障害年金の更新の提出期限を守るよりも診断書の内容の方が絶対的に重要な理由
2020.05.19
障害年金の更新の際に障害状態確認届(診断書)の提出期限よりも内容の正確性の方が重要な理由を社会保険労務士が解説
社会保険労務士・オフィス北浦のブログサイトにようこそおいでくださいました。
今回は、社会保険の国家資格である社会保険労務士が、障害年金の更新の際に障害状態確認届(診断書)の提出期限よりも内容が重要な理由を解説していきます。
「障害年金の更新の提出期限が迫っているな。
障害状態確認届(診断書)を早くださないと。
提出期限に間に合わせるために、スピード重視で医師に作ってもらって出したほうがいいのかな?」
このように考えている人はいませんか?
でも「急がば回れ」ということわざもあります。
なにごともスピード重視が最善というわけではなさそうです。
今回のポイントは、
- 障害年金(有期認定)の更新には障害状態確認届(診断書)の提出期限がある
- 障害年金の更新の提出期限よりも障害状態確認届(診断書)の内容の方が重要
- 障害年金の更新の提出期限を過ぎても、年金は一時差し止めになるだけですむ
の3点です。
順番にみていきましょう。
なお、この記事は投稿日(2020.5.19)現在の情報を元に執筆されています。
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障害年金(有期認定)の更新には障害状態確認届(診断書)の提出期限がある
障害年金が有期認定の場合には、必要な年の誕生月の末日までに、障害状態確認届(診断書)を日本年金機構に提出しなければいけません。
障害状態確認届(診断書)は誕生月の3ヶ月前の月末に日本年金機構から送られてきます。
障害状態確認届(診断書)には、提出期限(誕生月の月末)前3ヶ月以内の障害の状態が記載されている必要があります。
なので、障害状態確認届(診断書)がお手元に届いたら速やかに受診して、診断書の作成を医師に依頼した方がいいでしょう。
障害状態確認届(診断書)の作成にかかる時間は医師の都合次第なところもあります。
3ヶ月あるからと余裕に考えずに、早めに対応してください。
ちなみに以前は障害状態確認届(診断書)の作成期間は提出期限1ヶ月以内でした。
これが2019年8月から3ヶ月以内に変更になりました。
まあ、3ヶ月も意外に早く過ぎてしまうものですけど。
では、提出期限さえ守れば、それでいいのでしょうか。
答えはノーです。
提出期限よりももっと重要なことがあります。
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障害年金の更新の提出期限よりも障害状態確認届(診断書)の内容の方が重要
障害状態確認届(診断書)の内容次第で等級が級落ち・支給停止もありうる
障害状態確認届(診断書)の提出期限を守ったとしても、その内容によって障害の程度が軽度になったと判断されれば、等級は級落ちしたり、最悪の場合支給停止になる可能性があります。
- 級落ちとは、1級から2級になったり、2級から3級になったりすることです
- 支給停止とは、障害基礎年金の場合には2級に該当しなくなることで、障害厚生年金の場合には3級に該当しなくなることです
受給額でいえば、たとえば1級から2級に級落ちするということは受給額が20%ダウンするということで、支給停止となれば0円になるということです。
これはつらいです。
級落ちや支給停止に不服であれば、審査請求などを行うことになります。
更新の制度は障害の程度に変化がないかをチェックするためのもの
そもそも更新の制度は障害の程度に変化がないかをチェックするためのものです。
本当に障害の程度が軽度になっているのであれば、級落ちや支給停止は当然のことなのです。
しかし、とくに障害の程度に変更がないにもかかわらず、障害状態確認届(診断書)の記載が正確でないためにこのような判断になったのであればどうでしょう。
提出前に障害状態確認届(診断書)の内容をチェックしていなかったことを悔やむしかありません。
仮に障害状態確認届(診断書)の提出期限を守ることを優先して、内容の確認を怠っていたのであれば、それは本末転倒です。
正確な情報が反映された障害状態確認届(診断書)を医師に作成してもらうことを最優先すべき
提出期限も大切ですが、正確な情報が反映された障害状態確認届(診断書)を医師に作成してもらうことが最優先されるべきです。
そのためには、医師へ正確な情報を伝える努力をおしまないことが大切です。
医師としっかりコミュニケーションをとって、現在の症状を正確に伝えてください(メモを作ってもいいでしょう)。
また、障害状態確認届(診断書)が作成されたあとも、その内容はしっかり確認しましょう。
前回提出した資料の写しを持っているなら、照らし合わせることも大切です。
もしも、正確な情報が反映されていないと感じるのであれば、医師に相談してその旨を伝えてください。
もちろん、障害状態確認届(診断書)は医師が医学的な見地から作成するものですので、不当な要求をしてはいけません。
あくまでも正確な情報を伝える努力にとどめてください。
その結果、多少時間がかかったとしても、それは必要なプロセスです。
正確な情報が反映された障害状態確認届(診断書)を作成してもらったら、速やかに提出しましょう。
なお、次回の更新の際の資料にするために、コピーをとって保管しておくことを忘れないようにしてください。
障害年金の更新の提出期限を過ぎても、年金は一時差し止めになるだけですむ
障害状態確認届(診断書)の作成に時間を要してしまって提出期限を過ぎた場合には、年金の支給が「一時差し止め」になることがあります。
「一時差し止め」とは、文字通り年金の支給がいったん保留されることです。
障害状態確認届(診断書)が提出されたあとに、障害の等級が変わっていないことが再認定されれば、保留されていた年金はまとめて支給されます。
これに対して、級落ちや支給停止が確定した場合には、その後に額改定請求や支給停止事由消滅届によって元の等級で年金の支給が再開されてたとしても、級落ちや支給停止をしていた期間の年金は還ってきません。
そういう意味で、「一時差し止め」はペナルティとしては軽い方です。
一時差し止めを覚悟してでも、正確な情報が反映された障害状態確認届(診断書)の作成を優先した方がいいでしょう。
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まとめ
今回は、障害年金の更新の際に障害状態確認届(診断書)の提出期限よりも内容が重要な理由をお話してきました。
ポイントは、
- 障害年金(有期認定)の更新には障害状態確認届(診断書)の提出期限がある
- 障害年金の更新の提出期限よりも障害状態確認届(診断書)の内容の方が重要
- 障害年金の更新の提出期限を過ぎても、年金は一時差し止めになるだけですむ
ということでした。
筆者の経験からしても、障害状態確認届(診断書)の内容を確認もせずに提出して、あとで慌てるというケースが散見されます。
更新の際には、正確な情報が反映された障害状態確認届(診断書)を医師に作成してもらうことを最優先にしていただければと思います。
この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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