ディプロマシールール説明 基本編(2) ~マップ・ユニット

2020.02.05

初心者向けディプロマシー基本ルール(2)

オフィス北浦が主宰する祥福舎卓ゲ部では、対面型のディプロマシーというボードゲームを行っています。

参加者は初心者さんが多いので、その都度ルール説明の時間を1時間程度設けていますが、事前に基本的なことを確認できるように、こちらのサイトでも説明していきたいと思います。

第2回目は、ゲームのマップとユニットについて、ご説明します。
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どんなマップをつかうの?

まずはゲームの舞台となるマップの説明をします。

祥福舎卓ゲ部のディプロマシー会では、AVALON HILLのゲームボードを使用しています。

大きさは、縦約50㎝、横約75㎝といったところでしょうか。

このマップは次の①~④の地域に分かれています。

  • ①内陸地域
  • ②沿岸地域
  • ③海洋地域
  • ④侵入不可能地域

の4つです。

そして①~③の各地域には地名が付けられています(④はスイスのみ地名が付いています)

 

一般的に、ディプロマシーの地名はアルファベット3文字で表されることが多いですが、祥福舎卓ゲ部のディプロマシー会ではすべて日本語表記を使っています(このブログではアルファベットに日本語を併記していきます)。

下の画像のマップを使って説明していきましょう。

このマップは祥福舎自作のGMメモ用のものです。

かなり簡略化してお見苦しいところもありますが、地名を日本語表記にして、隣接地域もわかりやすくしてあるので、こちらを使っていくことにします。

まず、①内陸地域ですが、これは海に面していない陸地のエリアです。

たとえば、フランスならPar(パリ)やBur(ブルゴーニュ)、ドイツならMun(ミュンヘン)やRuh(ルール)などです。

 

次に、②沿岸地域ですが、これは海に面している陸地のエリアです。

たとえばイギリスのLon(ロンドン)やイタリアのRom(ローマ)です。

ちなみに、イギリス、イタリア、トルコの初期領土は沿岸地域だけです。

 

そして、③海洋地域ですが、これは海のエリアです。

たとえば、イギリスとフランスの間にあるEng(イギリス海峡)やフランスとイタリアがぶつかるGoL(リヨン湾)などがあります。

 

さいごに、④侵入不可能地域ですが、フランス、ドイツ、イタリア、オーストリア=ハンガリーの4ヶ国が接するスイスやアイルランド、コルシカ島などの島嶼部(ゲームボード上にはありますが、上記マップにはありません)です。

④侵入不可能地域のうち島嶼部はゲームの進行に関係ありませんので上記のマップでは省略してありますが、スイスは黒く塗りつぶした部分です。

スイスに軍隊ユニットを入れられないことで、軍事行動にかなりの制約が出てくることが実感できます(だからこその永世中立国なのでしょうね)。

 

これらの①~④の地域分けは、ユニットの移動を制限する意味があり重要なのですが、マップをみればすぐにわかるので、覚える必要まではないでしょう。

 

また、①内陸地域と②沿岸地域は、全部で34の補給都市(マップでは★や◎のマークがついたエリア)とそうでないエリアに分かれます。

このゲームの勝利条件は18の補給都市を占有することですから、補給都市は勝利に直結する重要エリアといえます。

もっとも、補給都市でないエリアでも、海洋地域を含めて攻防の要衝となるエリアもありますので、必ずしも戦略的価値が低いというわけではありません。

 

さらに、補給都市の中でも、各国が初期配置で占有している補給都市(本国の補給都市)と、中立の補給都市に分かれます。

本国の補給都市(★のマーク)は、

  • イギリス:Lon(ロンドン)、Edi(エディンバラ)、Lvp(リヴァプール)
  • フランス:Par(パリ)、Bre(ブレスト)、Mar(マルセイユ)
  • ドイツ:Ber(ベルリン)、Kie(キール)、Mun(ミュンヘン)
  • イタリア:Rom(ローマ)、Ven(ヴェニス)、Nap(ナポリ)
  • オーストリア=ハンガリー:Vie(ウィーン)、Bud(ブダペスト)、Tri(トリエステ)
  • ロシア:Mos(モスクワ)、StP(サンクトペテルブルク)、War(ワルシャワ)、Sev(セヴァストポリ)
  • オスマントルコ:Con(コンスタンティノープル)、Ank(アンカラ)、Smy(スミルナ)

の22地域です(各国3地域ですが、ロシアのみ4地域です)。

 

中立の補給都市(◎のマーク)は、

Swe(スウェーデン)、Nwy(ノルウェー)、Den(デンマーク)、Hol(オランダ)、Bel(ベルギー)、Spa(スペイン)、Por(ポルトガル)、Tun(チュニス)、Ser(セルビア)、Rum(ルーマニア)、Bul(ブルガリア)、Gre(ギリシャ)

の12地域です。

 

本国の補給都市かどうかの区別は、軍隊ユニットの増設の際に重要な意味をもってきますので、その際に説明します。

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どんなユニットをつかうの?

各国が使用する軍隊ユニットは、

  • 陸軍ユニット(Armyの頭文字から「A」と表記することがあります)
  • 海軍ユニット(Fleetの頭文字から「F」と表記することがあります)

の2種類しかありません。

陸軍ユニットは戦車の図柄で、海軍ユニットは戦艦の図柄になっています。

 

また、各国の占有した補給都市におくための国旗トークンも使います。

国旗トークンは補給都市にだけおきます(補給都市でないエリアにはおきません)。

したがって、ゲーム盤上の国旗トークンの数=保有する補給都市の数ということになります。

 

ちなみに、各国のユニットカラーは、公式では

  • イギリス:濃い青
  • フランス:薄い青
  • ドイツ:黒
  • イタリア:緑
  • オーストリア=ハンガリー:赤
  • ロシア:白
  • オスマントルコ:黄

とされています。

祥福舎卓ゲ部では、基本的には公式のユニットカラーを使いますが、

  • フランス:紫
  • ロシア:灰色

上記2国のユニットカラーは、変更しています。

祥福舎卓ゲ部では、このユニットカラーに準じたペンで各国の命令書を作成してもらいます。

 

陸軍ユニットと海軍ユニットの違いは?

陸軍ユニットと海軍ユニットは、移動できる地域に違いがあります。

陸軍ユニットと海軍ユニットが移動できる地域は、

  • 陸軍ユニット:①内陸地域、②沿岸地域
  • 海軍ユニット:③海洋地域、②沿岸地域

というシンプルなものです(④侵入不可能地域にはどのユニットも移動できません)。

これは逆にいえば、陸軍ユニットは③海洋地域に移動できず、海軍ユニットは①内陸地域に移動できないということです。

この移動できるかどうかの違いは、支援できるかどうかの違いにも影響してきますので、しっかり理解しておいてください。

たとえば、Ber(ベルリン)にいる陸軍ユニットは、Kie(キール)、Mun(ミュンヘン)、Sil(シレジア)、Pru(プロシア)には移動できますが、海洋地域のBal(バルト海)には移動できません。

また、Bre(ブレスト)にいる海軍ユニットは、Pic(ピカルディ)、Gas(ガスコーニュ)、Eng(イギリス海峡)、Mid(中大西洋)には移動できますが、内陸地域のPar(パリ)には移動できません。

軍隊ユニットがどこからどこに移動できるのかについては、詳しくは移動命令のところでお話します。

 

マップとユニットの2大ルール

ディプロマシーの基本ルールとして、次の2つはとても重要です(一切の例外のない基本ルールです)。

  • 軍隊ユニットの力はすべて同じである
  • 1つの地域には1つの軍隊ユニットしか存在できない

 

「軍隊ユニットの力はすべて同じである」は、どの国のユニットにも陸海の区別なくすべて適用されます。

ロシアの海軍が強いとか、ドイツの陸軍が強いとかいった区別は一切ありません。

 

「1つの地域には1つの軍隊ユニットしか存在できない」は、自国と他国の区別なく、すべての地域に適用されます。

Ber(ベルリン)の防御を固めたいから、陸軍ユニットと海軍ユニットを一緒に配置しようといったことはできないのです(どうやって防御を固めるのかは、支援命令のところでお話できればと思っています)。

また、このルールによって、移動命令の成功条件が「ナンバーワンかつオンリーワン」となるのですが、そのお話は移動命令のところでさせていただきます。

 

とにかくこの2つのルールはこれから出てくるいろいろなルールのキーとなるものですので、しっかりと理解しておいてください。

 

勝利条件・敗北条件との関係で注意すべきポイント

マップについて、敗北条件(自国の軍隊ユニットがすべてなくなること)との関係で注意すべきポイントは、

  • 本国の補給都市がすべて他国に占有されたとしても、軍隊ユニットがある限り(=他の補給都市を占有している限り)、滅亡(敗北条件を充たすこと)にはならない

という点です。

たとえば、オーストリア=ハンガリーが自国の補給都市(Vie(ウィーン)、Bud(ブダペスト)、Tri(トリエステ))をすべて失ったとしても、補給都市であるSer(セルビア)を占有しており、軍隊ユニットが存続している限りは滅亡しないということです。

ときには、自国の補給都市をすべて失った国が、他国が本国とする補給都市を占有して存続するという状態もありえるのです(「亡命政権」といったりします)。

ただし、自国の補給都市をすべて失うと、軍隊ユニットの増設ができなくなるため、かなり不利な状況であることにはかわりありません(ユニットの増設については、別の機会にご説明します)。

 

軍隊ユニットについて、勝利条件との関係で注意すべきポイントは、

  • 他国を滅亡させることや他国の軍隊ユニットを排除することが勝利条件ではない

という点です。

このゲームの勝利条件は、あくまでも占有する補給都市の数です(勝利条件についての詳細はこちらをご参照ください)。

補給都市を占有する過程で、他国の軍隊ユニットを排除することはあっても、それ自体は勝利条件ではありません。

将棋やチェスのように特定の駒を排除することが勝利条件ではありませんので、ご注意ください。

そのためディプロマシーでは、軍隊ユニットの増減は限られた場面でしか起こりません。

軍隊ユニットが増えるのは、「ユニット増減フェイズ」で増設命令を行うときだけですし、軍隊ユニットが減るのは、「撤退・解体フェイズ」(強制解体の場合と任意解体の場合があります)と「ユニット増減フェイズ」で解体命令を行うときだけです(詳細は別の機会にさせてください)。

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さいごに

今回は、マップとユニットについて確認してきました。

アルファベットが出てきたり、地域特性やユニット特性が出てきたりと、一見するとややこしい感じがするかもしれません。

しかし、実際にはマップを見ながらのプレイになりますし、わからなければその都度GMに確認していけば自然と身についていくので、それほど面倒に感じることはないと思います。

それよりも、物理的な問題として、ゲームボード上で特にドイツやイタリアの地域が狭いので、国旗トークンと軍隊ユニットを置くと、どの地域に軍隊ユニットがいるのかわからなくなるといった混乱が起こることの方が面倒です(オンラインに慣れている人には、かなりのイライラポイントになるでしょう)。

そこで祥福舎卓ゲ部では、全体会議用にゲームボードを使用しつつ、GMの行軍処理用のエクセルマップをその都度各プレイヤーに配布するようにしています(PCとプリンターがある場合だけですが)。

これを配布すると「ゲームボードはいらないのでは」と言われることもあるのですが、ゲームボードを囲んでみんなでわいわいやることも対面ディプロマシーの楽しみの一つですので、ゲームボードは使い続けようと思っています。

次回は、ゲームの進め方について説明しようと思います。
 

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