投稿者「officekitauraneo」のアーカイブ

長財布がどうとか言う前に財布の中身を整理しましょうって話

「お金」の話をしていると、よく財布の話題になります。

「長財布を使えばお金持ちになれるらしい」とか「風水では~色が金運を上げる」とか、色々なうわさが飛び交っています。

お金に対して意識を向けることは悪いことではないので、よほど胡散臭い話でない限り、「なるほどな」って感じで聞いています。

ちなみに、個人的には、ビジネスシーンでは長財布(+小銭入れ)、プライベートでは二つ折りを使っていますが、分相応な価格帯のもので使いやすいものであれば、特に気にはしていません。

ただ、どうしても「これはちょっとダメでしょう」と思う財布があります。

それは、「ブタ財布」です。

一万円札でぱんぱんになっているのならうらやましいのですが、レシートやポイントカードにクーポン券、使わないキャッシュカードやクレジットカードなどが乱雑に入っていて、今にもはち切れそうな財布。

さすがにお金がかわいそうになってきます。

よく「お金はさみしがり屋で、お金のあるところに集まっていく」と言いますが、それと同じくらい「お金はきれい好き」であることを忘れてはいけません。

きたない「ブタ財布」からは、お金は逃げていきたくてしかたないことでしょう。

これは精神論ではありません。

本当にお金は逃げていきます。

なぜなら、「ブタ財布」というのは、持ち主のお金に対する管理能力のなさをストレートに表してるからです。

「ブタ財布」の人は、お金がいくら入っているのかすら把握していないので、出ていくときも無頓着。

いつの間にかお金が逃げて行って、気がつけば「あれ、お金が足りない」なんてことになります。

自分からお金に嫌われるようなことをしているのだから、それもしかたのないことですけど。

財布については、どんなものを使おうと自由ですが、どんなふうに使うのかはちゃんと意識した方がいいでしょう。

まずは、財布の中身を整理して、お金に気持ちよくいてもらえるように、できれば更にお金を呼んできてもらえるようにしたいものです。

 

 

給料から国民年金の保険料が引かれていないと心配になった人へ【新社会人】

社会保険労務士・オフィス北浦のブログサイトにようこそおいでくださいました。

前回は、新社会人さんの5月の給料から引かれていく社会保険料について、書きました(詳しくはこちらに)。

簡単に言えば、給料からは、厚生年金保険料や健康保険料が引かれ、手取り額が思った以上に低くなるので、それをふまえて家計管理をしましょうというお話でした。

このお話をすると、ときどきこんな質問を受けます。

「給料から国民年金の保険料が引かれていないけど、まさか別に払うのですか?」

この方は、学生時代からちゃんと国民年保険料を納めてこられた方なのでしょう。

そういう方だからこそ、気になるところだと思います。

というのも、令和7年度の国民年金保険料は1ヶ月あたり1万7510円です。

もしも、結構な厚生年金保険料が給料から引かれたうえに、さらに国民年金保険料を負担するとなれば、本当に気が滅入ってくることでしょう。

でも、ご安心ください。

結論からいえば、厚生年金保険料を払っている方は、更に国民年金保険料を払う必要はありません。

もう少し詳しく言うと、厚生年金に加入している方は、同時に国民年金にも加入しているのですが、第2号被保険者という立場になり、国民年金保険料を支払わなくてよいのです(将来の国民年金はちゃんともらえます)。

まれに、新社会人さんの元に国民年金保険料の納付書が届くことがありますが、これは事務手続上のタイムラグから生じるものですので、厚生年金に加入した後には国民年金の保険料は払う必要はありません(日本年金機構のHPをご参照ください)。

ざっくり言えば、厚生年金保険料の中に国民年金保険料に相当するものが含まれていると考えてもらえればいいでしょう。

そうすると、たとえば、20万円の給料から引かれる厚生年金保険料は1万8300円ですので、この中に国民年金保険料相当(約1万7500円)が含まれていると考えると、逆に厚生年金保険料は安いのではなんて感じもしてきます。

ただ、これには理由がありまして、それは、給料から引かれている厚生年金保険料とほぼ同じ額を、会社が負担してるのです。

つまり、給料から約1万8300円引かれている場合には、会社と合計で約3万6600円の厚生年金保険料を支払っているということになります。

「社会保険料は労使折半」なんてことを聞いたことがあるかもしれませんね。

そういう意味では、厚生年金は意外とお得な感じがしてくるかもしれません(保険料が安いかどうかは別問題ですが)。

今回の話をまとめると、

  • 厚生年金に入っている人は、国民年金の保険料は払わなくていい
  • 給料から引かれている厚生年金保険料と同じ分だけ会社も支払っている

ということです。

是非、この2点は覚えておいていただければと思います。
さいごまでお読みいただきありがとうございました。

<スポンサードリンク>

あわせて読んでいただきたい関連記事

給料から天引きされる社会保険料と天引きされない社会保険料についてまとめた記事があります。

そちらもあわせて読んでいただければ幸いです。

5月の給料「手取り額」をみて驚かないための心構え【新社会人】

4月に新社会人となった皆さま、毎日充実した日々を過ごされていると思います。

まだ慣れないこともあって、正直たいへんなことも多いことでしょう。

もしかしたら、「こんなことやりたくないなー」と折れそうになりながらも、「給料もらえるんだから、がんばろう!」と自分を奮起させている人もいるかもしれません。

たしかに、自分が社会人になったと実感できるのは、給料をもらったときだと思います。

「仕事をして、給料をもらって、そのお金で生活する」=「自立した社会人」って感じですよね。

給料の使い方も、稼いだ本人の自由です。

しかし、給料を無計画に使っていれば、生活費が足らなくなったり、貯金ができなかったりするので、計画的に家計管理を行うのも「自立した社会人」には必要なことです。

家計管理の方法については、ここでは詳しく触れませんが、家計管理の第一歩は収入と支出を把握することです。

つまり、毎月、いくら入って、いくら出ていくのかを(無理のない範囲で)予算化しておくことが必要です。

そして、ほとんどの方の場合、「収入=給料」でしょうから、まずは給料がいくら入ってくるのか把握しなければなりません。

「そんなのは、基本給が決まっているから、計算は簡単です」という方は、少し待ってください。

聞いたことはあると思いますが、給料からは色んなものが引かれていきます。

その代表的なものが、「社会保険料(厚生年金保険料、健康保険料)」です(その他にも「雇用保険料」や「所得税」などがあります)。

イメージがわかないなと思っている方のために、架空の計算をしてみましょう。

仮に、給料(社会保険では「標準報酬月額」といいます)が20万円の人の場合、厚生年金保険料は1万8300円、健康保険料(40歳未満)は1万0360円で、合計2万8660円の社会保険料が引かれます(この保険料率は令和7年3月分の山口県の協会けんぽ適用のものです)。

さらに、ここから雇用保険料や所得税等が引かれれば、控除額は3万円を超え、手取り額は、16万円代になることでしょう。

つまり、20万円入ってくる見込みで予算を組んでいたら、3万円以上足りなくなってしまうということです。

余裕をみて、手取り収入16万円で予算を組むべきです(ちなみに、社会人2年目からは、さらに住民税が引かれます)。

「20万円もらえると思ってたのに、手取り16万いくらって・・・どうやって生活するんだよ」

こんな悲痛な声が聞こえてきそうです。

この現実に、かなりの衝撃を受けるかもしれません(社会人経験者ならだれもが通る道なのです)。

そして、これらの控除額が反映された給料が支払われ、この衝撃が日本列島を駆け巡るのが5月になってからなのです。

税金や社会保険料は払わなければならないものであり、これらを払ってこその「自立した社会人」なのだと思って、現実を受け止めて、しっかり手取り額の範囲で家計の予算をたてていただければと思います。

 

ところで、4月に初めて給料をもらう方もいると思いますが、どうして5月からなのでしょうか(ここから先は家計管理の話からずれますが、ついでなので説明しておきます)。

それは、給料の計算方法が会社ごとに違うことと、社会保険料の控除は1ヶ月遅れで行われることが理由です。

まず、新入社員が4月に1ヶ月分の給料がまるまるもらえるケースは、月末締めの当月25日払など月末まで給与計算に含める場合です。

仮に、20日締め25日払いの会社の場合、4月にもらう給料は20日相当分になります(会社の規定で欠勤などがないなら全額もらえることもあります)。

ただ、社会保険料は原則翌月払いなので、4月に発生した社会保険料は5月に払うことになります(つまり、新社会人は入社前の3月には社会保険料は発生していないので、4月の給料からは引かれないということです)。

4月に給料をもらった方たちは、給料明細書には社会保険料が引かれていないので、「意外と引かれものは少ないな」なんて勘違いをしてしまう可能性もあります。

油断しないようにご注意ください。

また、会社によっては、月末締め翌月10日払なんてとこもあるので、5月にならないと給料をもらえないなんてとこもあります。

この場合、初任給である5月支払い分の給料から、がっつり社会保険料が控除されていきます。

いずれの場合でも、5月に支払われる給料というのが、社会保険料控除の洗礼を受ける初めての給料ということになるのです。

これは、社会人として避けて通れない道なのですが、知らずに給料明細書をみると、衝撃を受けることでしょう。

あらかじめ、衝撃に備える心構えをしておいてください。

 

 

社会に出るまでに勉強してほしい資格 FP3級のお勧め度

オフィス北浦のファイナンシャルプランナーの徳本です。

今日は、学生さんに「社会に出るまでに勉強してほしい資格」としてFP3級をお勧めしたいと思います。

FPが何を手前味噌なことを言うのかと冷笑されそうですが、いくつかの資格試験に挑戦している私が、本当にお勧めするのが、このFP3級なのですから、そこは堂々とお勧めしたいと思っています。

なお、ここでは特定の講座や教材などをお勧めするのではなく、あくまで資格の魅力についてお話しさせていただきます。

FP3級試験は、「ファイナンシャル・プランニング技能検定」3級のことで、金融財政事情研究会日本FP協会の2団体が行っています。

試験の概要など詳細は、各団体のホームページで確認してください。

私が、FP3級をお勧めする理由は3つあります

1  誰も教えてくれなかった「お金」の知識がぎっしり詰まっています

現代の社会で生きていくうえで、「お金」のことを無視して生きていくことは不可能です。

服を買うにも、食事をするにも、家を借りるにも、何をするにも「お金」です。

先日ある人が「息をするにもお金がかかる」と言っていたのには笑いました。

これはまさにその通りで、清潔な空気を確保するには空気清浄器やエアコンが必要ですし、そういった物理的な意味でなくとも、たとえば自動車ローンや住宅ローン、カードローンやキャッシングなど借入のある人の場合、寝息をたてている間にも「利息」というお金が発生しています。

そう、「お金」を抜きにして生きていくことはできないのです。

「お金」についての力は、生きる力そのものだと言っていいでしょう。

では、私たちは、「お金」についてどこでどんなことを習ってきたでしょうか。

数学や国語といった基本的な教養は学校で教えてくれます。

また、専門的なことであっても、自動車の運転なら教習所で教えてくれますし、外国語を習いたいなら語学スクールに行けばいいでしょう。

そういったことに比べて、「お金」について、どこでどんなことを習ってきたか、明確に言える人は少ないのではないでしょうか。

少なくとも私は、学生時代に「お金」のことをしっかり習った記憶がありません。

むしろ、まったく知識のないまま、社会に放り出された感じがします。

これは、泳げない人をいきなり海の真ん中に放り出して、溺れながら体で泳ぎ方を覚えろと言っているようなものです。

そのまま溺れても「それは自己責任だ」と、誰も責任をとってはくれません。

最近では、小中校でもお金について勉強したり、高校や大学でパーソナルファイナンス教育を導入しているところもありますが、時間的にも内容的にも、まだまだ十分とはいえないのが現状です。

そうだとすれば、「お金」のことは、当面は自分で意識して、自力で学んでいくしかないのです。

そこで、このFP3級の学習が役に立ちます。

FP3級試験の範囲はとても広範で、学科試験は「ライフプランニングと資金計画」「リスク管理」「金融資産運用」「タックスプランニング」「不動産」「相続・事業承継」の6つの分野から成ります(詳細は日本FP協会でご確認ください)。

こうやって見てみると、少しとっつきにくい感じがしますが、その内容は、まさに「お金」の基礎知識であり、私たちの生活に密着したものがたくさんあります。

たとえば、「ライフプランニングと資金計画」では、社会保険制度(年金や公的医療保険など)やローン(利息や返済の仕方)を学べますし、「タックスプランニング」では所得税の各種控除、「リスク管理」では生命保険や損害保険について基本的な知識が詰まっているのです。

私自身、最初にこれらを学んだときは、それまで何となくでしかわかっていなかったことがどんどんクリアになっていき、まさに「目からうろこ」体験をしたことを覚えています。

逆に言えば、こんなことさえ知らずによく今までやってこられたなと我ながら驚いたものです(知らずに損していたことも多かったのでしょうが)。

そして、こういった「お金」の知識を社会に出る前に学べていたら、もう少しいい人生が待っていたかもしれないなとも思っています。

2  何がわからないのかがわかるようになります

もちろん、FP3級は入門的な位置づけですので、これさえやっておけば「お金」の専門家になれるかといえば、そうではありません。

そもそもFPの役割は、その方のライフプラン(人生で叶えたい夢など)を「お金」の面からどうやって支えるかを計画するのが仕事なので、仮にその過程で問題点が発見されれば、弁護士や税理士といった専門家に適切に繋いでいくことも大切な仕事のひとつです。

FPといえば、保険の見直しやローンの借り換えなどの相談をしているイメージが大きいかと思いますが、実はその相談の過程で、色々な困りごとが発見されることがあります。

その際に、これはFPが解決できること、これは他の専門家の力が必要なことといった見極め力が必要になります。

これは弁護士さんに相談しようとか、これは税理士さんだなとか、この部分だけは社労士さんに聞いてみようとか、そういうことを判断しなければならないのです。

これは、「自分が何がわからないのかがわかる力」が身に着くということに他なりません。

問題の解決能力ではなく、問題の抽出能力に長けてくると言ってもいいかもしれません。

これは複雑な現代社会を生きていくうえで、とても役に立つ力だと思います。

自分が何がわからないのかがわからなければ、適切に専門家に助けを求めることもできないのです。

3  国家検定ですが、合格率が比較的高い試験です

FP3級の技能検定は国家検定です。

技能検定とは、働くうえで身につける、または必要とされる技能の習得レベルを評価する国家検定制度で、全部で128職種の試験があります。

試験に合格すると合格証書が交付され、「技能士」を名乗ることができます。

ですので、履歴書の資格欄に書くこともできます。

もちろん、FP3級をとったからといって、就職に特に有利に働くとか、すぐに独立開業ができるかといえば、そうではないと思います。

ただ、国家検定である以上、一定の質が保たれた資格であることは間違いありません。

しかも、その合格率は、たとえば平成29年1月実施の日本FP協会のFP3級試験では、学科試験が約67%、実技試験が約85%となっており、比較的高い水準であることがわかります。

言ってしまえば、かなりコスパの良い試験なのです。

また、一般的に入手しやすいテキストや教材も充実しており、試験も年に3回実施されることから、そういった意味でも取得しやすい資格と言えるでしょう。

 

以上、学生さんにむけて、「社会に出るまでに勉強してほしい資格」としてFP3級をお勧めしてきました。

繰り返しになりますが、「お金」についての力は、生きる力そのものだと思っています。

社会に出てから「いいカモ」にされないためにも、学生のうちに、できるだけ「お金」についての力を養ってほしいと願っています。

こんなはずでは・・・と後悔する前に、知っておきたい成年後見制度の注意点

平成29年3月、最高裁判所事務総局家庭局から「成年後見関係事件の概況(平成28年1月~12月)」がリリースされました(以下「成年後見の概況」といいます)。

成年後見の概況によれば、平成28年の申立件数は3万4249件で、前年比微減ながらも3万4000件を超える申立件数が続いています。

そして、その申立人についてみてみると、本人及び配偶者や子などの親族が行った申立が全体のおよそ8割を占めています。

つまり、申立の多くが本人や親族によって行われているということです(これに対して、市区町村長申立は、全体の約19%です)。

本人や親族が必要性を感じて成年後見制度を利用しているということなのでしょう。

ただ、その一方で、実際に申し立てを行ったものの、成年後見人等が選任された後に、申立を行った本人や親族から「こんな制度だとは思っていなかった」とか「こんなことなら申立をしなければよかった」など、現場でご不満の声を聞くことがないわけではありません。

お話を聞くと、説明不足や誤解があったために、申立の際にしっかり制度が理解されていなかったことが原因であるように思います。

そのような後悔をする前に、成年後見制度の注意点をいくつか紹介したいと思います。
<スポンサーリンク>



1  必ずしも親族が成年後見人等に選任されるとは限りません

申立の際に、成年後見人等の候補者を挙げることがあります。

たとえば、判断能力が不十分なお父さまのために、長男さんが申立をして、長男さん自ら成年後見人の候補者になるような場合です。

しかし、このように候補者を挙げたからといって、必ずしも、それが叶うとは限りません。

あくまでも、成年後見人等を選任するのは家庭裁判所であり、家庭裁判所は申立人の挙げた候補者には拘束されないのです。

自分が成年後見人になってお父さんのために活動しようと思って申し立ててみたものの、まったく知らない第三者(弁護士や司法書士など)が成年後見人に選任されてしまったという事例もありうるのです。

成年後見の概況によれば、平成28年に選任された成年後見人等のうち、親族が選任されたものは約28%であり、残りの約72%が親族以外の第三者から選任されています(もちろん、ここには、当初から第三者が候補者になっているケースやそもそも候補者が挙がっていないケースも含まれますので、すべてが申立人の意に反した第三者後見人の選任ではありませんが)。

「自分が後見人になるつもりだったのに、ぜんぜん知らない人が後見人になってしまった」とならないためにも、そういう不確実性があることを予め理解しておくべきだと思います。

2  成年後見人には報酬が発生します

第三者が成年後見人等に選任された場合に、問題となることのひとつは、成年後見人等には報酬が発生するということです。

成年後見人等の報酬は、第三者だけでなく、親族が選任された場合にも発生します。

成年後見人等として時間と労力を使って職務を行う以上、すべてがボランティアというわけにはいかないのは当然のことでしょう。

しかし、親族が成年後見人等になろうとする場合、報酬はなくても構わないと考えている方が少なからずいらっしゃいます。

そのような方の場合、自分が成年後見人等になれば無報酬で職務を行うことが前提となっているため、第三者の成年後見人等が選任された場合に、報酬が発生することを想定していないことがあるのです。

仮に、成年後見人等の1ヶ月の報酬を2万円とすると、1年で24万円、4年で96万円となります。

「大切な親の財産が、成年後見人等の報酬に充てられてしまった」とならないように、成年後見人等には報酬が発生するという原則を再度確認してください。

3  成年後見監督人が選任される場合があります

では、家庭裁判所が親族を成年後見人として選任した場合に、その親族が報酬はいらないと言ったら、人件費に相当する費用はかからないのでしょうか。

残念ながら、そうとも限らないのです。

なぜなら、その場合であっても、家庭裁判所が成年後見監督人を併せて選任することがあるからです。

成年後見監督人とは、家庭裁判所による成年後見人の監督を補う機関で、実際には、成年後見人はこの成年後見監督人よって監督されます(成年後見監督人は弁護士や司法書士といった法律の専門職が選任されることが多いです)。

たしかに、家庭裁判所と成年後見監督人の二重のチェックを受けることになり、不正防止には有用なのですが、こちらももちろん無償というわけにはいきません。

成年後見監督人の報酬が発生することになります(最低でも1ヶ月1~2万円程度の報酬は必要になるでしょう)。

「自分は後見人を無償でやっているのに、予想していなかった監督人の報酬が必要になった」とならないように、成年後見監督人の選任可能性についても、よく検討してください。

4  成年後見制度の利用を自由にやめることはできません

お金もかかるし、こんなことなら成年後見制度の利用をやめたいと思うこともあるかもしれません。

しかし、いったん成年後見人等が選任された後は、原則として、本人さんが判断能力を完全に回復されるか、お亡くなりになるまでは、成年後見制度の利用をやめることはできません(なお、成年後見人等の選任前でも、いったん申立を行った場合、理由なく申立を取り下げることも原則できません)。

現実問題として、本人さんが判断能力を完全に回復されることは稀なケースなので、成年後見制度は本人さんがお亡くなりになるまで継続すると考えておいた方がよいでしょう(成年後見から保佐や補助に変わる可能性はありますが)。

成年後見の概況によれば、主な申立の動機の1位が「預貯金等の管理・解約」です。

その他にも、財産上の動機として「保険金受取」、「不動産の処分」、「相続手続」といったものがあります。

たとえば、病気や事故で判断能力のなくなった親の預金を解約しようとしたところ、銀行から「成年後見人でないと解約はできません」と言われて、しかたなく成年後見人の申立を行うといった場合です。

そのような場合、成年後見人が選任され、当初の目的の預金の解約ができたとしても、それで成年後見制度の利用をやめるというわけにはいかないのです。

「預金を解約したいだけだったのに、ずっと成年後見人をやらないといけない」とならないように、成年後見制度は原則「一生もの」であることを理解したうえで申立を行ってください。

5  成年後見人だからといって自由に財産を使えるわけではありません

これは当り前のことなのですが、成年後見人だからといって、本人さんの財産を自由に使えるわけではありません(ましてや不正使用や私的流用は絶対に許されることではなく、刑事罰の対象になる可能性もあります)。

あくまで、本人さんの財産は本人さんのために使わなければなりません。

家庭裁判所の運用にもよりますが、概ね10万円を超えるような買物などは、予め家庭裁判所と協議した方がよいでしょう。

では、本人さんのために使うのなら、どんな場合でも使用可能なのでしょうか。

それもそうとは言い切れず、「本人のため」かどうかは慎重に判断される傾向にあるようです。

これまでに私が聞いたことのある事例では、施設に入っている本人さんが外出する際の送迎用に、親族後見人が本人さん名義で自動車を買おうとして、家庭裁判所が待ったをかけたケースがありました。

本人さんの送迎に使うとはいっても、実際には親族後見人が使用するのだから、親族後見人が自分の買い物などに使う可能性もあり、必ずしも本人のためだけに使うわけではないということなのでしょう。

その他にも、本人さんの判断能力が十分にあったなら、きっと喜んで支出していたであろう、孫の進学費用だとか結婚資金だとか、そういった支出も、後見人の判断で自由に出せるものではありません。

これらは、結局のところ、常識の範囲内かどうかの判断なのでしょうが、家庭裁判所の常識と一般人の常識が必ずしも一致しないということも多々見てきました。

「本人のためと思ってお金を使おうとしても、家庭裁判所が許してくれない」とならないように、お金の使い道は思った以上に厳格に監督されると覚悟しておいた方がよいでしょう。

 
<スポンサーリンク>




 

以上、「こんなはずでは・・・と後悔する前に、知っておきたい成年後見制度の注意点」として考えられる主な5項目を挙げてきました。

私は、成年後見制度が完璧な制度だとは思っていません。

むしろ、まだまだ使い勝手の悪いところが多い制度だと思っています。

しかし、その使い勝手の悪さを現場で活動する皆さんが、汗をかきながら工夫していることもよく知っています(家庭裁判所の職員さんも含めて)。

だからこそ、成年後見制度を利用する場合には、良い面だけをごり押しするのではなく、実際のところを知っておいていただきたいと思っています。

説明不足によるトラブル、誤解によるトラブルで、どなたも後悔することのないようにしてほしいと願っています。
<スポンサーリンク>



自分より年金を多くもらっている人が臨時福祉給付金をもらえる理由

平成29年4月、各自治体では、「臨時福祉給付金(経済対策分)」の申請受付が始まっています。

期限のあることですので、詳細は各自治体に確認のうえ、申請忘れのないようにしてほしいところですが、最近、ある年金受給者の方から、臨時福祉給付金について次のようなことを聞かれました。

「私は臨時福祉給付金をもらえません。でも、近所の人は私より年金をもらっているのに、臨時福祉給付金がもらえるそうです。なんででしょうか?」というものです(以下、質問された方をAさん、「近所の人」をBさんとします)。

そんなことがあるのかなと思って、少し詳しく事情を聞くと、段々と理由が浮かんできました。

多分、理由として考えられるのは、もらっている年金の種類です。

Aさんは老齢(厚生)年金、Bさんは遺族(厚生)年金のようなのです。

臨時福祉給付金をもらうには、色々な要件がありますが、今回の場合、原則として「平成28年度分の住民税が課税されていない方」が対象です。

そして、意外と知られていないのですが、「遺族年金は非課税」だということです。

つまり、Bさんは、年金はもらっているが、それが遺族年金で非課税なので、臨時福祉給付金の対象になっているのではないかと思われるのです。

これに対してAさんの老齢年金は、課税されます。

ただ、老齢年金でも住民税が非課税となる場合があります。

たとえば、私の住む地域(萩市)の場合、控除対象配偶者などがいない方なら、合計所得金額が28万円以下の方が非課税となります(均等割)。

65歳以上のAさんの場合、年金収入から公的年金等控除120万円を引いた所得金額が28万円以下になれば非課税になるというわけです(逆にいえば老齢年金が148万円を超えると課税対象)。

ちなみに、これを非課税限度額といいますが、この非課税限度額は自治体により異なるので、注意が必要です。

話を聞くと、Aさんの年金の所得金額は、非課税限度額を若干超えているようでした。

Aさんには、「Bさんから話を聞くわけにもいかないので、あくまで推論ですが」と前置きをしたうえで、一般論として、遺族年金の非課税性と住民税の非課税限度額の説明をしました。

Aさんは「比べるものではないとはわかっていますが、私より年金額が多いと言っていたBさんが、さらに臨時福祉給付金までもらえるというのは、やっぱりどこかひっかかりますね」と複雑な表情をしておられました。

遺族年金が非課税であるのはそれなりの理由があることなので、ここでそれを批判するつもりはありません(課題のひとつだとは思っていますが)。

また、臨時福祉給付金は、収入の低い方にとって、本当にありがたい制度だと思っています。

ただ、臨時福祉給付金をもらえない人(とくに収入がギリギリ超えてしまってもらえない人)からすれば、「はいそうですか」と簡単に納得のできる話でもないんだろうなとも思っています。

 

それでも社労士試験受験生を応援したい

平成29年度(第49回)社労士試験を受験しようと準備している方には、本試験のプレッシャーがかかってくる季節となりました。

ここ2年の合格率が低いことや、科目ごとに設定された合格基準点(足きりライン)や免除制度といった試験制度自体への不満、言いたいことは山ほどあると思います。

「社労士試験なんて、合格してもたいして役に立たないくせに、試験範囲や暗記量が大きすぎて、コスパが悪すぎる!」・・・ごもっともな意見です。

正直、もう受けるのやめようかなって迷っている人もいるかもしれません。

ちょうど、去年のこの時期の私がそうでした。

私は平成25年度試験から受験を開始したのですが、初回はほぼ無勉状態だったので、あえなく撃沈。

翌26年度は、自分なりに頑張ってみたものの、選択労一で1点足らず(他は9割程度取れていたのですが)。

平成27年度も、またもや選択労一1点足らずで、まさに労一の呪いにかかっていました。

さすがに2年連続でこれが続くと、本当に精神的にきつかったです。

「クソみたいな問題作りやがって」と試験に八つ当たりしたこともあります。

たしかに、合格した今でも、この試験制度はヘンだと思っています。

試験にかけた労力に比例して合格できないというか、択一で8割キープできる力がついたあとは、どんなに労力をかけても合格確率が上がらないってのが正直な感想です。

ただ、それでも合格される方はいるわけで、運だけではない何かが自分に足りなかったのだと思っています。

私は独習でしたが、予備校の模試だけは通信でとっていましたので、テキスト、過去問、選択式の問題集、模試の復習を徹底することが私の受験スタイルでした(平成26年からやっていました)。

その結果、択一式で8割程度はキープできるようになっていました。

それでも、1科目でも選択式の地雷を踏めば一巻の終わりです。

何が足りないのだろうか。

私は、冷静に検証してみました。

その結果、白書や統計、改正法の準備が不足しているのではないかと気づきました。

これらに関しては、独習では、なかなか満足に対応できないことを、素直に認めようと思ったのです。

そこで、平成28年度、この年に初めて、白書と改正法に関する予備校の講座を通信で受講しました。

スクール生にとってはそんなの常識だと言われるかもしれませんが、独習だった私にはその必要性や優先順位がいまひとつ理解できていませんでした。

自分の受験スタイルにこだわって、独りよがりになっていたのかもしれません。

結果として、それが功を奏したのかどうかわかりませんが、この年、ようやく合格することができました。

同じ年の試験で、選択雇用保険や厚生年金で悔しい思いをした方が少なからずいらっしゃることを知っています。

心が折れそうになりますよね。

試験を受け続けるのも、ここで諦めるのも、決めるのは自分自身です。

「まだできることがあるかもしれない」・・・闇雲に新しいことに手を出すのがいいとは思いませんが、独善的になり過ぎて、何かやるべきことをやってないのではないかと検証してみる価値はあると思います。

やり残してることはないですか?

何かにこだわりすぎて、独りよがりになっていませんか?

いろいろ迷って当然です。

報われない試験制度にやりきれない気持ちになるのも当然です。

それでもここで闘うと決めた人に、私は最大限のエールを送ります!

祥福舎成功祈願に参りました

2017年3月25日(土)に祥福舎は活動を開始しました。

早くも1週間が経過しましたが、その翌日の26日(日)、山口県萩市吉部の雲林寺さんに、メンバーと一緒に、祥福舎の成功祈願のお参りに行ってきました。

雲林寺さんは、猫寺として全国的に有名なお寺で、境内にはたくさんの猫にまつわる縁の品が祀ってあり、猫好きにはまさに聖地のような場所です。

祥福舎には大量の招き猫さんたちが名誉会員としているのですが、その中から代表して小さい黒猫さんも一緒にお参りしてきましたよ。

この黒猫さんは、大阪のお友達にお譲りしたので、現在は祥福舎にはいませんが、きっと大阪で福を招いていることでしょう。

私たち祥福舎の理念は、幸福を独り占めしないことです。

この気持ちを忘れないように、これからも日々精進して参ります。