ディプロマシールール説明 基本編(5) ~外交フェイズ
2020.02.17
初心者向けディプロマシー基本ルール(5)
オフィス北浦が主宰する祥福舎卓ゲ部では、対面型のディプロマシーというボードゲームを行っています。
参加者は初心者さんが多いので、その都度ルール説明の時間を1時間程度設けていますが、事前に基本的なことを確認できるように、こちらのサイトでも説明していきたいと思います。
第5回目は、このゲームのメインである外交フェイズについて、ご説明します。
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外交フェイズって何をするの?
1901年春ターンが開始されると、まずはこの外交フェイズが始まります(ターンやフェイズについて詳しくはこちらへ)。
Diplomacy(外交)というゲーム名があらわすとおり、この外交フェイズでは、各プレーヤーが外交官として他国の外交官と外交交渉を行います。
この外交交渉により得られた成果をもとに、次の命令記入フェイズでの軍事行動を決定することになるので、とても重要なフェイズです。
なので、このフェイズでは、時間さえ守ってもらえれば、何をしてもらっても構いません(当然、ゲーム進行の妨げになるような行為は慎んでいただきますが)。
秘密外交も二重三重外交もまったく問題ありません。
交渉方法も、個別で話し合ってもらっても構いませんし、全体会議やいくつかのグループに分かれて話あうことも問題ありません。
なお、祥福舎卓ゲ部のディプロマシー会では、ラインやツイッター、メールといったオンラインで行う交渉は禁止していますので、その点はご了承ください(メモや手紙などの書面はOKです)。
とはいっても、初めてプレーする場合、何を話していいのかわからないという心配もあるかと思います。
そこで、ゲーム序盤の外交フェイズでやるべきことの例をいくつかあげてみようと思います。
- 同盟国、仮想敵国、友好国、中立国など各国の立ち位置のみきわめ
このゲームで序盤の各国の軍事力は均衡しています。
そのため、単独で他国に勝利することは困難です。
そこで、どの国と同盟を組むのかが重要になります。
共通の仮想敵国を設定し、「敵の敵は味方」というように同盟国を決めることもあります。
地理的な初期配置として、イギリス・フランス・ドイツの3国とオーストリア=ハンガリー・ロシア・オスマントルコの3国はそれぞれ三つ巴状態にあります。
そこにイタリアの利害が加わりますので、どこと同盟を組み、どこと戦うかは、この外交フェイズでの交渉によって大きく変わってきます。
また、直接の軍事行動を共にするわけではないですが、情報共有を行ったり軍事的な牽制をかけてもらったりする友好国を作ったり、戦力を集中するために中立国を作ったりと、外交フェイズで行うことはたくさんあります。
もちろん、将来的には裏切ることも裏切られることもあるので、その点も考慮に入れておかなければいけません。
そういった自国と各国の立ち位置をみきわめていくことが重要になります。
- 不可侵地域の設定
地理的な条件により激戦地域や緩衝地帯になりやすい地域というのがあります(詳しくはこちらへ)。
そこに侵攻されると本国の補給都市が危険になるような地域、将来的には侵攻したいけれど時期尚早な地域(「棚上げ」地域)など、いろいろな理由でお互いに侵攻しない「不可侵地域」を決めるのも外交フェイズでの仕事です。
わざとスタンドオフを起こす合意をして不可侵地域を保障する方法もあります(スタンドオフというのは軍事衝突が引き分けで現状維持となる現象です。くわしくは命令解決フェイズのところでお話します)。
- 中立の補給都市の分割協議
このゲームの勝利条件は補給都市を多く占有することですので、各国は中立の補給都市を早期に占有したいと狙っています。
そこで、まずは利害関係のある各国で、これからどのように中立の補給都市を分割するのかを話し合っておくとよいでしょう。
占有する補給都市が増えれば、秋ターン終了後に軍隊ユニットを増設することもできます。
占有する補給都市の数は、自国の軍隊ユニット数の上限です。
軍隊ユニットが増えれば軍事行動もやりやすくなるので、中立の補給都市をいかに早く占有するかはゲーム序盤の重要な目標です。
中立の補給都市を効率的に占有するためにも、外交フェイズでの交渉がカギとなります。
- 軍隊ユニット増設の協議
他国がどの補給都市にどの軍隊ユニットを増設する予定なのかを協議しておいた方がよいでしょう。
特に秋ターンの外交フェイズでは、そのターンのおわりにユニット増減フェイズがあります。
ユニット増減フェイズでは各国と交渉することはできませんので、この外交フェイズで予め協議をして取り決めを交わすことが重要です。
「Mar(マルセイユ)には海軍を作らないでね」とか「War(ワルシャワ)に陸軍を作ったら宣戦布告とみなすよ」といった交渉は、外交フェイズでしかできないのです。
他にも思いつく限りの議題を交渉の場に持ち出して、積極的に外交を行ってください。
ただし、何をやってもよいのですが、この外交フェイズで行われた合意には、ゲームのルール上何らの強制力もありません。
合意を守らなかったからといって、何かペナルティーがあるかといえば、何もないのです。
もちろん、事実上のペナルティーはあります。
合意を破棄された国とは敵対関係になるでしょうし、国際的な信用を失うかもしれません。
ただ、それも含めての外交交渉ということなのです。
なお、外交フェイズの時間内に、次の命令記入フェイズで行う命令書の作成をやっても構いません。
外交フェイズであれば、他国と話し合いながら、命令書をつくることもできます(ただし、命令書の提出はできませんので、命令記入フェイズで書き直すことも自由です。裏切りテクニックのひとつです)。
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交渉時間は?
外交フェイズの交渉時間は、
- 1901年春:30分
- それ以外:15分
- すべての参加国(滅亡した国を除く)の同意があれば時間短縮可能
となっています。
祥福舎卓ゲ部のディプロマシー会では、ハウスルールで時間を変更することも多いですが、ゲーム開始前に告知します。
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さいごに
なんでもありの外交フェイズですが、いかに自国の利益を最大化する交渉を行えるかは、プレーヤーの外交官としての腕前にかかっています。
目先の損失や便益だけでなく、戦略的に次に繋がる成果を獲得できるか、将来をみる目も必要になってきます。
外交フェイズは、交渉力を鍛えるトレーニングにもなりますので、各国との駆け引きを楽しんでください。
次回からは、命令記入フェイズに入ります。
命令記入フェイズは長くなるので、維持命令、移動命令、支援命令、輸送命令の4回にわけてお話していこうと思っています。
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