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意外と困る保佐人の権限外行為

できないことの方が多い保佐人業務

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社会保険労務士の徳本です。

筆者は、法定成年後見業務を専門に行う法人の事務局長を務めています。

成年後見業務(保佐業務)をやっていて困ることの一つに、「保佐人の代理権が設定されていないのに、その業務を保佐人が行うことが当然とされている」というケースがあります。

今回は、このような保佐人の権限外の行為について現状とその問題点(できれば解決策まで)を考えてみたいと思います。

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保佐人のできることは限られている

保佐人のできること(権限)は、原則として、民法13条1項各号に定められた事項(たとえば、借入や保証契約(2号)、不動産の取引(3号)など)についての同意権と、それらを本人が保佐人の同意なしに行った場合の取消権(ないし追認権)です。

たとえば、本人が借金をしようとした場合には、保佐人の同意を得て契約しなければならず、仮にその同意なしに契約をした場合には保佐人がその契約を取り消すことができるということです。

また、これらの同意権の範囲は、拡張することもできます(民法13条2項)。

ただし、契約を行うのはあくまでも本人であり、保佐人はそれに同意をすることができるというだけです。

この点、「成年後見人」の場合には、本人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為については本人を代表する(=法定代理人として法律行為ができる)とされていること(民法859条1項)と比べると、大きな違いがあります。

もちろん、保佐人の場合にも、代理権付与の審判(民法876条の4)を得ることで、一定の行為については代理権が行使できますが、成年後見人のように、広範な代理権を一般的に行使することはできないのです。

このように保佐人の権限が限られていることは、本人(成年被後見人と被保佐人)の現有能力の違いに由来するものですし、そもそも広範な代理権行使は本人の人権の制約にもつながるので、理にかなった制度ではあります。

しかし、実際の保佐人の活動の現場では、困ったことも生じるのです。

 

権限外行為を求められる現実

実際に保佐人として活動をしていると、民法13条の同意権(またはその取消権)を行使する場面というのはそれほど多くはありません。

よく考えずに不相当な契約をしてしまったとか、不動産を売却しなければならないとか、日常生活においてはそうそう頻繁にあることではないのです。

むしろ、保佐人が行うことの多くは、医療費等日常の支払いや金融機関の取引(預貯金の管理)といったことであり、これらの行為に関しては予め保佐人に代理権が付与されていることがほとんどです(もしくは、選任後必要に応じて新たに代理権を付与してもらうこともあります)。

このような類型的な行為については、代理権付与で対応できるのですが、イレギュラーなことが生じて、保佐人がその対応に追われることも少なくありません。

たとえば、年金や医療保険といった社会保険の申請や福祉関係の行政手続き、ときには収入がないことの税務上の手続などがあります。

保佐の場合、本人が行為を行うのが原則なので、「本人にやらせればいい」と言われればそのとおりなのですが、本人だけではできないからこそ保佐人に対応が求められるのであり、それこそが、本人や関係者(果ては黙示に裁判所までも)が保佐人に求めているものなのです。

そのため、保佐人への代理権付与の項目が多岐にわたってしまい、何のために保佐人の権限を制限したのかよくわからなくなるといった現象も起きます(それでも、それらの代理権の範囲を超えた問題が生じることも少なくないのですが)。

それならば、「その都度、裁判所に代理権付与を求めればよい」とか「個別に本人と委任契約を結んで代理権を取得すればよい」というご指摘もあるのでしょう。

たしかにお説ごもっともです。

時間も手間も費用も考えずにすむのならそのようにしますが、実際にはそれができない現実もあります。

また、本人から保佐人が個別に代理権を取得する場合、保佐人が本人との委任契約の一方当事者になることの適否の問題もあります。

さらに言えば、そもそも業際問題(法律で許された者以外への代理ができない場合)が絡んでくることもあります。

「それができるのなら、とっくにしてるよ」というのが本音なのではないでしょうか。

結局のところ、このような場合、現場では、保佐人が本人のところに行って事情を確認し、本人が書類を作成できるように援助し、場合によっては提出を代行するといったように、「本人が行為を行った体裁」をつくって、臨機応変に対応せざるをえないのです。

 

保佐人は日常業務の負担が大きい

そもそも、保佐人の日常業務に関しては、成年後見人のそれよりも相対的に手のかかることが多いものです。

たとえば、重度の障害によって入院・入所している成年被後見人と、軽度の障害で自宅で暮らしている被保佐人とでは、後者の方が日常業務の負担が大きいというのは、実際に後見業務に携わった方なら実感できるのではないでしょうか。

前者の場合、前述のように成年後見人には広範な権限があり、成年後見人は代理権を使って様々な手続きを行えますし(その是非はひとまず置いておいて)、そもそも入院や入所中であれば、病院や施設のおかげで、日常の生活トラブルなどは抑えられます。

それに対して、後者の場合には、保佐人の権限が限定的であるにもかかわらず、本人だけでは対応できないことが生じれば、そのフォロー(権限外であっても)は必要ですし、在宅であれば、日常の様々な困りごとが日々生じてきます。

そして、そのような日常の場面でこそ、保佐人の権限外行為が求められるのです。

保佐人が評価されない現実

しかしながら、こうして保佐人が権限外の行為を行ったとしても、保佐人の評価にはつながらないのが原則です。

たとえば、保佐人の同意権(場合によっては代理権)によって不動産を処分して利益を得たとか、保佐人が取消権を行使して財産を取り戻したとかいう場合には、金銭的に効果が見えるのでその評価もある程度客観的に行えるでしょう。

それに対して、たとえば、本人だけではできない社会保険や福祉の手続きを保佐人が手伝ったからといって、これを客観的に評価するのはなかなか難しいのではないでしょうか(身上監護の一環としてどの程度評価されるのかは正直よくわかりません)。

しかも、権限外の行為、すなわち業務外の行為であれば、そもそも評価の対象外とされても文句は言えません。

保佐人業務の評価が必ずしも正当に行われていないのではないかという現実があるのです。

 

それでも保佐人制度はもっと活用されるべき

以上のように、①保佐人の権限が限定されていること、②権限外の行為を(当然のように)期待されていること、③保佐人の権限外行為が求められる場面が少なくないこと、さらに④保佐人の業務の評価が難しいことという理由から、保佐人の業務は負担が大きいといえます。

さらに言えば、(成年被後見人に比べて)被保佐人の現有能力が高いので、方針や意見の違いから、本人と保佐人との間に衝突が起きやすいという傾向もあります。

こういった理由から、専門職の方からも「保佐人はこりごり」とか「保佐人は割に合わない」といった愚痴を聞くこともなくはありません。

しかし、保佐人制度は、成年後見人制度よりも本人の権限の制限が緩やかであり、本人としっかりコミュニケーションをとることで、意思決定支援を行いやすいというメリットもあります。

そういう意味において、保佐人制度はもっと積極的に活用されるべき制度だと考えています。

 

積極的に専門家に依頼できる仕組みづくりを

では、前述の①~④の問題のように、保佐人が「権限なき責任を日常的に無償で負わされている」という現状をどうすればよいのでしょうか。

その対策の一つは「専門家への依頼」だと思っています。

社会保険手続は社労士に、行政手続は行政書士に、税務申告は税理士にといったように、各専門家への依頼がスムーズにできれば、保佐人が権限外の業務を負担することは少なくなるでしょう(専門家に依頼すれば業際問題も生じません)。

ただ、実際のところ、専門家への依頼に、それほどお金がかけられないという問題があります。

また、「わざわざ専門家に依頼するような内容ではないのではないか」ということで、依頼を躊躇することもあるかもしれません(専門家側でも、小さな手続を敬遠するということがないわけではないでしょう)。

そのようなことのないように、ちょっとしたことでも、できるだけ安価で気軽に効率的に、保佐人が各専門家に依頼できるような仕組み作りが必要なのではないかと思っています。

この点、弁護士の法テラスのような制度や公的な援助の制度があればいいのにと思うところですが、現実的にはさすがに難しいでしょう。

個人的には、現在進行中の成年後見の「中核機関」構想の中で何らかの仕組みをつくってもらえないものかと期待をよせているところです。

保佐人制度をもっと活用するためにも、保佐人の業務負担の軽減はとても大切なことなのですから。

現場では、「成年後見相当」とされる人の中でも、その能力には幅があり、限りなく「保佐相当」に近いのではないかと思われる人もいます。

本来、本人の能力が回復しているのであれば、成年後見から保佐に変更する手続きをするべきなのですが、仮に、保佐に変更になることによって生じる業務負担増が原因で、それを躊躇うことがあったとすれば、本人の人権侵害に直結する大きな問題だと思っています。

実際にそのようなことはないことを願いますが、現実問題として、成年後見と保佐との利用率の差をみると、考えてしまうものがあります。

保佐人制度が有効に機能するように、必要な仕組みを真剣に構築すべき時期だと思っています。

せっかくの「中核機関」構想ですので、これを機に是非改善していただきたいものです。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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被保佐人さんが会社を辞める場合に保佐人の同意は必要か

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社会保険労務士の徳本博方です。

今回は、被保佐人さんが会社を辞める場合に、保佐人の同意が必要なのかという点(裏を返せば、保佐人が取消権を行使できるのか)という問題を考えたいと思います。

 

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まずは、保佐人制度の概要を説明します。

保佐人制度は法定後見制度の一類型で、「精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者」について、当事者等の申立によって、家庭裁判所が保佐開始の審判をすることによりスタートします(民法11条)。

保佐開始の審判を受けた者は「被保佐人」として、これに「保佐人」が付されます(民法12条)。

なお、少し表現がややこしいので、以下被保佐人を「本人さん」と表現します。

そして、保佐人制度の場合、本人さんが民法13条1項各号の行為をする場合には、保佐人の同意が必要で、同意のない行為は保佐人によって取消ができるのが原則です(民法13条4項、120条1項)。

どのような行為が保佐人の同意権の対象になるかというと、たとえば、貸したお金を返してもらうこと(「元本を領収」すること。民法13条1項1号)や他人の借金の保証人になること(「保証をすること」民法13条1項2号)などです。

このような行為をする場合には、本人さんや相手方はあらかじめ保佐人の同意をもらっておかなけばなりません(もし、同意をもらっていない場合には、あとになって保佐人の判断で取消されることがあります)。

逆を言えば、そもそも保佐人の同意権や取消権の対象になっていない事項は、本人さんは単独で有効な法律行為ができるということです。

保佐人制度の本人さんは、成年後見の場合よりも、現有能力が高いので、すべての行為を同意権や取消権の対象にはせずに、原則として民法13条1項各号の事項に限定しているということです(なお、これらの対象の範囲を拡張することもできます)。

 

では、今回の本題なのですが、本人さんが会社を辞めたいと申し出たときに、保佐人の同意権(取消権)の対象になるのかという点について考えてみましょう。

会社を辞める意思表示には、合意解約(労使合意の雇用契約の解約)と辞職(労働者からの一方的な雇用契約の解約)がありますが、いずれも民法の意思表示の規定が適用されます。

つまり、これらが、民法13条1項各号のいずれかに該当するかどうかで、本人さんが単独でできるのか、保佐人の同意が必要なのかが決まるということです(ここでは、特段の同意権の範囲の拡張や代理権の設定はないものとします)。

民法13条1項には1号から9号までがありますが、一見すると、「雇用契約」の解約に該当するものはなさそうです(なお、改正民法では10号が新設されますが、これも「雇用契約」とは直接関係はなさそうです)。

ただ、筆者が気になったのは、家庭裁判所の出している書式やハンドブックなどのなかには、民法13条1項3号(以下「3号」といいます)の解釈に「雇用契約」が含まれるとされているものがあるのです。

そこで、3号をみてみると、「不動産その他の重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること」とあります。

とすれば、「その他の重要な財産に関する権利」に雇用契約が該当し、その「得喪」(締結や解約)には同意が必要ということになり、雇用契約の解約にも、3号が適用されるのではないか?という疑問が出てきます。

結論を先に言えば、3号に会社を辞める意思表示は該当しないものと考えられています。

ここで「雇用契約」と言っているのは、「相当な対価を伴う有償の契約であって、他人の労務の提供を受ける契約」のことで、委任契約や寄託契約等と同列の例示として雇用契約があがっていると考えられるからです。

つまり、相当なお金を払って他人を雇う場合には、保佐人の同意が必要ということなのでしょう(余談ですが、介護契約や施設入所契約等の身上監護を目的として他人の労務の提供を受ける役務提供契約についても、相当の対価が必要であれば、3号の対象になるということです)。

念の為に、家庭裁判所にも確認をしてみましたが、本人さんの会社を辞める意思表示に保佐人の同意は不要という見解でした。

そうすると、本人さんが軽率に(保佐人の同意なしに)行った会社を辞める意思表示も、保佐人は取消ができないということにもなります(意思無能力や意思表示の瑕疵・欠缺の場合は別ですが)。

もしも同意権や取消権を行使したいのであれば、あらかじめ同意権の範囲の拡張や代理権の設定が必要になってくるのでしょう。

 

以上は、本人さんが自主的に会社を辞める場合の話ですが、最後に解雇の場合についても考えてみましょう。

解雇とは、使用者による労働契約(雇用契約)の解約を言いますが、本人さんだけに対して解雇が告げられた場合に、その効力はどうなのか(保佐人にも解雇を伝えないといけないのか)という問題が考えられます。

この点は、保佐人制度の本人さんは意思表示の受領能力がある(単独で有効に意思表示を受けることができる)とされています(民法98条の2において、被保佐人が規定されていない)ので、解雇を保佐人に伝える必要まではないということになるのでしょう。

もっとも、本人さんが解雇の意味を本当に理解しているのかわからない場合もあるでしょうから、できるだけ保佐人の理解や協力を得たうえで解雇手続きを進めた方が、不要なトラブルの防止になることは言うまでもありません。

 

以上、本人さんが会社を辞める場合に、保佐人の同意が必要なのかという点について検討しました。

保佐人制度の本人さんは現有能力がある程度高いので、一般就労をしているケースも少なくありません。

実際に保佐人をしていると、本人さんの就労の問題にかかわることが多いのはそのためです。

退職は本人さんの生活に大きな影響を与えるイベントですので、保佐人としては、しっかり本人さんと話し合い、フォローしていかなければなりません。

その際には、保佐人としての法律上の権限を確認しておくことも重要です。

筆者としては、社会保険労務士の専門性を活かして、就労に関しても、本人さんの希望にそって、その利益を確保していけるように、努力していきたいと思っています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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社会保険労務士が成年後見に関わる理由

オフィス北浦のブログサイトにようこそおいでくださいました。

社会保険労務士の徳本です。

今回は、社会保険労務士が成年後見制度にどのように関与できるのか、筆者の経験を通じて感じたところを述べたいと思います。
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筆者は、成年後見業務を専門に扱う法人の事務局をしています。

この法人は、法律の専門家である弁護士と福祉の専門家である社会福祉士が協働して成年後見業務を行うことで、財産管理と身上監護にバランスのとれた適正な成年後見サービスを提供することを目的として活動しています。

また、サービスの幅や質をさらに向上させるべく、司法書士や税理士といった専門家も参加しており、多職種による協働を実現しています。

そのような法人で、筆者は、裏方である事務局を担当しているのです。

 

各専門家にはそれぞれ得意分野があります。

本人さんの生活の質を高めるために社会福祉士は司令塔として機能しますし、法律問題や虐待問題には弁護士が毅然と対応します。

また、相続による不動産の取得や不動産の任意売却では司法書士が活躍しますし、税金の問題は税理士が適切に処理をします。

では、社会保険労務士は何ができるのでしょうか。

読んで字のごとく、「社会保険」の専門家として、社会保険に関連する分野を担当できます。

前述の各専門家の扱う分野に比べると、少し地味な感じがします。

しかし、成年後見と社会保険の関連を考えると、これらはすごく深い関係があることがわかります。

まず、成年後見を利用する本人さんは、ほとんどが高齢者や障害者に該当します。

その本人さんの収入の大半は、公的年金制度により支えられています。

また、ほとんどの人は、何らかの医療や介護のサービスを受けています。

その際には、医療サービスを受けるには公的医療保険(後期高齢者医療制度や国民健康保険など)が、介護サービスを受けるには公的介護保険がそれぞれ必要になってきます。

そして、これらの保険料の支払いを適切に管理するのも成年後見人の職務です。

つまり、社会保険制度は、成年後見制度の財産管理と身上監護の両面に深く関係する制度なのです。

さらに社会保険制度は毎年のように改正が行われる複雑な面もあります。

ここに社会保険制度の専門家である社会保険労務士が関与する意義があるのです。

具体的にどのようなことをやるのかというと、たとえば、介護保険の要介護(要支援)認定の申請や更新、医療保険の「限度額適用認定証・標準負担額減額認定証」や介護保険の「負担限度額認定証」の申請や更新といった手続や、年金の裁定請求、障害年金の診断書や現況届の提出といった手続などがあります。

また、医療保険や介護保険の保険料の適正化も検討します。

たとえば、後期高齢者医療制度の被保険者である本人さんが世帯主である場合、その世帯に属する他の人(たとえば子)の国民健康保険の保険料の納付義務が本人さんに生じます(これを「擬制世帯主」といいます)。

このようなケースでは、子らの国民健康保険料を本人さんが負担するのが適切ではない場合、そうならないような方法を講じます。

また、逆に子が世帯主である場合で、その所得が本人さんの保険料の算出に影響する場合には、生活の実態を反映させるような方法を講じることもあります。

一つ一つは地味な作業なのですが、これらをするかしないかでは、本人さんの負担は大きく変わってくることでしょう。

また、社会保険制度手続のほとんどが、いわゆる申請主義をとっていますので、放っておくとサービスを受けられないまま時効にかかっていくということもあります。

社会保険手続の懈怠は、本人さんの不利益に直結するということです。

少し極端な話ですが、報道によると、平成29年1月の松江地裁の判決で、社会保険手続(障害年金の請求)を怠った成年後見人への損害賠償請求が認められたという例もあるようです。

これまで成年後見人に対する損害賠償といえば、横領や使い込みによるものが多かったのですが、社会保険手続の懈怠によるものも損害賠償の対象となるということは、成年後見人として、しっかりと肝に銘じなければならないことです。

このように損害賠償まで認められるケースは稀なのでしょうが、適正な社会保険手続が成年後見人の職務の一つであることは間違いないのですから。

 

このように、社会保険労務士が成年後見制度に関与する意義はあると思っています。

これは、これまで事務局として成年後見制度に関わってきた筆者の実感でもあります。

筆者としては、今後も、一見地味な作業に従事しながら、裏方として法人を支えていこうと思っています。

最後までお読みいただきありがとうごさいました。
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