ディプロマシールール説明 基本編(10) ~命令解決フェイズ
2020.02.24
初心者向けディプロマシー基本ルール(10)
オフィス北浦が主宰する祥福舎卓ゲ部では、対面型のディプロマシーというボードゲームを行っています。
参加者は初心者さんが多いので、その都度ルール説明の時間を1時間程度設けていますが、事前に基本的なことを確認できるように、こちらのサイトでも説明していきたいと思います。
第10回目は、命令解決フェイズについてご説明します。
もっとも、基本編ということですので、あまり難しいケースまではご説明できませんが、ゲームを楽しむために覚えておきたい基本ルールをピックアップしてお伝えできればと思っています。
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命令解決フェイズって何をするの?
命令解決フェイズは、命令記入フェイズで出された命令の成功・失敗をGMが判定するフェイズです。
まずは、各命令が有効であることを確認したうえで(無効の命令は維持命令と読み替えます)、その成否を判定していきます。
最終的には、移動命令が成功したかどうかが問題になります。
それと同時に、移動命令の成功によって撃退が発生するかどうかも判定します(撃退が発生した場合には、撤退・解体フェイズに進みます)。
GMが提出された命令書を読み上げながら、その命令の成否を判定していくのですが、プレーヤーの皆さんと一緒にわいわいできればと思っています。
移動命令の成功条件
移動命令(=攻撃命令)の成功条件を一言で表すと、「ナンバーワンかつオンリーワン」です。
これは「1つの地域には1つの軍隊ユニットしか存在できない」という基本ルールから導かれる原則です。
ナンバーツー以下では移動命令は失敗します。
ナンバーワンが複数いても移動命令は失敗します。
これを維持命令を受けたユニット(防御側)からいえば「引き分けに持ち込めば防衛成功」ということです。
「ナンバーワンかつオンリーワン」の条件を充たした軍隊ユニットの移動命令は成功し、その軍隊ユニットは移動先に移動することができます。
もしも、その移動先を他国の軍隊ユニットが維持していた場合には、その他国の軍隊ユニットは維持に失敗したことになります。
このように維持に失敗することを「撃退」といいます(撃退の処理については、次回の「ディプロマシールール説明 基本編(11) ~撤退・解体フェイズ」で説明します)。
次の例をみてください。
【配置及び命令】
- Ukr(ウクライナ)ロシア陸軍:Rum(ルーマニア)に移動
- Sev(セヴァストポリ)ロシア海軍:Ukr(ウクライナ)ロシア陸軍がRum(ルーマニア)に移動するのを移動支援
- Rum(ルーマニア)オーストリア陸軍:維持
- Bul(ブルガリア)トルコ陸軍:Rum(ルーマニア)に移動
この場合、Rum(ルーマニア)において、
- Ukr(ウクライナ)ロシア陸軍:移動力②(Sev(セヴァストポリ)ロシア海軍の支援成功)
- Bul(ブルガリア)トルコ陸軍:移動力①
- Rum(ルーマニア)オーストリア陸軍:維持力①
となります。
とすれば、Ukr(ウクライナ)ロシア陸軍の移動力②が「ナンバーワンかつオンリーワン」ですので、
- Ukr(ウクライナ)ロシア陸軍:Rum(ルーマニア)に移動成功
- Bul(ブルガリア)トルコ陸軍:Rum(ルーマニア)に移動失敗(Bul(ブルガリア)で維持)
- Rum(ルーマニア)オーストリア陸軍:Rum(ルーマニア)で維持失敗(撃退される=撤退・解体フェイズで処理)
となります。
仮に、この例でSev(セヴァストポリ)ロシア海軍の移動支援がなかったとしたら、Ukr(ウクライナ)ロシア陸軍とBul(ブルガリア)トルコ陸軍は移動失敗し(オンリーワンが決まらないからです。このような現象をスタンドオフといいます)、すべてのユニットは現状維持となります。
Rum(ルーマニア)オーストリア陸軍の維持が成功したといってもいいでしょう。
支援命令の成功条件
このように、移動命令の成功は支援命令の成功にかかっているといっても過言ではありません。
そこで、支援命令の成功条件が問題になりますが、それは「支援カットをされないこと」です。
支援カットとは、支援ユニットが他の軍隊ユニットから移動(攻撃)を受けた場合に支援が失敗することです。
ここで注意が必要なのは、支援カットは、移動(攻撃)を受けただけで発生するということです(その移動が成功するかどうかにかかわらず=支援ユニットが撃退されるかどうかにかかわらず、支援カットは生じるということです)。
ただし、例外的に、支援ユニットが他の軍隊ユニットから移動(攻撃)を受けた場合でも、支援カットがされない場合があります。
それは、被支援ユニットの移動先の軍隊ユニットから支援ユニットが移動(攻撃)を受けた場合です。
この場合には、支援カットはされず、支援は成功します(さらにその例外もあるのですが、基本編ではここまで理解してもらえれば十分です)。
このあたりは、言葉で説明してもなかなか理解しにくいので、いくつかのケースを使って説明した方がいいでしょう。
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移動命令と支援命令のケーススタディ
まずは移動命令からです。
ケース1では、Ber(ベルリン)ドイツ陸軍がPru(プロシア)に移動成功したことで、Ber(ベルリン)を維持するユニットがいなくなりました。
その結果、Kie(キール)ドイツ陸軍もスムーズにBer(ベルリン)に移動成功できました。
ケース2では、Ber(ベルリン)ドイツ陸軍がPru(プロシア)に移動しようとしたところ、Pru(プロシア)をロシア陸軍が維持しています。
移動力①と維持力①の戦いですので、引き分けとなり、Ber(ベルリン)ドイツ陸軍のPru(プロシア)移動は失敗となります。
その結果、Ber(ベルリン)ドイツ陸軍はBer(ベルリン)を維持することになり、Kie(キール)ドイツ陸軍のBer(ベルリン)移動も失敗します(移動力①と維持力①)。
玉突き事故のような感じです。
このように、自国のユニット同士でも「ナンバーワンかつオンリーワン」のルールは適用されます。
ケース3は、初心者がよく間違えやすいものです。
隣接するユニットの直接的な入れ替えはできません。
Ber(ベルリン)ドイツ陸軍とPru(プロシア)ロシア陸軍の移動はともに失敗します。
ケース4では、Ber(ベルリン)は空白地域です。
しかし、そこにKie(キール)ドイツ陸軍とPru(プロシア)ロシア陸軍が移動を試みます。
すると、移動力①と移動力①の戦いになりますので、オンリーワンが決まりません。
その結果、Kie(キール)ドイツ陸軍とPru(プロシア)ロシア陸軍の移動はともに失敗します。
ケース4のように、同一地域に同時に複数の同じ力の移動が試みられた場合に現状維持となる現象のことをスタンドオフと言います。
次に支援命令をみていきましょう。
ケース5とケース6を比べてみてください。
Ber(ベルリン)ドイツ陸軍、Bal(バルト海)ロシア海軍、Pur(プロシア)ロシア陸軍と配置は同じです。
ロシアはBer(ベルリン)を占有したいと思っているので、Ber(ベルリン)ドイツ陸軍(維持力①)を撃退しなければいけません。
この場合、もしもケース5のように、Bal(バルト海)ロシア海軍とPur(プロシア)ロシア陸軍がともに移動したらどうなるでしょうか。
2軍で攻めているので強そうに思えます。
しかし、Ber(ベルリン)において、Ber(ベルリン)ドイツ陸軍(維持力①)、Bal(バルト海)ロシア海軍(移動力①)、Pur(プロシア)ロシア陸軍(移動力①)となり、オンリーワンが決まりません。
Ber(ベルリン)において、Bal(バルト海)ロシア海軍とPur(プロシア)ロシア陸軍がスタンドオフを起こしたと言ってもいいでしょう。
その結果、Bal(バルト海)ロシア海軍とPur(プロシア)ロシア陸軍の移動命令はともに失敗し、現状維持となります。
それに対して、ケース6では、Pur(プロシア)ロシア陸軍がBal(バルト海)ロシア海軍のBer(ベルリン)への移動を支援しています。
その結果、Bal(バルト海)ロシア海軍(移動力②)とBer(ベルリン)ドイツ陸軍(維持力①)となり、Bal(バルト海)ロシア海軍のBer(ベルリン)への移動が成功します(Ber(ベルリン)ドイツ陸軍は撃退されます)。
ケース7は支援カットの例です。
ケース6の配置に加えて、Sil(シレジア)ドイツ陸軍がPur(プロシア)へ移動を試みます(移動力①)。
しかし、Pur(プロシア)ロシア陸軍は維持力①ですので、Sil(シレジア)ドイツ陸軍のPur(プロシア)への移動は失敗します。
もっとも、支援ユニットであるPur(プロシア)ロシア陸軍が移動(攻撃)を受けたことで、支援カットが生じます。
その結果、Ber(ベルリン)において、Ber(ベルリン)ドイツ陸軍(維持力①)、Bal(バルト海)ロシア海軍(移動力①)となり、Bal(バルト海)ロシア海軍のBer(ベルリン)への移動は失敗します。
もっとも、このケース7はドイツにとって最善手とはいえないかもしれません。
なぜならば、Pur(プロシア)ロシア陸軍がBer(ベルリン)に移動し、それをBal(バルト海)ロシア海軍が移動支援する可能性もあるからです(Pur(プロシア)ロシア陸軍の移動力②)。
もしそうなれば、支援カットは行われず、Ber(ベルリン)ドイツ陸軍が撃退されてしまいます(Sil(シレジア)ドイツ陸軍のPur(プロシア)への移動は成功しますが、本国の補給都市Ber(ベルリン)が陥落したのでは被害が大きすぎます)。
この場合には、Sil(シレジア)ドイツ陸軍はBer(ベルリン)ドイツ陸軍を維持支援し、Ber(ベルリン)ドイツ陸軍の維持力を②に上げる方が安全策と思われます(移動力②と維持力②の戦いとなりBer(ベルリン)ドイツ陸軍の維持成功です)。
ケース7は、支援カットの例として、参考にしてください。
ケース8は支援カットの例外の例です。
配置はケース6と同じですが、Ber(ベルリン)ドイツ陸軍がPur(プロシア)ロシア陸軍に移動(攻撃)をしかけています。
もしも、このケース8で、Pur(プロシア)ロシア陸軍の支援がカットされたとすれば、全ユニットは現状維持となります。
しかし、それではケース6と比べて結果が変わり過ぎてしまいます。
そこで、このようなケース(被支援ユニットの移動先の軍隊ユニットから支援ユニットが移動(攻撃)を受けた場合)では、例外的に支援カットは起こりません。
その結果、ケース6と同じく、Ber(ベルリン)ドイツ陸軍は撃退されます。
輸送命令の成功条件とケーススタディ
さいごに輸送命令の成功条件です。
それは「輸送カットをされないこと」です。
もっとも、輸送カットは、支援カットと異なり、単に輸送ユニットが他の軍隊ユニットから移動(攻撃)を受けただけでは、輸送は失敗しません。
輸送ユニットが撃退された場合に限り、輸送は失敗します。
ケース9と10をみてください。
ケース9と10では、Edi(エディンバラ)イギリス陸軍がNwy(ノルウェー)に移動するのを、Nth(北海)イギリス海軍(維持力①)が輸送しています。
ケース9では、Ska(スカゲラク)ドイツ海軍がNth(北海)に移動しています(移動力①)。
しかし、Ska(スカゲラク)ドイツ海軍のNth(北海)への移動は失敗です(移動力①と維持力①)。
その結果、Nth(北海)イギリス海軍の輸送は成功し、Edi(エディンバラ)イギリス陸軍のNwy(ノルウェー)への移動も成功します。
もっとも、Ska(スカゲラク)ドイツ海軍がNwy(ノルウェイ)に移動していれば、Nwy(ノルウェー)でEdi(エディンバラ)イギリス陸軍とスタンドオフが発生するので、そちらの方が戦術的には優れているかもしれません(このケースは、あくまでも輸送カットができないケースの例として参考にしてください)。
それに対して、ケース10では、Ska(スカゲラク)ドイツ海軍のNth(北海)への移動を、Hel(ヘルゴランド湾)ドイツ海軍が移動支援しています。
その結果、Nth(北海)イギリス海軍は撃退され、輸送も失敗、Edi(エディンバラ)イギリス陸軍のNwy(ノルウェー)への移動も失敗します。
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さいごに
今回はいくつかのケースをみながら、命令解決フェイズについてご説明しました。
ここでとりあげたケース以外にも、もう少し複雑なケースもあります。
命令解決のためのルールも全部をご紹介できたわけではありません。
ただ、初心者としてゲームを始める前に覚えておいていただきたいものはあげたつもりです。
この基本編が終われば、いずれケーススタディ編もできたらいいなと企画しています。
まずは基本からということで。
次回は、撤退・解体フェイズについてお話していく予定です。
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