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親が亡くなったら、子が成人していても遺族年金はもらえますか?【年金の常識4】

いまさら聞けない 年金の常識(4) ~成人の子の遺族年金受給の可否

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「いまさら聞けない 年金の常識」シリーズです。

社会保険労務士である筆者が受けた相談や質問から、意外と間違えやすい年金の仕組みを回答していきます。

第4回目の質問はこちらです。

 

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質問「親が亡くなったら、子が成人していても遺族年金はもらえますか?」

回答:もらえません。遺族年金の対象者には、国民年金の場合でも、厚生年金の場合でも、成人(20歳以上)の子は含まれていません

 

国民年金(遺族基礎年金)の対象者は、死亡した者によって生計を維持されていた、「子のある配偶者」、「子(子とは18歳到達年度の年度末を経過していない者または20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の障害者に限ります)」です。

厚生年金(遺族厚生年金)の対象者は、死亡した者によって生計を維持されていた、「妻」、「子、孫(18歳到達年度の年度末を経過していない者または20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の者)」、「55歳以上の夫、父母、祖父母(支給開始は60歳から。ただし、夫は遺族基礎年金を受給中の場合に限り、遺族厚生年金も合わせて受給できます。)」です。

つまり、遺族年金の対象になる「子」というのは、18歳到達年度の年度末を経過していない者(ざっくり言えば高校生以下)か20歳未満の障害者である必要があるのです。

かつては、公務員等の共済年金制度においては、障害者の場合20歳以上であっても遺族年金の対象になっていた制度もあったのですが、平成27年(2015年)10月1日以降は被用者年金一元化によって、厚生年金の制度に統一されました。

親の年金を生活の基礎にしている成人の子(引きこもりや障害者などさまざまな理由はあると思いますが)は、親が亡くなっても、親の遺族年金をもらうことはできませんので、早めに経済的な自立方法を模索しておく必要があります。
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成年後見人が遺族年金請求を行う際の請求者の氏名の書き方

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社会保険労務士の徳本博方です。

今回は、成年後見人が遺族年金(遺族基礎年金や遺族厚生年金など)を本人さんに代わって請求する場合に、年金請求書の請求者欄の氏名をどのように書けばよいかを述べたいと思います。

具体的には、①請求者氏名は誰の名前を書くか、②押印は誰のものが必要かの2点について、本人(成年被後見人)さんを甲山A子さん、成年後見人さんを乙川B男さんとして考えていきます。
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まず、年金請求をする権利があるのは、当然A子さんです。

ただ、A子さんには判断能力がほとんどないので、その法定代理人として、成年後見人であるB男さんが手続きを行います。

なお、B男さんが成年後見人であることの証明は、法務局が発行する成年後見の登記事項証明書によって行います(この場合、A子さんからの委任状は不要です。A子さんはそもそも委任ができる状態ではないからこそ、成年後見人が選任されているのです)。

とすれば、A子さんに代わって成年後見人のB男さんが、①請求者氏名を「甲山A子」と記名し、②「甲山印」を押捺すれば足りるのではないかとも考えられます。

たしかに、社会保険労務士が一般の人(成年被後見人でない人)から依頼を受けて年金請求を行う際には、請求者欄には、本人の名前を記名押印したうえで、社会保険労務士欄に提出代行者(ないし事務代理者)として記名押印します。

それとパラレルに考えるなら、ここでも「甲山A子 + 甲山印」でいいようにも思えます。

しかし、社会保険労務士の行う提出代行や事務代理は、民法上の代理制度とは厳密には異なる制度ですので、これを法定代理の場合にそのまま当てはめるのは適切ではないでしょう。

そもそも、成年後見人が本人を代理して契約等を行う際には「甲山A子 成年後見人 乙川B男」と書き、「乙川印」を押捺するのが一般的です。

民法の代理の規定からすれば、代理人であることを示すことが原則だからです(これを顕名といいます)。

そうであれば、登記事項証明書で成年後見人であることを示したにもかかわらず、顕名をせずに本人「甲山A子」名義の文書を作成するというのは不自然なので(その効力は別として)、年金請求の場合にも①「甲山A子 成年後見人 乙川B男」と書き、②「乙川印」を押捺するのが正しいようにも思えます。

「甲山A子 + 甲山印」か、「甲山A子 成年後見人 乙川B男 + 乙川印」か悩むところです。

では、実務ではどうしているのでしょうか。

この場合には、①請求者欄の氏名欄には本人の氏名を「甲山A子」と書くが、②本人の押印は不要、さらに③欄外に「甲山A子 成年後見人 乙川B男」と書き「乙川印」を押すという扱いになっています。

実際には請求書の「性別」欄の横の欄外に多少余白があるので、そこに③の成年後見人の署名押印をすることになるでしょう。

この書き方は、請求書3ページの履歴欄に「職歴について、被保険者記録照会回答票の内容どおり相違ありません。」と添える場合の氏名や、7ページの生計維持証明の氏名欄を書く際にも同じように行います。

ちなみに、未支給年金の請求書でも同じなのですが、この書式には欄外の余白がほとんどないので、ちょっと困ります(しかたないので筆者は氏名欄に詰めて記載するようにしています)。

 

以上、成年後見人が遺族年金請求を行う際の、請求者の氏名の書き方について考えてみました。

成年後見人は、色々な場面で、本人に代わって手続きを行います。

しかし、氏名欄ひとつとっても、行政機関、金融機関、病院や介護施設など、それぞれで求められる書き方が異なります。

正直に言って、とても混乱しているのが現状のように思います(場合によっては、本人の印鑑を執拗に求められることもあります)。

本人欄に加えて、代理人欄が設けられている書式(本人押印不要)が理想的ですが、そうでないなら、せめて本人氏名欄の記載は「甲山A子 成年後見人 乙川B男 + 乙川印」として手続きが行えるように統一してもらえないものかと思うところです。

最後までお読みいただきありがとうございました。
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