ディプロマシー ルール解説 よくある質問 第2回 「支援カットが起きる場合と起きない場合の違いがよくわかりません」

2025.10.03

ボードゲーム系社労士&ファイナンシャルプランナーの徳本です。

筆者の愛してやまないボードゲーム「ディプロマシー」の布教活動のために、初心者さんからよく聞かれることを「よくある質問」としてまとめていきます。

第2回目の質問は「支援カットが起きる場合と起きない場合の違いがよくわかりません」というものです。

これは「支援カットの例外」についての質問です。

支援カットについては、基本ルール説明(ディプロマシールール説明 基本編(10) ~命令解決フェイズ)にも記載があるので、そちらもご参照ください。

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ディプロマシー よくある質問 第2回 支援カットの基本と例外

支援カットの基本は、

  • 支援をするユニットが攻撃(他ユニットからの移動命令)を受けると、その成否にかかわらず、支援命令は失敗する(=支援カット)
  • ただし、被支援ユニット(支援を受けて移動を試みるユニット)の移動先(攻撃先)のユニットから支援ユニット(支援をするユニット)に攻撃(移動命令)を受けた場合には、支援カットは起こらない(支援命令は成功する)

というものです。

ここでは、図1のような盤面(ユニット配置)を仮定して、解説していきます。

ユニットの配置(図1)

  • フランス(紫色)
    • A Bur(ブルゴーニュ陸軍)
    • A Ruh(ルール陸軍)
  • ドイツ(黒色)
    • A Mun(ミュンヘン陸軍)
    • A Hol(オランダ陸軍)
  • オーストリア(赤色)
    • A Boh(ボヘミア陸軍)

フランスがA Bur(ブルゴーニュ陸軍)とA Ruh(ルール陸軍)を使ってMun(ミュンヘン)の攻略を狙っている盤面です。

支援カットの基本事項の確認①

まずは、支援カットの基本事項である「支援をするユニットが攻撃(他ユニットからの移動命令)を受けると、その成否にかかわらず、支援命令は失敗する(=支援カット)」を確認していきましょう。

図1-1の盤面をみてください。

【命令書の記載例】

  • フランス
    • A Bur – Mun(ブルゴーニュ陸軍をミュンヘンに移動)
    • A Ruh S A Bur – Mun(ルール陸軍はブルゴーニュ陸軍がミュンヘンに移動するのを支援)
  • ドイツ
    • A Mun H(ミュンヘン陸軍は維持)
    • A Hol – Ruh(オランダ陸軍をルールに移動)

【結果表示】

  • フランス
    • A Bur – Mun(ブルゴーニュ陸軍をミュンヘンに移動 失敗)
    • A Ruh S A Bur – Mun(ルール陸軍はブルゴーニュ陸軍がミュンヘンに移動するのを支援 失敗=支援カット)
  • ドイツ
    • A Mun H(ミュンヘン陸軍は維持 成功)
    • A Hol – Ruh(オランダ陸軍をルールに移動 失敗)

図1-1の盤面では、ドイツの「A Hol – Ruh(オランダ陸軍をルールに移動)」という移動命令のおかげで、フランスの「A Ruh S A Bur – Mun(ルール陸軍はブルゴーニュ陸軍がミュンヘンに移動するのを支援)」という支援命令が失敗しています

これが「支援カット」です。

結果として、フランスの「A Bur – Mun(ブルゴーニュ陸軍をミュンヘンに移動)」は移動力1のままで移動せざるをえず、ドイツの「A Mun H(ミュンヘン陸軍は維持)」の維持力1を撃退することはできません。

ここでのポイントは、ドイツの「A Hol – Ruh(オランダ陸軍をルールに移動)」という移動命令自体は失敗していますが、支援カットの効果は生じるという点です。

支援カットの基本事項の確認②(支援カットの例外)

次に、「被支援ユニット(支援を受けて移動を試みるユニット)の移動先(攻撃先)のユニットから支援ユニット(支援をするユニット)に攻撃(移動命令)を受けた場合には、支援カットは起こらない(支援命令は成功する)」という点も確認しておきましょう。

この盤面を筆者の卓では便宜上「支援カットの例外」と呼んでいます。

支援カットの例外は、言語化するとわかりにくいので、盤面(図1-2)をみた方が理解しやすいと思います。

【命令書の記載例】

  • フランス
    • A Bur – Mun(ブルゴーニュ陸軍をミュンヘンに移動)
    • A Ruh S A Bur – Mun(ルール陸軍はブルゴーニュ陸軍がミュンヘンに移動するのを支援)
  • ドイツ
    • A Mun – Ruh(ミュンヘン陸軍をルールに移動)
    • A Hol H(オランダ陸軍は維持)

【結果表示】

  • フランス
    • A Bur – Mun(ブルゴーニュ陸軍をミュンヘンに移動=移動力2 成功)
    • A Ruh S A Bur – Mun(ルール陸軍はブルゴーニュ陸軍がミュンヘンに移動するのを支援 成功=支援カットは起こらない)
  • ドイツ
    • A Mun – Ruh(ミュンヘン陸軍をルールに移動 失敗)⇒ A Mun 撃退
    • A Hol H(オランダ陸軍は維持 成功)

この盤面(図1-2)では

  • 被支援ユニット=A Bur(ブルゴーニュ陸軍)
  • 支援ユニット=A Ruh(ルール陸軍)
  • 移動先(攻撃先)のユニット=A Mun(ミュンヘン陸軍)

という関係になります。

ドイツとしては、「攻撃をすれば支援カットができる」思い込んで、「A Mun – Ruh(ミュンヘン陸軍をルールに移動)」という移動命令を出したのかもしれません。

しかし、もし、これを認めたとしたら、次のような二分の一の賭けのような状態が生じます。

  • A Mun – Ruh(ミュンヘン陸軍をルールに移動)を選択 ⇒ 仮に支援カットが生じるなら、A Munは移動には失敗するが維持には成功する(移動力1のA Burに負けない)
  • A Mun – Bur(ミュンヘン陸軍をブルゴーニュに移動)を選択 ⇒ A Munは移動も維持も失敗する(移動力2のA Burに負ける)=撃退される

ディプロマシーにおいては、どこに移動するかによって結果が大きく変わるという盤面がよく生じますが、この盤面でA Munの維持を認めることはさすがに賭けが過ぎます。

そこで、このような場合には、そもそも支援カットが起こらないとしてルールで調整を図ったものと思われます。

支援カットの例外の例外

さて、次の盤面(図1-3)は、筆者が「支援カットの例外の例外」と呼んでいる盤面です。

この盤面が理解できたら、支援カットの処理はほぼ理解できたと言っていいと思います。

ちょっとややこしいですが、よく考えれば「なるほどね」と思える盤面です。

【命令書の記載例】

  • フランス
    • A Bur – Mun(ブルゴーニュ陸軍をミュンヘンに移動)
    • A Ruh S A Bur – Mun(ルール陸軍はブルゴーニュ陸軍がミュンヘンに移動するのを支援)
  • ドイツ
    • A Mun – Ruh(ミュンヘン陸軍をルールに移動)
    • A Hol S A Mun – Ruh(オランダ陸軍はミュンヘン陸軍がルールに移動するのを支援)
  • オーストリア
    • A Boh – Mun(ボヘミア陸軍をミュンヘンに移動)

【結果表示】

  • フランス
    • A Bur – Mun(ブルゴーニュ陸軍をミュンヘンに移動 失敗=スタンドオフ)
    • A Ruh S A Bur – Mun(ルール陸軍はブルゴーニュ陸軍がミュンヘンに移動するのを支援 失敗=支援カット) ⇒ A Ruh 撃退
  • ドイツ
    • A Mun – Ruh(ミュンヘン陸軍をルールに移動=移動力2 成功)
    • A Hol S A Mun – Ruh(オランダ陸軍はミュンヘン陸軍がルールに移動するのを支援 成功)
  • オーストリア
    • A Boh – Mun(ボヘミア陸軍をミュンヘンに移動 失敗=スタンドオフ)

【撃退処理後の盤面】

  • A Ruh – Bel(ルール陸軍をベルギーに移動(撤退)

支援カットの例外(図1-2)で「A Mun – Ruh(ミュンヘン陸軍をルールに移動)」によっては、「A Ruh S A Bur – Mun(ルール陸軍はブルゴーニュ陸軍がミュンヘンに移動するのを支援)」を支援カットできないということでしたが、その盤面に「A Hol S A Mun – Ruh(オランダ陸軍はミュンヘン陸軍がルールに移動するのを支援)」というA Hol(オランダ陸軍)の支援命令が加わった形です(オーストリアのA Boh(ボヘミア陸軍)については後述します)。

この場合には話は変わってきます。

なぜなら、ドイツの「A Mun – Ruh(ミュンヘン陸軍をルールに移動)」の移動力が2になるからです。

その結果、A Ruh(ルール陸軍)は撃退されます。

さすがに支援ユニットが撃退された場合、撃退されたユニットから出された支援命令に効果を認めることはできません

すなわち、フランスの「A Ruh S A Bur – Mun(ルール陸軍はブルゴーニュ陸軍がミュンヘンに移動するのを支援)」の支援命令は失敗となります(支援カット)。

フランスの「A Bur – Mun(ブルゴーニュ陸軍をミュンヘンに移動)」は移動力1のままです。

ただし、このままですと、ドイツのA Mun(ミュンヘン陸軍)はRuh(ルール)に移動することになり、Mun(ミュンヘン)が空白エリアとなります。

そうであれば、フランスの「A Bur – Mun(ブルゴーニュ陸軍をミュンヘンに移動)」は移動力1のままでも移動が成功して、Mun(ミュンヘン)がフランスに占有されてしまいます。

そこで、ドイツとしてはオーストリアに協力を仰いで、「A Boh – Mun(ボヘミア陸軍をミュンヘンに移動)」という命令を出してもらいました。

その結果、空白エリアMun(ミュンヘン)において、フランスのA Bur(ブルゴーニュ陸軍)とオーストリアのA Boh(ボヘミア陸軍)がスタンドオフを起こして、双方移動失敗となり、Mun(ミュンヘン)は空白エリアとなります(この盤面ではドイツが既に占有していますので、その占有を維持することができます)。

なお、実際のゲームにおいては、この盤面でドイツがオーストリアに「A Boh – Mun(ボヘミア陸軍をミュンヘンに移動)」をお願いすることは少ないでしょう。

なぜなら、Mun(ミュンヘン)はドイツの本拠地という重要エリアですので、ここを空白エリアにするのは危険すぎるからです。

ドイツとしては「A Mun H(ミュンヘン陸軍は維持)」という維持命令を出したうえで、オーストリアに「A Boh S A Mun H(ボヘミア陸軍はミュンヘン陸軍の維持を支援)」という維持支援命令をお願いする方が無難だと思います。

これに対して、フランスとしては、オーストリアと交渉して、「A Boh S A Bur – Mun(ボヘミア陸軍はブルゴーニュ陸軍がミュンヘンに移動するのを支援)」という移動支援命令を出してもらえれば、Mun(ミュンヘン)陥落はほぼ確実となります(フランスは相応の対価をオーストリアに払う必要があるでしょうが)。

ここらの外交交渉は、まさに「ディプロマシー」の華です

まとめ

今回は、支援カットについて、次の3つの盤面をみてきました。

  • 支援命令は、他ユニットから移動(攻撃)を受けると、その成否に関係なく、支援命令は失敗する(支援カット)
  • 支援ユニットが被支援ユニットの移動(攻撃)先のユニットから移動(攻撃)を受けた場合、支援カットは起こらない(支援カットの例外)
  • 支援ユニットが撃退された場合には、支援カットが起こる(支援カットの例外の例外)

後半になるにつれて、ややこしさが増していきますが、やっていくうちに慣れるしかないでしょう(筆者の体感としては、支援カットの例外はそこそこ起こりますが、支援カットの例外の例外はそれほど頻繁には起こらない印象です)。

さあ、これでまたディプロマシーに興味を持たれた方がいてくだされば幸いです。

社交辞令ではなく、機会があればお手合わせ願いたいところです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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