売却しなければならないとか、日常生活においてはそうそう頻繁にあることではないのです。

むしろ、保佐人が行うことの多くは、医療費等日常の支払いや金融機関の取引(預貯金の管理)といったことであり、これらの行為に関しては予め保佐人に代理権が付与されていることがほとんどです(もしくは、選任後必要に応じて新たに代理権を付与してもらうこともあります)。

このような類型的な行為については、代理権付与で対応できるのですが、イレギュラーなことが生じて、保佐人がその対応に追われることも少なくありません。

たとえば、年金や医療保険といった社会保険の申請や福祉関係の行政手続き、ときには収入がないことの税務上の手続などがあります。

保佐の場合、本人が行為を行うのが原則なので、「本人にやらせればいい」と言われればそのとおりなのですが、本人だけではできないからこそ保佐人に対応が求められるのであり、それこそが、本人や関係者(果ては黙示に裁判所までも)が保佐人に求めているものなのです。

そのため、保佐人への代理権付与の項目が多岐にわたってしまい、何のために保佐人の権限を制限したのかよくわからなくなるといった現象も起きます(それでも、それらの代理権の範囲を超えた問題が生じることも少なくないのですが)。

それならば、「その都度、裁判所に代理権付与を求めればよい」とか「個別に本人と委任契約を結んで代理権を取得すればよい」というご指摘もあるのでしょう。

たしかにお説ごもっともです。

時間も手間も費用も考えずにすむのならそのようにしますが、実際にはそれができない現実もあります。

また、本人から保佐人が個別に代理権を取得する場合、保佐人が本人との委任契約の一方当事者になることの適否の問題もあります。

さらに言えば、そもそも業際問題(法律で許された者以外への代理ができない場合)が絡んでくることもあります。

「それができるのなら、とっくにしてるよ」というのが本音なのではないでしょうか。

結局のところ、このような場合、現場では、保佐人が本人のところに行って事情を確認し、本人が書類を作成できるように援助し、場合によっては提出を代行するといったように、「本人が行為を行った体裁」をつくって、臨機応変に対応せざるをえないのです。

 

保佐人は日常業務の負担が大きい

そもそも、保佐人の日常業務に関しては、成年後見人のそれよりも相対的に手のかかることが多いものです。

たとえば、重度の障害によって入院・入所している成年被後見人と、軽度の障害で自宅で暮らしている被保佐人とでは、後者の方が日常業務の負担が大きいというのは、実際に後見業務に携わった方なら実感できるのではないでしょうか。

前者の場合、前述のように成年後見人には広範な権限があり、成年後見人は代理権を使って様々な手続きを行えますし(その是非はひとまず置いておいて)、そもそも入院や入所中であれば、病院や施設のおかげで、日常の生活トラブルなどは抑えられます。

それに対して、後者の場合には、保佐人の権限が限定的であるにもかかわらず、本人だけでは対応できないことが生じれば、そのフォロー(権限外であっても)は必要ですし、在宅であれば、日常の様々な困りごとが日々生じてきます。

そして、そのような日常の場面でこそ、保佐人の権限外行為が求められるのです。

保佐人が評価されない現実

しかしながら、こうして保佐人が権限外の行為を行ったとしても、保佐人の評価にはつながらないのが原則です。

たとえば、保佐人の同意権(場合によっては代理権)によって不動産を処分して利益を得たとか、保佐人が取消権を行使して財産を取り戻したとかいう場合には、金銭的に効果が見えるのでその評価もある程度客観的に行えるでしょう。

それに対して、たとえば、本人だけではできない社会保険や福祉の手続きを保佐人が手伝ったからといって、これを客観的に評価するのはなかなか難しいのではないでしょうか(身上監護の一環としてどの程度評価されるのかは正直よくわかりません)。

しかも、権限外の行為、すなわち業務外の行為であれば、そもそも評価の対象外とされても文句は言えません。

保佐人業務の評価が必ずしも正当に行われていないのではないかという現実があるのです。

 

それでも保佐人制度はもっと活用されるべき

以上のように、①保佐人の権限が限定されていること、②権限外の行為を(当然のように)期待されていること、③保佐人の権限外行為が求められる場面が少なくないこと、さらに④保佐人の業務の評価が難しいことという理由から、保佐人の業務は負担が大きいといえます。

さらに言えば、(成年被後見人に比べて)被保佐人の現有能力が高いので、方針や意見の違いから、本人と保佐人との間に衝突が起きやすいという傾向もあります。

こういった理由から、専門職の方からも「保佐人はこりごり」とか「保佐人は割に合わない」といった愚痴を聞くこともなくはありません。

しかし、保佐人制度は、成年後見人制度よりも本人の権限の制限が緩やかであり、本人としっかりコミュニケーションをとることで、意思決定支援を行いやすいというメリットもあります。

そういう意味において、保佐人制度はもっと積極的に活用されるべき制度だと考えています。

 

積極的に専門家に依頼できる仕組みづくりを

では、前述の①~④の問題のように、保佐人が「権限なき責任を日常的に無償で負わされている」という現状をどうすればよいのでしょうか。

その対策の一つは「専門家への依頼」だと思っています。

社会保険手続は社労士に、行政手続は行政書士に、税務申告は税理士にといったように、各専門家への依頼がスムーズにできれば、保佐人が権限外の業務を負担することは少なくなるでしょう(専門家に依頼すれば業際問題も生じません)。

ただ、実際のところ、専門家への依頼に、それほどお金がかけられないという問題があります。

また、「わざわざ専門家に依頼するような内容ではないのではないか」ということで、依頼を躊躇することもあるかもしれません(専門家側でも、小さな手続を敬遠するということがないわけではないでしょう)。

そのようなことのないように、ちょっとしたことでも、できるだけ安価で気軽に効率的に、保佐人が各専門家に依頼できるような仕組み作りが必要なのではないかと思っています。

この点、弁護士の法テラスのような制度や公的な援助の制度があればいいのにと思うところですが、現実的にはさすがに難しいでしょう。

個人的には、現在進行中の成年後見の「中核機関」構想の中で何らかの仕組みをつくってもらえないものかと期待をよせているところです。

保佐人制度をもっと活用するためにも、保佐人の業務負担の軽減はとても大切なことなのですから。

現場では、「成年後見相当」とされる人の中でも、その能力には幅があり、限りなく「保佐相当」に近いのではないかと思われる人もいます。

本来、本人の能力が回復しているのであれば、成年後見から保佐に変更する手続きをするべきなのですが、仮に、保佐に変更になることによって生じる業務負担増が原因で、それを躊躇うことがあったとすれば、本人の人権侵害に直結する大きな問題だと思っています。

実際にそのようなことはないことを願いますが、現実問題として、成年後見と保佐との利用率の差をみると、考えてしまうものがあります。

保佐人制度が有効に機能するように、必要な仕組みを真剣に構築すべき時期だと思っています。

せっかくの「中核機関」構想ですので、これを機に是非改善していただきたいものです。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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要注意!こんなケースでは介護保険負担限度額認定申請を忘れずに!!【成年後見実務の社会保険手続2】

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「忘れてはいけない 成年後見実務の社会保険手続」シリーズです。

成年後見特化法人の事務局社会保険労務士である筆者が、成年後見実務で行う社会保険手続のうち、つい忘れてしまいがちなものについて解説をしていきます。

第2回目は介護保険の負担限度額認定手続です。

 

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介護保険負担限度額認定制度の概要

  • 介護保険施設に入所等される人で、低所得の人の施設利用時の食費・居住費、ショートステイの食費・滞在費が負担増とならないように、一定額以上を保険給付する(食費や居住費などの自己負担額が減額される)制度
  • 低所得の人は所得に応じた負担限度額までを自己負担すればよい(残りの基準費用額との差額分は介護保険から給付される)
  • 対象となる介護保険施設は、介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護療養型医療施設。いわゆる老健や特養はこれに該当。有料老人ホームやグループホームは原則対象外
  • 対象となるための要件は、①世帯全員が市民税非課税であること(世帯分離をして住民票上、別世帯の配偶者でも市民税が非課税でなくてはならない)、②預貯金、有価証券、投資信託、金・銀及び現金などの資産が単身で1000万円以下、夫婦で2000万円以下であること(②を「資産要件」という)
  • 利用者負担段階は第1段階から第4段階までの4段階に区分されている(第4段階では原則減額は受けられない)
  • 第2段階(市民税非課税世帯で前年の合計所得金額と公的年金等収入額の合計が80万円以下)と第3段階(市民税非課税世帯で前年の合計所得金額と公的年金等収入額の合計が80万円を超える)では、所得金額だけではなく、非課税の障害年金や遺族年金などの収入額も合算されて段階が判定される
  • 虚偽の申告をした場合は、給付額の返還に加え、給付額の2倍の加算金が課される場合がある(いわゆる「3倍返し」のペナルティー)
  • 申請した月の初日から認定が適用される(月末に申請しても、その月の1日から減額される)

特に手続を忘れやすいケース

  • 同一世帯の誰か(住民税を課税されていた者)が亡くなって、その世帯が住民税非課税世帯となった場合:住民税非課税世帯になった(第4段階から第3または第2段階になった)にもかかわらず、成年後見人がそれに気づかない
  • 配偶者が亡くなって、資産要件を充たすようになった場合:配偶者と併せて2000万円を超える資産があったために従来限度額認定に該当していなかった者が、配偶者が亡くなって、資産が単身で1000万円以下になったにもかかわらず、成年後見人がそれに気づかない
  • 介護保険要介護認定の更新を介護施設等に代行してもらっている場合:介護保険負担限度額認定の申請や更新は、通帳等が必要になるため個人情報保護を理由に施設等で代行してもらえない場合がある。そのような場合、介護保険負担限度額認定更新手続は、成年後見人がしなければならないのに、それを失念し、更新期間を徒過してしまう

手続を忘れるとどうなるか?

  • 居住費や食費の自己負担が基準費用額から減額されない
  • 月をさかのぼって認定を受けることはできない(申請した月の初日より前にはさかのぼれない)
  • 仮に有効期限が7月31日で、8月中に更新申請手続をとらなければならないのに、9月になって申請した場合、8月分の居住費や食費は減額されない(9月1日から適用される)
  • たとえば、第2段階の人で特養従来型個室の場合、居住費の差額は730円(基準費用額1150円-第2段階負担限度額420円)、食費の差額は990円(基準費用額1380円-第2段階負担限度額390円)になる(1日当たり)
  • 仮に上記の差額が31日間生じた場合の負担増加額は、(730円+990円)×31日=5万3320円である

忘れないようにここをチェック

  • 介護保険負担限度額認定証の有無を確認し、ある場合には段階を、ない場合にはその理由(どの要件を充たしていないのか)を把握する(この段階で申請の失念に気付いたら直ちに申請する)
  • 本人の収入状況を把握する(非課税である遺族年金や障害年金も忘れずに)
  • 本人と配偶者の預貯金等資産状況を把握する(本人単身で1000万円を超えるのか、夫婦合算で2000万円を超えているのかなど)
  • 第4段階(住民税課税世帯)の場合、世帯の中の誰が住民税課税対象者なのかを把握しておく(本人単身であれば非課税なのかも併せて確認しておく)
  • 施設の担当者と介護保険負担限度額認定の申請・更新について誰が行うのか協議しておく(施設側が代行してくれるのか、成年後見人が行うのか。もっとも、本人や配偶者の預貯金等資産情報を提供する必要があるので、代行の依頼は慎重に対応することが望まれる)
  • 有効期限、申請(更新)期限の管理を徹底する(有効期限が終了する月の翌月末日までに申請できれば、負担増は回避できるが、余裕をもって申請すること。認定証の発行には数日を要する。もっとも、認定証の発行が月を跨いだとしても、申請した月の初日から適用されるので、とにかく有効期限が終了する月の翌月中には必ず申請すること)

さいごに

介護保険負担限度額認定制度は、①収入の判定に非課税の遺族年金や障害年金が合算されること、②資産要件(夫婦の預貯金等の合計額)が設けられていること、③非課税世帯の判断に世帯分離した配偶者も加えられることなど、他の制度ではあまりみられない特徴があります。

そのため本人さんがどの段階に該当するのか(そもそも介護保険負担限度額認定を受けられるのか)がわかりにくいところがあったり、本人さん以外の要因で段階が変更になることも想定されます(たとえば配偶者の死亡など)。

また、資産要件が導入されて以降、個人情報保護の点から、施設側に代行申請をお願いするのが難しくなってきたという経緯もあります。

介護保険負担限度額認定制度は介護保険施設入所には避けてはとおれない手続ですので、成年後見人としては制度をしっかり理解して、本人さんの不利益にならないように十分に気をつけたいところです。

なお、親族等から介護保険負担限度額認定申請にあたって不正(収入や資産の過少申告など)をお願いされることがあるかもしれませんが、絶対にそのようなことはしてはいけません。

3倍返しのペナルティーを受けるばかりか、懲戒や解任、損害賠償の事由にもなりかねません。

必ず正しい申請をしてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。
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要注意!こんなケースでは長期入院該当の申請を忘れずに!!【成年後見実務の社会保険手続1】

忘れてはいけない 成年後見実務の社会保険手続(1) ~長期入院該当申請

 

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今回から「忘れてはいけない 成年後見実務の社会保険手続」シリーズをスタートします。

成年後見特化法人の事務局社会保険労務士である筆者が、成年後見実務で行う社会保険手続のうち、つい忘れてしまいがちなものについて解説をしていきます。

第1回目は国民健康保険等の「長期入院該当」の申請手続です。

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長期入院該当とは

  • 長期入院該当とは、住民税非課税世帯等の低所得者の所得区分に該当する限度額適用・標準負担額減額認定証の交付を受けていた期間の入院日数が、過去12ヶ月で90日を超える場合、申請により入院中の食事代(食事療養標準負担額)が減額される制度
  • 対象となる所得区分は各保険によって異なるが、たとえば後期高齢者医療の場合には区分Ⅱ、70歳未満の国民健康保険の場合には住民税非課税世帯の区分がそれに該当する
  • 長期入院該当日以降、入院時の食事代が、1食当たり210円が160円に減額される
  • 長期入院該当日は申請日の翌月1日(長期入院該当の記載のある限度額適用・標準負担額減額認定証を病院に提示すれば、申請日の翌月分から食事代を1食160円として計算してくれる)
  • 申請日からその月の月末までは差額支給の対象(別途手続が必要)

 

特に手続を忘れやすいケース

  • 世帯分離や同世帯の誰かが亡くなるなどして、本人の所得区分が低所得者に変わった場合:新たに限度額適用・標準負担額減額認定証の交付を受けた後に、入院日数が90日を超過したのに気づかない
  • 本人が後期高齢医療制度の低所得者の場合:所得区分を区分Ⅰ(食事代1食100円)と勘違いして、実際には区分Ⅱ(長期入院該当の制度の対象)であることに気づかない ※国民健康保険等(70歳以上)の場合にも起こりえる
  • 本人がすでに入院を開始している状態で成年後見人に新規に就任したり、前任者から引き継いで就任した場合:成年後見申立や前任者の辞任申立の時点では入院日数90日以下だったものが、その後90日を超えたにもかかわらず、成年後見人がそれに気づかない
  • 入院中に本人が75歳になった場合:75歳以降後期高齢者医療に変わった場合でも、75歳前の国民健康保険の期間の入院日数を通算できる(所得区分が同等な場合)にもかかわらず、成年後見人がそれに気づかない

 

手続を忘れるとどうなるか?

  • 食事代が減額されない(1食210円のまま)
  • 1食50円の差額が生じる(それだけ多く支払うことになる)ので、仮にこの状態が6ヶ月(180日)継続した場合、1食50円×3食×180日=2万7000円を多く払うことになる
  • すぐに申請しても90日超過日に遡って適用されるわけではない

 

忘れないようにここをチェック

  • 本人が入院中の場合には、前任者(いる場合)や親族、病院の相談員などの関係者との引継の際に、入院日数を必ず確認する
  • 限度額適用・標準負担額減額認定証の有無を確認し、ある場合には所得区分を必ず確認する
  • 親族が保管している等の理由で認定証が手元にない場合は、市役所等で区分を照会する
  • 新たに限度額適用・標準負担額減額認定証を申請する場合には所得区分を確認して、長期入院該当制度が使える区分の場合には、その時点で90日超過の日を計算し、申請スケジュール管理を徹底する
  • 本人が入院中に75歳になって後期高齢医療制度に変わる場合には、75歳前の入院期間も通算して計算する
  • 入院日数をしっかり管理する(2月が入院期間に入っている場合、3ヶ月経過でも90日を超過していない場合もあるので要注意。たとえば、閏年でなければ1/1~3/31の入院日数は合計90日となり、90日を超過していない)
  • 入院費の領収証の保管を忘れない(申請の際の添付資料になる)

 

さいごに

長期入院該当は、低所得者の入院が長期になった場合に行う手続ですので、それほど頻繁に扱う手続ではありません(それゆえに、専門職後見人であっても制度自体をあまりご存じない方もいらっしゃいます)。

また、特に後期高齢者医療の場合には、低所得者の区分がさらに区分Ⅰと区分Ⅱにわかれていますので、区分をつい勘違いをしてしまうことも考えられます。

1食50円の差額とはいえ、食事は原則1日3食あるので、手続の懈怠が長期になればなるほど本人さんの経済的不利益は増えていきます。

本人さんの利益を守るために、長期入院該当の申請手続を忘れないようにご注意いただければと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。
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被保佐人さんが会社を辞める場合に保佐人の同意は必要か

オフィス北浦のブログサイトにようこそおいでくださいました。

社会保険労務士の徳本博方です。

今回は、被保佐人さんが会社を辞める場合に、保佐人の同意が必要なのかという点(裏を返せば、保佐人が取消権を行使できるのか)という問題を考えたいと思います。

 

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まずは、保佐人制度の概要を説明します。

保佐人制度は法定後見制度の一類型で、「精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者」について、当事者等の申立によって、家庭裁判所が保佐開始の審判をすることによりスタートします(民法11条)。

保佐開始の審判を受けた者は「被保佐人」として、これに「保佐人」が付されます(民法12条)。

なお、少し表現がややこしいので、以下被保佐人を「本人さん」と表現します。

そして、保佐人制度の場合、本人さんが民法13条1項各号の行為をする場合には、保佐人の同意が必要で、同意のない行為は保佐人によって取消ができるのが原則です(民法13条4項、120条1項)。

どのような行為が保佐人の同意権の対象になるかというと、たとえば、貸したお金を返してもらうこと(「元本を領収」すること。民法13条1項1号)や他人の借金の保証人になること(「保証をすること」民法13条1項2号)などです。

このような行為をする場合には、本人さんや相手方はあらかじめ保佐人の同意をもらっておかなけばなりません(もし、同意をもらっていない場合には、あとになって保佐人の判断で取消されることがあります)。

逆を言えば、そもそも保佐人の同意権や取消権の対象になっていない事項は、本人さんは単独で有効な法律行為ができるということです。

保佐人制度の本人さんは、成年後見の場合よりも、現有能力が高いので、すべての行為を同意権や取消権の対象にはせずに、原則として民法13条1項各号の事項に限定しているということです(なお、これらの対象の範囲を拡張することもできます)。

 

では、今回の本題なのですが、本人さんが会社を辞めたいと申し出たときに、保佐人の同意権(取消権)の対象になるのかという点について考えてみましょう。

会社を辞める意思表示には、合意解約(労使合意の雇用契約の解約)と辞職(労働者からの一方的な雇用契約の解約)がありますが、いずれも民法の意思表示の規定が適用されます。

つまり、これらが、民法13条1項各号のいずれかに該当するかどうかで、本人さんが単独でできるのか、保佐人の同意が必要なのかが決まるということです(ここでは、特段の同意権の範囲の拡張や代理権の設定はないものとします)。

民法13条1項には1号から9号までがありますが、一見すると、「雇用契約」の解約に該当するものはなさそうです(なお、改正民法では10号が新設されますが、これも「雇用契約」とは直接関係はなさそうです)。

ただ、筆者が気になったのは、家庭裁判所の出している書式やハンドブックなどのなかには、民法13条1項3号(以下「3号」といいます)の解釈に「雇用契約」が含まれるとされているものがあるのです。

そこで、3号をみてみると、「不動産その他の重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること」とあります。

とすれば、「その他の重要な財産に関する権利」に雇用契約が該当し、その「得喪」(締結や解約)には同意が必要ということになり、雇用契約の解約にも、3号が適用されるのではないか?という疑問が出てきます。

結論を先に言えば、3号に会社を辞める意思表示は該当しないものと考えられています。

ここで「雇用契約」と言っているのは、「相当な対価を伴う有償の契約であって、他人の労務の提供を受ける契約」のことで、委任契約や寄託契約等と同列の例示として雇用契約があがっていると考えられるからです。

つまり、相当なお金を払って他人を雇う場合には、保佐人の同意が必要ということなのでしょう(余談ですが、介護契約や施設入所契約等の身上監護を目的として他人の労務の提供を受ける役務提供契約についても、相当の対価が必要であれば、3号の対象になるということです)。

念の為に、家庭裁判所にも確認をしてみましたが、本人さんの会社を辞める意思表示に保佐人の同意は不要という見解でした。

そうすると、本人さんが軽率に(保佐人の同意なしに)行った会社を辞める意思表示も、保佐人は取消ができないということにもなります(意思無能力や意思表示の瑕疵・欠缺の場合は別ですが)。

もしも同意権や取消権を行使したいのであれば、あらかじめ同意権の範囲の拡張や代理権の設定が必要になってくるのでしょう。

 

以上は、本人さんが自主的に会社を辞める場合の話ですが、最後に解雇の場合についても考えてみましょう。

解雇とは、使用者による労働契約(雇用契約)の解約を言いますが、本人さんだけに対して解雇が告げられた場合に、その効力はどうなのか(保佐人にも解雇を伝えないといけないのか)という問題が考えられます。

この点は、保佐人制度の本人さんは意思表示の受領能力がある(単独で有効に意思表示を受けることができる)とされています(民法98条の2において、被保佐人が規定されていない)ので、解雇を保佐人に伝える必要まではないということになるのでしょう。

もっとも、本人さんが解雇の意味を本当に理解しているのかわからない場合もあるでしょうから、できるだけ保佐人の理解や協力を得たうえで解雇手続きを進めた方が、不要なトラブルの防止になることは言うまでもありません。

 

以上、本人さんが会社を辞める場合に、保佐人の同意が必要なのかという点について検討しました。

保佐人制度の本人さんは現有能力がある程度高いので、一般就労をしているケースも少なくありません。

実際に保佐人をしていると、本人さんの就労の問題にかかわることが多いのはそのためです。

退職は本人さんの生活に大きな影響を与えるイベントですので、保佐人としては、しっかり本人さんと話し合い、フォローしていかなければなりません。

その際には、保佐人としての法律上の権限を確認しておくことも重要です。

筆者としては、社会保険労務士の専門性を活かして、就労に関しても、本人さんの希望にそって、その利益を確保していけるように、努力していきたいと思っています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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成年後見人が遺族年金請求を行う際の請求者の氏名の書き方

オフィス北浦のブログサイトにようこそおいでくださいました。

社会保険労務士の徳本博方です。

今回は、成年後見人が遺族年金(遺族基礎年金や遺族厚生年金など)を本人さんに代わって請求する場合に、年金請求書の請求者欄の氏名をどのように書けばよいかを述べたいと思います。

具体的には、①請求者氏名は誰の名前を書くか、②押印は誰のものが必要かの2点について、本人(成年被後見人)さんを甲山A子さん、成年後見人さんを乙川B男さんとして考えていきます。
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まず、年金請求をする権利があるのは、当然A子さんです。

ただ、A子さんには判断能力がほとんどないので、その法定代理人として、成年後見人であるB男さんが手続きを行います。

なお、B男さんが成年後見人であることの証明は、法務局が発行する成年後見の登記事項証明書によって行います(この場合、A子さんからの委任状は不要です。A子さんはそもそも委任ができる状態ではないからこそ、成年後見人が選任されているのです)。

とすれば、A子さんに代わって成年後見人のB男さんが、①請求者氏名を「甲山A子」と記名し、②「甲山印」を押捺すれば足りるのではないかとも考えられます。

たしかに、社会保険労務士が一般の人(成年被後見人でない人)から依頼を受けて年金請求を行う際には、請求者欄には、本人の名前を記名押印したうえで、社会保険労務士欄に提出代行者(ないし事務代理者)として記名押印します。

それとパラレルに考えるなら、ここでも「甲山A子 + 甲山印」でいいようにも思えます。

しかし、社会保険労務士の行う提出代行や事務代理は、民法上の代理制度とは厳密には異なる制度ですので、これを法定代理の場合にそのまま当てはめるのは適切ではないでしょう。

そもそも、成年後見人が本人を代理して契約等を行う際には「甲山A子 成年後見人 乙川B男」と書き、「乙川印」を押捺するのが一般的です。

民法の代理の規定からすれば、代理人であることを示すことが原則だからです(これを顕名といいます)。

そうであれば、登記事項証明書で成年後見人であることを示したにもかかわらず、顕名をせずに本人「甲山A子」名義の文書を作成するというのは不自然なので(その効力は別として)、年金請求の場合にも①「甲山A子 成年後見人 乙川B男」と書き、②「乙川印」を押捺するのが正しいようにも思えます。

「甲山A子 + 甲山印」か、「甲山A子 成年後見人 乙川B男 + 乙川印」か悩むところです。

では、実務ではどうしているのでしょうか。

この場合には、①請求者欄の氏名欄には本人の氏名を「甲山A子」と書くが、②本人の押印は不要、さらに③欄外に「甲山A子 成年後見人 乙川B男」と書き「乙川印」を押すという扱いになっています。

実際には請求書の「性別」欄の横の欄外に多少余白があるので、そこに③の成年後見人の署名押印をすることになるでしょう。

この書き方は、請求書3ページの履歴欄に「職歴について、被保険者記録照会回答票の内容どおり相違ありません。」と添える場合の氏名や、7ページの生計維持証明の氏名欄を書く際にも同じように行います。

ちなみに、未支給年金の請求書でも同じなのですが、この書式には欄外の余白がほとんどないので、ちょっと困ります(しかたないので筆者は氏名欄に詰めて記載するようにしています)。

 

以上、成年後見人が遺族年金請求を行う際の、請求者の氏名の書き方について考えてみました。

成年後見人は、色々な場面で、本人に代わって手続きを行います。

しかし、氏名欄ひとつとっても、行政機関、金融機関、病院や介護施設など、それぞれで求められる書き方が異なります。

正直に言って、とても混乱しているのが現状のように思います(場合によっては、本人の印鑑を執拗に求められることもあります)。

本人欄に加えて、代理人欄が設けられている書式(本人押印不要)が理想的ですが、そうでないなら、せめて本人氏名欄の記載は「甲山A子 成年後見人 乙川B男 + 乙川印」として手続きが行えるように統一してもらえないものかと思うところです。

最後までお読みいただきありがとうございました。
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ファイナンシャルプランナーが成年後見に関わる理由

オフィス北浦のブログサイトにようこそおいでくださいました。

ファイナンシャルプランナーの徳本です。

今回は、ファイナンシャルプランナーが成年後見に関わる理由を、筆者の経験を通じて考えていきたいと思っています。

 

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筆者は、成年後見を専門に扱う法人の事務局を担当しています。

その法人では、弁護士と社会福祉士が協働して、財産管理と身上監護のバランスのとれた成年後見サービスを行っています。

その法人には、他にも司法書士や税理士といった専門家も参加しており、各専門家がそれぞれの得意分野で協働する体制を実現しています。

そのような専門職の中で、ファイナンシャルプランナーはどのように関わっていけるのでしょうか。

ファイナンシャルプランナーの専門分野は、お金に関することが中心になりますので、財産管理分野での活動が中心となります。

しかし、本人の生活の質を高めるための身上監護分野も、お金がなければ満足なサービスを受けることはできませんので、財産管理の適正化が身上監護の質の向上に繋がることは異論のないところだと思います。

 

では、具体的にどのようなことができるのでしょうか。

まずは、財産や家計に関する書面の作成作業があります。

成年後見制度は、家庭裁判所の監督に服しており、本人さんの財産や家計に関する事項を家庭裁判所に報告する必要があります。

たとえば、「財産目録」という書面では、本人の財産(不動産や預貯金、保険などの積極財産と債務などの消極財産)を一覧にして記載しなければなりませんし、「家計収支予定表」という書面では、毎月の平均的な家計収支を予算化して計上しなければなりません。

また、1年間の収支決算として「収支状況報告書」というものを作成し、収支の内容や金額、赤字黒字の別などを把握することもあります。

これらの書面の作成には、家計のプロとしてのファイナンシャルプランナーが活躍する場面はたくさんあります。

 

しかし、ファイナンシャルプランナーの役割はこういった書面作成作業に留まるわけではありません。

これらの書面を作成する過程で、家計の問題を正確に把握し、適切な改善策を講じることにこそ、ファイナンシャルプランナーが成年後見に関わる意義があると思っています。

特に、若い世代の障害者さんなどで、これからのライフイベントに応じたファイナンシャルプランを考えなくてはならない人の場合には、ファイナンシャルプランナーの腕の見せどころでしょう。

いわゆる「親亡きあと」と言われる問題は、できるだけ早い段階で様々な想定を行い、柔軟性のあるファイナンシャルプランを講じておく必要があります。

たとえば、これからのファイナンシャルプランに必要となる金額を算出し、親からの資産承継が必要な場合には、弁護士や税理士と協力してスキームを組む必要があります。

必要な金額がわからなければ、民事信託や遺言の内容も決められないのです。

また、成年後見制度の中でも比較的現有の判断能力が認められる「保佐」や「補助」の場合、在宅での生活を送る人も多いですので、浪費や借金にも細心の注意を払う必要があります。

取消権がある場合、その行使も適切に行わなければいけません(当法人では、この辺りは弁護士の担当分野です)。

最近の傾向では、携帯電話やスマホのゲームなどの有料サービスの使い過ぎが問題になるケースが多いように思います。

このような場合、家計管理の中でファイナンシャルプランナーとして気づいたことを、福祉や法律の専門職と共有して、早期に適切な対応をしてもらうことが大切です。

専門家協働による早期発見、早期対応で、本人さんの判断能力のサポートを行い、経済的な自立に繋げていくことができるのです。

実際に、生活保護を受けていた独り暮らしの知的障害のある人が、保佐人制度を利用したことによって、見事に自立され(生活保護も外れて)、家計も倹約に努められた結果、貯金ができるようになった例もあります。

本人さんの努力が一番ですが、弁護士や社会福祉士といった専門家のサポートなしには、この結果はなかったと思います。

 

ただ、ファイナンシャルプランナーとして、成年後見制度に一つ不満があるとすれば、後見報酬が家計に与える負担の割合が大きすぎるということです。

特に、財産も少なく、家計が収支均衡の人の場合、後見報酬をどうやっても捻出できない人もいます。

皮肉なことに、後見報酬が捻出できないことを一番理解しているのは、家計管理をチェックするファイナンシャルプランナーです。

家計の収支改善だけでは、どうにもならないことが多々あるのです。

その場合には無報酬もやむをえないという結論にならざるをえません(無報酬になったからといって、成年後見サービスの質を低下させることは絶対にありません)。

成年後見に関しては、公的な支援がほとんどないのが現状です。

不当に高額な報酬を求めることはないので、せめて実費や最低賃金相当の実動分は、どうにか公的な支援を拡充してもらえないかと思うところではあります。

 

最後は少し愚痴のようになりましたが、今回はファイナンシャルプランナーが成年後見に関わる意義について考えてみました。

前回の「社会保険労務士が成年後見に関わる理由」とともに、ご参考にしていただければ幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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社会保険労務士が成年後見に関わる理由

社会保険労務士が成年後見に関わる理由

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社会保険労務士の徳本です。

今回は、社会保険労務士が成年後見制度にどのように関与できるのか、筆者の経験を通じて感じたところを述べたいと思います。
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筆者は、成年後見業務を専門に扱う法人の事務局をしています。

この法人は、法律の専門家である弁護士と福祉の専門家である社会福祉士が協働して成年後見業務を行うことで、財産管理と身上監護にバランスのとれた適正な成年後見サービスを提供することを目的として活動しています。

また、サービスの幅や質をさらに向上させるべく、司法書士や税理士といった専門家も参加しており、多職種による協働を実現しています。

そのような法人で、筆者は、裏方である事務局を担当しているのです。

 

各専門家にはそれぞれ得意分野があります。

本人さんの生活の質を高めるために社会福祉士は司令塔として機能しますし、法律問題や虐待問題には弁護士が毅然と対応します。

また、相続による不動産の取得や不動産の任意売却では司法書士が活躍しますし、税金の問題は税理士が適切に処理をします。

では、社会保険労務士は何ができるのでしょうか。

読んで字のごとく、「社会保険」の専門家として、社会保険に関連する分野を担当できます。

前述の各専門家の扱う分野に比べると、少し地味な感じがします。

しかし、成年後見と社会保険の関連を考えると、これらはすごく深い関係があることがわかります。

まず、成年後見を利用する本人さんは、ほとんどが高齢者や障害者に該当します。

その本人さんの収入の大半は、公的年金制度により支えられています。

また、ほとんどの人は、何らかの医療や介護のサービスを受けています。

その際には、医療サービスを受けるには公的医療保険(後期高齢者医療制度や国民健康保険など)が、介護サービスを受けるには公的介護保険がそれぞれ必要になってきます。

そして、これらの保険料の支払いを適切に管理するのも成年後見人の職務です。

つまり、社会保険制度は、成年後見制度の財産管理と身上監護の両面に深く関係する制度なのです。

さらに社会保険制度は毎年のように改正が行われる複雑な面もあります。

ここに社会保険制度の専門家である社会保険労務士が関与する意義があるのです。

具体的にどのようなことをやるのかというと、たとえば、介護保険の要介護(要支援)認定の申請や更新、医療保険の「限度額適用認定証・標準負担額減額認定証」や介護保険の「負担限度額認定証」の申請や更新といった手続や、年金の裁定請求、障害年金の診断書や現況届の提出といった手続などがあります。

また、医療保険や介護保険の保険料の適正化も検討します。

たとえば、後期高齢者医療制度の被保険者である本人さんが世帯主である場合、その世帯に属する他の人(たとえば子)の国民健康保険の保険料の納付義務が本人さんに生じます(これを「擬制世帯主」といいます)。

このようなケースでは、子らの国民健康保険料を本人さんが負担するのが適切ではない場合、そうならないような方法を講じます。

また、逆に子が世帯主である場合で、その所得が本人さんの保険料の算出に影響する場合には、生活の実態を反映させるような方法を講じることもあります。

一つ一つは地味な作業なのですが、これらをするかしないかでは、本人さんの負担は大きく変わってくることでしょう。

また、社会保険制度手続のほとんどが、いわゆる申請主義をとっていますので、放っておくとサービスを受けられないまま時効にかかっていくということもあります。

社会保険手続の懈怠は、本人さんの不利益に直結するということです。

少し極端な話ですが、報道によると、平成29年1月の松江地裁の判決で、社会保険手続(障害年金の請求)を怠った成年後見人への損害賠償請求が認められたという例もあるようです。

これまで成年後見人に対する損害賠償といえば、横領や使い込みによるものが多かったのですが、社会保険手続の懈怠によるものも損害賠償の対象となるということは、成年後見人として、しっかりと肝に銘じなければならないことです。

このように損害賠償まで認められるケースは稀なのでしょうが、適正な社会保険手続が成年後見人の職務の一つであることは間違いないのですから。

 

このように、社会保険労務士が成年後見制度に関与する意義はあると思っています。

これは、これまで事務局として成年後見制度に関わってきた筆者の実感でもあります。

筆者としては、今後も、一見地味な作業に従事しながら、裏方として法人を支えていこうと思っています。

最後までお読みいただきありがとうごさいました。
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ファイナンシャルプランナーが成年後見に関わる理由

消えていく未支給年金

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オフィス北浦のブログサイトにようこそおいでくださいました。

今回は、年金受給者が亡くなった場合の未支給年金について考えてみたいと思います。

 

成年後見業務をやっていると、残念ながら、被後見人さんがお亡くなりになることもあります。

被後見人さんの中には、国民年金や厚生年金などの老齢や障害の年金を受給されている人も多いので、そのような年金受給者がお亡くなりになった場合には、それらの年金の未支給部分(「未支給年金」といいます)が発生します。

そして、相続人がいるにもかかわらず、制度上、それらが支払われることなく消滅していく場面を多くみてきました。

どうしてこのような「消えていく未支給年金」が生じるのか、その点についてご説明したいと思います。

未支給年金が生じる理由

まず、未支給年金が生じる理由について、考えてみましょう。

確認ですが、公的年金は、月を単位に発生します。

仮に、月の途中でお亡くなりになった場合でも、その月の年金は1ヶ月分全部が発生します(日割り計算はしません)。

そう考えると、少し得した気分になりますが、実は、年金の支給の開始が、年金をもらえる事由が発生した月の翌月からなので、その分が後ろに下がってきたと考えれば、それほど得しているわけではないでしょう。

たとえば、1月10日に年金をもらえる事由が発生した人が、実際に年金をもらえるのは2月分からになります(1月分は発生しないということです)。

また、同じ人が10月10日に亡くなったとした場合、10月分の年金は全額もらえるというわけです。

そして、年金の支払いは、原則として偶数月(2月、4月、6月、8月、10月、12月)の15日に、その月前2ヶ月分を支払うという、後払い制なのです。

この2ヶ月分後払い制こそが、未支給年金が発生する大きな原因です。

なぜなら、偶数月の15日以後に亡くなった場合でも、必ず1ヶ月分が未支給年金になるからです。

たとえば、Aさんが、8月16日に亡くなったとします。

Aさんは、8月15日に支払われた年金によって、6、7月分の年金を受け取っているはずですが、そこには8月分は含まれてはいません。

つまり、少なくとも亡くなった月分は必ず未支給年金となり、年金が後払い制であるというシステム上、未支給年金は避けられないということになります。

そして、特に偶数月の15日前に亡くなった場合には、未支給年金が3ヶ月分にもなります。

たとえば、Bさんが8月14日に亡くなったとします。

Bさんは、8月分の年金までもらえるはずでしたが、その分はまだもらっていません(この点はAさんと同様です)。

また、Bさんは、8月15日に支払われるべき6月、7月分の年金もまだもらっていないうちに亡くなっています。

つまり、Bさんの未支給年金は6月~8月分の3ヶ月分ということになります。

なお、奇数月に亡くなった方の場合、その月分も含めて2ヶ月分の未支給年金が発生することになります。

このように未支給年金は、普通に年金を受給している人なら誰にでも起こりうることなのです。

未支給年金という言葉のイメージから、たとえば、生前に年金を請求する手続きを失念していて、時効にかかっていない年金をまとめて死亡後に請求するというようなケースを想定してしまいがちですが、そういう特別なケースだけではないということです。

未支給年金は誰がもらえるのか

では、未支給年金は、そのまま消滅してしまうのでしょうか。

さすがに、国もそこまで厳しいことはしていません。

ちゃんと、未支給年金を支払うシステムを用意しています。

ただし、そのシステムは、民法の相続とは異なります

日本年金機構のホームページの「年金を受けている方が亡くなったとき」に詳しく書かれていますので、詳細はそちらをご参照いただきたいのですが、「年金を受けていた方が亡くなった当時、その方と生計を同じくしていた、(1)配偶者 (2)子 (3)父母 (4)孫 (5)祖父母 (6)兄弟姉妹 (7)その他(1)~(6)以外の3親等内の親族」が、この順番で未支給年金を請求することができます(国民年金法19条、厚生年金保険法37条)。

民法の相続では、法定相続人は、配偶者は常に相続人とされ、子、直近の直系尊属(父母など)、兄弟姉妹の順で相続人とされていることから、順位もずいぶん違うことがわかるでしょう。

そして、民法の相続と決定的に異なるのは「生計を同じくしていた」という要件があることです(生計同一要件といいます)。

お気づきになった方も多いと思いますが、この生計同一要件こそ、「消えていく未支給年金」の原因なのです。

もっとも、たとえば、住民票上、同一世帯として暮らしていた方が、未支給年金を請求するのは、それほど難しいことではありません。

住民票の写しなどを提出すれば、原則として生計同一要件を確認することができます。

しかし、そうでない場合、生計同一要件を説明することに、手間をかけなければなりません。

たしかに、この生計同一要件は、生計の一部でも同一であれば足りるとされていますが、それを第三者(施設の関係者や民生委員、町内会長など)に証明してもらう必要があるのです。

これはなかなか、ハードルが高いのではないでしょうか。

今後、独居の高齢者が増加するにしたがって、住民票の写しを提出するだけで生計同一要件を確認できる人も減少していくと予想されます。

ましてや、法定相続人ではあるけれど、ほとんど付き合いのなかったような人の場合、生計同一要件を満たすことはできないでしょう。

このように、生計同一要件というのが、未支給年金の請求のハードルになっているのです。

未支給年金は相続の対象ではありません

では、生計同一要件を充たす未支給年金の請求者がいない場合、民法の相続の原則にしたがって、未支給年金は法定相続ができるのでしょうか。

結論から言えば、国民年金や厚生年金の場合には、法定相続はできません

国民年金法や厚生年金保険法が民法の相続とは別に未支給年金の規定を置いていることは、民法の相続とは別の立場から未支給年金の支給を認めたもので、相続とは別のものだという理由だと言われています(最判H7.11.7参照)。

たしかに、年金は一身専属(その人固有の)権利であると言われているので、相続にはなじまないと言われれば、そんなものかなとも思うのですが、それでも、システム上必ず未支給年金が発生する仕組みをつくっておいて、民法の相続より厳しい要件を課すというのは、なんとも腑に落ちないところではあります(民法の相続には生計同一要件はありません)。

この点については、争いのあるところですので、今後、裁判上何らかの変更があるかもしれませんが、今のところ、そのようなニュースは聞こえてきません。

なお、制度は異なりますが、労災保険においては、未支給の保険給付がある場合、死亡した受給権者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹(請求権者の順位はこの順)であって、受給権者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたもののうちの最先順位者が請求者となるのですが、そのような者が不在の場合、通達によって、民法上の相続人が未支給の保険給付を請求することができるとされているのは、興味深いところです。

このように、生計同一要件を充たす遺族がいない未支給年金は、相続の対象にもならないまま、消えていくことになります。

このような「消えていく未支給年金」の問題は、これから増加していくのではないかと思っています。

過って振り込まれた未支給年金は返金を求められることもある

たとえば、筆者が関わっているような法人後見の場合、第三者の成年後見人が選任される人の中には、ご親族と疎遠になっていらっしゃる人も少なくありません。

そのような人の場合、生計同一要件を満たす親族はほとんどいらっしゃいません。

つまり、未支給年金を請求できる人がそもそもいらっしゃらないのです。

そのような人の場合、未支給年金はそのまま消えていきます。

そのようなケースを何件もみていると、「消えていく未支給年金」が本当にフェアな制度なのか、考えてしまうことがあります。

もちろん、いわゆる「笑う相続人」の問題があることは知っていますが、そのことと、年金が保険システムを採用しているにもかかわらず未支給年金が消えていくという問題は別問題なのではないかと思うのです。

ましてや、たとえば、先の例の8月14日に亡くなったBさんのケースで、仮に8月15日に6、7月分の年金が振り込まれてしまった場合で、未支給年金の請求者がいない場合、原則として、Bさんの相続人はいったん支払われた年金を返金する作業まで必要になります

死亡日が偶数月の15日に近い場合には、死亡後に年金がそのまま振り込まれてしまうケースは珍しいことではありません。

相続人がちゃんと死亡届も出しており、別にだまして年金を受給しようという意図などなかったとしても、返金が必要になってくるのです。

そこまでいくと、相続人としては、押し貸しの被害にあったようなものです。

成年後見人としては、未支給年金の過誤払が生じないためにも、死亡後すぐに年金口座を凍結するなど対応が必要なのですが、一般の人の場合、そこまですぐに対応できる人はなかなかいないと思います。

未支給年金が、2ヶ月分の後払いであるというシステム上の問題であるなら、たとえば1ヶ月分の当月払に変更するなど、できるだけ未支給年金が発生しないシステム作りをしてほしいものだと思っています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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こんなはずでは・・・と後悔する前に、知っておきたい成年後見制度の注意点

平成29年3月、最高裁判所事務総局家庭局から「成年後見関係事件の概況(平成28年1月~12月)」がリリースされました(以下「成年後見の概況」といいます)。

成年後見の概況によれば、平成28年の申立件数は3万4249件で、前年比微減ながらも3万4000件を超える申立件数が続いています。

そして、その申立人についてみてみると、本人及び配偶者や子などの親族が行った申立が全体のおよそ8割を占めています。

つまり、申立の多くが本人や親族によって行われているということです(これに対して、市区町村長申立は、全体の約19%です)。

本人や親族が必要性を感じて成年後見制度を利用しているということなのでしょう。

ただ、その一方で、実際に申し立てを行ったものの、成年後見人等が選任された後に、申立を行った本人や親族から「こんな制度だとは思っていなかった」とか「こんなことなら申立をしなければよかった」など、現場でご不満の声を聞くことがないわけではありません。

お話を聞くと、説明不足や誤解があったために、申立の際にしっかり制度が理解されていなかったことが原因であるように思います。

そのような後悔をする前に、成年後見制度の注意点をいくつか紹介したいと思います。
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1  必ずしも親族が成年後見人等に選任されるとは限りません

申立の際に、成年後見人等の候補者を挙げることがあります。

たとえば、判断能力が不十分なお父さまのために、長男さんが申立をして、長男さん自ら成年後見人の候補者になるような場合です。

しかし、このように候補者を挙げたからといって、必ずしも、それが叶うとは限りません。

あくまでも、成年後見人等を選任するのは家庭裁判所であり、家庭裁判所は申立人の挙げた候補者には拘束されないのです。

自分が成年後見人になってお父さんのために活動しようと思って申し立ててみたものの、まったく知らない第三者(弁護士や司法書士など)が成年後見人に選任されてしまったという事例もありうるのです。

成年後見の概況によれば、平成28年に選任された成年後見人等のうち、親族が選任されたものは約28%であり、残りの約72%が親族以外の第三者から選任されています(もちろん、ここには、当初から第三者が候補者になっているケースやそもそも候補者が挙がっていないケースも含まれますので、すべてが申立人の意に反した第三者後見人の選任ではありませんが)。

「自分が後見人になるつもりだったのに、ぜんぜん知らない人が後見人になってしまった」とならないためにも、そういう不確実性があることを予め理解しておくべきだと思います。

2  成年後見人には報酬が発生します

第三者が成年後見人等に選任された場合に、問題となることのひとつは、成年後見人等には報酬が発生するということです。

成年後見人等の報酬は、第三者だけでなく、親族が選任された場合にも発生します。

成年後見人等として時間と労力を使って職務を行う以上、すべてがボランティアというわけにはいかないのは当然のことでしょう。

しかし、親族が成年後見人等になろうとする場合、報酬はなくても構わないと考えている方が少なからずいらっしゃいます。

そのような方の場合、自分が成年後見人等になれば無報酬で職務を行うことが前提となっているため、第三者の成年後見人等が選任された場合に、報酬が発生することを想定していないことがあるのです。

仮に、成年後見人等の1ヶ月の報酬を2万円とすると、1年で24万円、4年で96万円となります。

「大切な親の財産が、成年後見人等の報酬に充てられてしまった」とならないように、成年後見人等には報酬が発生するという原則を再度確認してください。

3  成年後見監督人が選任される場合があります

では、家庭裁判所が親族を成年後見人として選任した場合に、その親族が報酬はいらないと言ったら、人件費に相当する費用はかからないのでしょうか。

残念ながら、そうとも限らないのです。

なぜなら、その場合であっても、家庭裁判所が成年後見監督人を併せて選任することがあるからです。

成年後見監督人とは、家庭裁判所による成年後見人の監督を補う機関で、実際には、成年後見人はこの成年後見監督人よって監督されます(成年後見監督人は弁護士や司法書士といった法律の専門職が選任されることが多いです)。

たしかに、家庭裁判所と成年後見監督人の二重のチェックを受けることになり、不正防止には有用なのですが、こちらももちろん無償というわけにはいきません。

成年後見監督人の報酬が発生することになります(最低でも1ヶ月1~2万円程度の報酬は必要になるでしょう)。

「自分は後見人を無償でやっているのに、予想していなかった監督人の報酬が必要になった」とならないように、成年後見監督人の選任可能性についても、よく検討してください。

4  成年後見制度の利用を自由にやめることはできません

お金もかかるし、こんなことなら成年後見制度の利用をやめたいと思うこともあるかもしれません。

しかし、いったん成年後見人等が選任された後は、原則として、本人さんが判断能力を完全に回復されるか、お亡くなりになるまでは、成年後見制度の利用をやめることはできません(なお、成年後見人等の選任前でも、いったん申立を行った場合、理由なく申立を取り下げることも原則できません)。

現実問題として、本人さんが判断能力を完全に回復されることは稀なケースなので、成年後見制度は本人さんがお亡くなりになるまで継続すると考えておいた方がよいでしょう(成年後見から保佐や補助に変わる可能性はありますが)。

成年後見の概況によれば、主な申立の動機の1位が「預貯金等の管理・解約」です。

その他にも、財産上の動機として「保険金受取」、「不動産の処分」、「相続手続」といったものがあります。

たとえば、病気や事故で判断能力のなくなった親の預金を解約しようとしたところ、銀行から「成年後見人でないと解約はできません」と言われて、しかたなく成年後見人の申立を行うといった場合です。

そのような場合、成年後見人が選任され、当初の目的の預金の解約ができたとしても、それで成年後見制度の利用をやめるというわけにはいかないのです。

「預金を解約したいだけだったのに、ずっと成年後見人をやらないといけない」とならないように、成年後見制度は原則「一生もの」であることを理解したうえで申立を行ってください。

5  成年後見人だからといって自由に財産を使えるわけではありません

これは当り前のことなのですが、成年後見人だからといって、本人さんの財産を自由に使えるわけではありません(ましてや不正使用や私的流用は絶対に許されることではなく、刑事罰の対象になる可能性もあります)。

あくまで、本人さんの財産は本人さんのために使わなければなりません。

家庭裁判所の運用にもよりますが、概ね10万円を超えるような買物などは、予め家庭裁判所と協議した方がよいでしょう。

では、本人さんのために使うのなら、どんな場合でも使用可能なのでしょうか。

それもそうとは言い切れず、「本人のため」かどうかは慎重に判断される傾向にあるようです。

これまでに私が聞いたことのある事例では、施設に入っている本人さんが外出する際の送迎用に、親族後見人が本人さん名義で自動車を買おうとして、家庭裁判所が待ったをかけたケースがありました。

本人さんの送迎に使うとはいっても、実際には親族後見人が使用するのだから、親族後見人が自分の買い物などに使う可能性もあり、必ずしも本人のためだけに使うわけではないということなのでしょう。

その他にも、本人さんの判断能力が十分にあったなら、きっと喜んで支出していたであろう、孫の進学費用だとか結婚資金だとか、そういった支出も、後見人の判断で自由に出せるものではありません。

これらは、結局のところ、常識の範囲内かどうかの判断なのでしょうが、家庭裁判所の常識と一般人の常識が必ずしも一致しないということも多々見てきました。

「本人のためと思ってお金を使おうとしても、家庭裁判所が許してくれない」とならないように、お金の使い道は思った以上に厳格に監督されると覚悟しておいた方がよいでしょう。

 
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以上、「こんなはずでは・・・と後悔する前に、知っておきたい成年後見制度の注意点」として考えられる主な5項目を挙げてきました。

私は、成年後見制度が完璧な制度だとは思っていません。

むしろ、まだまだ使い勝手の悪いところが多い制度だと思っています。

しかし、その使い勝手の悪さを現場で活動する皆さんが、汗をかきながら工夫していることもよく知っています(家庭裁判所の職員さんも含めて)。

だからこそ、成年後見制度を利用する場合には、良い面だけをごり押しするのではなく、実際のところを知っておいていただきたいと思っています。

説明不足によるトラブル、誤解によるトラブルで、どなたも後悔することのないようにしてほしいと願っています。
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