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事前知識0、実務経験0スタートの人が独学で社労士試験に合格できるのか?

事前知識0、実務経験0から独学で社労士試験に合格した社労士の話

オフィス北浦のブログサイトにようこそおいでくださいました。

今回は、労働法や社会保険の事前知識0、実務経験0の人が、予備校などの通学や通信の講座を受けずに、独学で社労士試験に合格できるのかというお話です。

現時点では労働法や社会保険の事前知識もないし実務経験もないけど、独学で勉強して社労士試験を受けてみようか迷ってる人や、独学で受験勉強をしても合格できないのではないかと不安に思っている人に読んでいただければ嬉しいです。

2016年の社労士試験合格者の筆者が、そんな人たちを応援したいと思って書いた記事です。

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独学で社労士試験は合格できるの?

結論から言いますが、独学でも社労士試験に合格できます。

しかも、事前知識0、実務経験0スタートの人であってもです。

これは断言できます。

なぜならば、他ならぬ筆者がそうだったからです。

筆者は法律事務所のパラリーガル(弁護士のアシスタント)として働きながら、社労士試験の勉強をしました。

受験勉強を始めたころの筆者は、労働法や社会保険の知識は皆無(お恥ずかしい話ですが、国民年金と厚生年金の違いもよくわかっていませんでした)、もちろん実務経験もありませんでした。

そんな状態でどうして社労士試験を受けようと思ったのかは、長くなるので省略しますが、要は仕事のうえで必要性を感じたのと他のパラリーガルとの差別化を図りたかったからです。

2013年から本格的に受験勉強を始めました。

結果は、2014年、2015年と不合格で、2016年に合格しました。

「なーんだそんなにかかってるのか・・・」と思われた人もいるでしょう。

悔しいですが、2014年も2015年も選択式で基準点に満たない科目があって足切り不合格になってしまったのです。

なので「半年の勉強で一発合格できました!」って華々しい話は期待しないでください。

それが実力だったとは思いますが、今思えば、もう少し効率的な戦い方もあったように思っています。

そういった反省点も含めて、事前知識0、実務経験0スタートの人が独学で社労士試験に合格する方法をお伝えしたいと思います。

 

択一式試験は基本書と過去問で十分戦える

社労士試験は、択一式試験と選択式試験に分かれています(試験の詳細は、社会保険労務士試験オフィシャルサイトをご覧ください)。

そのうち択一式試験に関しては、各予備校が出している受験用の基本書と過去問集を回すことで、十分に合格点に達することが可能です。

実際に筆者も1年目から、基本書と過去問集だけで、択一式試験の合格点に達しています。

1年目は、基本書1周通読後、基本書読み込み2周と過去問集3周だったと思います。

それ以降は、改正ポイントを中心に基本書読み込み+過去問3周を毎年やっていました。

これでも結構時間はかかりますが、やったのはこれだけです。

基本書などは、LEC東京リーガルマインドの「出る順」シリーズを使っていました(そのあたりのことは、「現役社会保険労務士が受験用基本書を買う理由」で詳しく述べているので、興味があればご参考までにお読みください)。

他の予備校のものを使ったことがないので比較はできないのですが、多分、基本書はどこのものを使っても独学での合否に大きな影響はないのではないかと思っています。

相性はあると思いますので、ご自身の選んだものを信じて読み込んでいくことが択一式試験対策になると思っています。

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選択式試験には工夫が必要

これに対して、選択式試験に関しては、正直言って、基本書+過去問だけでは、少し物足りないのではないかと思っています。

ここが筆者の反省点でもあります。

筆者は、2014年、2015年と2年連続で選択式試験の足切りをくらっています。

労一でやられました。

選択式労一は、基準点が2点に落ちることが少ない科目です(相対的に1点以下の人が少なく、基準点が2点に下がらない傾向があります)。

いかにして労一で3点をとるか。

これが筆者の2016年の課題でした(ちなみに2016年には基準点が2点に下がりましたが)。

筆者が実践した選択式対策は次の3つです。

  • 模擬試験を徹底的に復習する
  • 白書・統計対策用の受験雑誌を購入する
  • 厚生労働白書と労働経済白書はお守りとして手元においておく

これらの3点についてご説明していきましょう。

 

模擬試験を徹底的に復習する

模擬試験は、各予備校が総力を挙げて作成している情報の塊です。

徹底的に復習して分析してください。

解説のページ、発展のページ、予想問題のページなど、余すことなく徹底的に読み込むべきです。

不合格の年には、これが足りなかった。

点数など二の次でいいのです。

模擬試験は通信でかまいません(情報を得るのが一番の目的ですから)。

値段も1回数千円程度でそこまで経済的な負担にはならないのもありがたいところです。

模擬試験は必ず活用されることをおすすめします。

 

白書・統計対策用の受験雑誌を購入する

受験雑誌に関しては、筆者は白書・統計対策号だけ購入していました。

基本書での独学では、どうしても白書・統計対策といった最新の情報に後れを取ることは否定できません。

受験雑誌の白書・統計対策号は、情報が要点を絞ってまとまっていて、とても便利です。

模擬試験で出題された白書・統計問題の復習と合わせて活用することで、白書・統計対策は、択一式も選択式も十分合格点をねらえると思います。

こちらはお値段も1000円前後でリーズナブルですので、情報を購入するという意味で、ペイする投資だと思います。

ちなみに、受験勉強のペースとして毎号購入してもいいと思いますが、筆者はそこまではしていませんでした。

 

厚生労働白書と労働経済白書はお守りとして手元においておく

白書・統計対策として、厚生労働白書と労働経済白書の取扱いは正直迷うところです。

これを両方買うと5000円を超えてしまいます。

ただ、手元にないと不安になるのも確かなんですよね。

厚生労働省のホームページでダウンロードしちゃいましょう。

お守りみたいなものです。

使い方としては、これを読み込むのはよほど時間に余裕がないと難しいと思うので、模擬試験の復習の際に、出題された範囲にざっと目を通す感じでいいのではないかと思っています(紙に印刷せずにPDFのままで十分です)。

 

労務管理を具体的にイメージする参考書

社労士試験対策としては、以上お話してきたとおりです。

合格を十分にねらえると思います。

ただ、事前知識0、実務経験0の筆者が、労務管理を具体的にイメージするために参考にした本があるので、さいごにご紹介しておきましょう。

それは、「新しい人事労務管理」(有斐閣アルマ)です。

コンパクトにまとまっているわりには、内容が充実しているので、労務管理を具体的にイメージするにはぴったりの参考書だと思います。

お値段が2000円以上するのでお財布と相談なのですが、筆者はこの本に選択式労一で助けられました。

福利厚生費の実務的な問題が出題された際に、この本のおかげで2点ゲットできました。

実際のところ実務経験がないと、給与計算などの感覚はつかみにくいのは確かです。

そういう意味で、労務管理を具体的にイメージできる本は役に立つと思っています。

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まずは行動に移そう

いろいろ悩んでいても物事はスタートしません。

この記事をここまで読んでいただいたということは、一歩を踏み出そうと気持ちが高まっているはずです。

その勢いで、まず行動に移してみましょう。

  • 2020年度試験の資料を請求してみる(社会保険労務士試験オフィシャルサイトに詳細があります。基本は返信用封筒に切手を貼って送付するだけです)
  • 基本書を手に取ってみる(書店でもネットでも)
  • 各種予備校のサイトをチェックしてみる

なんでもかまいません。

資格試験は、自分から動いた人ほど合格に近づいていくのです。

 

さいごに

今回は「事前知識0、実務経験0スタートの人が独学で社労士試験に合格できるのか?」というテーマでお話してきました。

答えはイエスです。

筆者の失敗体験もふまえて、できるだけ短期間に合格できるようにお話したつもりです。

資格試験に独学で挑戦するというのは、時間とお金をいかに効率的に使って合格に辿り着けるかを競う知的なゲームだと思っています。

時間とお金を有効に使って、独学で合格をつかみとってください!

この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

あわせて読んでいただきたい記事

現役社会保険労務士が受験用基本書を買う理由

前後の記事

前の記事:これでわかる! 休業手当が月給の6割にならない謎を解く

後の記事:給料から天引きされる社会保険料・天引きされない社会保険料
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第50回社会保険労務士試験の試験問題の公開を受けて思ったこと(選択式感想)

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2018年8月26日第50回(平成30年度)社会保険労務士試験が行われました。

受験された皆さま、本当にお疲れさまでした。

筆者は、毎年試験問題が公開されると、一応自分でも解いてみることにしています。

今回は選択式についてその感想を簡単にのべたいと思います。

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選択式の全体的な感想

率直な感想として、いわゆる難問奇問という出題はそこまで見当たらなかったように思います。

しっかり準備してきた受験生であれば、満足のいく結果が得られたのではないでしょうか。

労一に関しても、比較的素直な出題だったと思います(ここ数年がちょっとひねり過ぎていたところもありますが)。

ケアレスミスがなければ、「1点足らずに泣く」(妖怪イチタリナイ)といったことは例年に比べて少ないのではないかと思っています。

ただ、安全衛生はいつもの感じで少し細かいかなと思いましたし、健康保険はちょっと考えてしまうところもありました。

選択式の合格ラインが上昇した場合、こういったところでいかに点数を上積みできるかが勝負を決するかもしれません。

いずれにしても、今回の選択式は、全体として、運の要素に左右されることなく、ちゃんと勉強してきた人がちゃんと点の取れる内容だったのではないかと思います。

選択式の各科目ごとの感想

労基安衛

  • ぱっと見た感じ、3点はいけそう
  • Aは30日か1ヶ月かで迷ったけど、受験生なら正確に覚えているはず
  • DEの安全衛生は、ちょっと細かい。この2問とれたらうれしい

労災保険

  • また特別加入ですか。しかも全問(受験生なら特別加入を外していることはないとは思うけど、まだ出ないだろうとか高を括って、後回しにしていた人は驚いたかもしれない)
  • 選択肢が4択になってて難問揃いかと一瞬びびったけど、そうでもない
  • D(林業)は迷ってしまったが、他はいけそう

雇用保険

  • 今年は数字問題ですね
  • 粛々と解いていくだけ
  • 5点満点もいけそう

労務一般

  • そこまで奇をてらった問題ではない(久しぶりに心が折れない)
  • 選択肢もそこまで細かくない(「100人」と「101人」とか出てなくてよかった)
  • E(生産年齢人口)だけは嵌めにきてる感じは否めない(労働力人口の定義をしっかり覚えているかってことなのかな)。まあ1問だけなら致命傷にはならない

社保一般

  • 確定給付年金からの3問(C~D)は、マイナー論点ではないので合格を目指す受験生なら正確に覚えておきたいところ(細かい知識を忘れていた筆者は迷ったけど)。
  • Aはちょい迷う(今年が3年おきの保険料改定の年だったことも関係してるのかな)
  • Bは落ち着いて計算(足し算)すればいけるはず

健康保険

  • 出ました条文穴埋め問題。3問(A~C)あるし、ちょっとパニック入るかもしれない。ただ、目的等の条文問題は準備していないことが言い訳にはならない
  • 選択肢も結構バラバラに配置してあって、追い込んできてる感じがする
  • 後半2問(DE)で落ち着きたいけど、「以前」「以後」「前」「後」でたたみかけてくる

厚生年金

  • 健康保険のあとだと、選択肢がまとまっているだけで、ありがたく感じる
  • ADは翌日起算かどうかで迷わされるけど、落ち着けばいけるでしょう(健康保険で心を乱された人は引きずらないようにしないといけない)
  • 3点とれないってことはない

国民年金

  • DEは絶対死守
  • ACもそれほど難しくはないので、3点は守れそう
  • 個人番号の取扱いをチェックしていなければ、Bは迷うかも

とにかくお疲れさまでした

何はともあれ、真夏の暑い時期に、午前と午後にかけて臨む試験が終わりました。

満足のいく結果の人も、そうでなかった人も、本当にお疲れさまでした。

今は少し落ち着いて、11月の合格発表を待ちましょう。

皆さまの合格を心よりお祈り申し上げます。

最後までお読みいただきありがとうございました。

健康保険の境界層該当者って何?【社労士試験受験生】

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社会保険労務士の徳本博方です。

本年度(平成30年度)の社会保険労務士試験を受ける皆さまは、追い込みの暑い夏を闘っておられることと思います。

最近の社会保険労務士試験の傾向として、いわゆる過去問からの再出題確率が低下し、法改正の出題確率が上がっていると言われています。

今年は比較的大きな法改正が多くないと言われていますが、そうであっても、法改正の対策はしっかりやらないといけないことに変わりはありません。

今日は、本年度の試験の出題対象である法改正について、健康保険法で気になったところを述べたいと思います。

出題予想ではありませんが、ご参考になれば幸いです。
 

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筆者が健康保険法の改正で気になったのは、入院時生活療養費に係る生活療養標準負担額の改正において、その減額対象者の区分に「境界層該当者」が加わったことです。

境界層該当者とは、健康保険法規則62条の3(生活療養標準負担額の減額の対象者)6号に「被保険者又はその被扶養者が療養のあった月において要保護者(生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第六条第二項に規定する要保護者をいう。)である者であって、第三号及び前号の規定の適用を受ける者として生活療養標準負担額について減額があれば生活保護法の規定による保護を要しなくなるもの」と規定されています。

少しわかりにくいので、要約すれば、境界層該当者とは「(生活療養標準負担額の)食費が1食100円、居住費が1日0円に減額されたとすれば、生活保護法の規定による保護を必要としない状態となる者」のことです(具体的な金額については、あとで述べます)。

健康保険法でありながら、生活保護法との関係で境界層該当者になるかならないかが決まるということです。

ちなみに、保険者がどうやって境界層該当者であるかを判断するかというと、福祉事務所長の「限度額適用・標準負担額減額認定該当(境)」と記載された保護申請却下通知書もしくは保護廃止決定通知書などによって行うこととされています。

 

また、今回の改正では、生活療養標準負担額に係る食費及び居住費の引き上げが行われています(平成29年6月30日厚生労働省告示239号)。

具体的には、居住費(1日)に関しては、

  • 「入院医療の必要性の高い患者、指定難病の患者」以外の者:320円から370円に引き上げ(境界層該当者区分(0円)以外の区分では、すべて370円)
  • 「入院医療の必要性の高い患者」:0円から370円に引き上げ(境界層該当者区分(0円)以外の区分では、すべて370円)
  • 「指定難病の患者」:0円に据え置き
  • 「境界層該当者」(入院医療の必要性の高低、指定難病の有無にかかわらず):0円

となりました(居住費に関しては、指定難病の患者及び境界層該当者が0円で、それ以外は370円ということです)。

また、食費(1食)に関しては、「入院医療の必要性の高い患者」の一般所得者区分において改正があり、「入院医療の必要性の高い患者、指定難病の患者」以外の者の一般所得者区分と同じになりました。

すなわち、

  • 「入院医療の必要性の高い患者」の一般所得者で「生活療養Ⅰ」(食事の提供が管理栄養士または栄養士による適切な栄養量及び適時・適温の食事提供が行われている等の基準を満たす場合):360円から460円に引き上げ
  • 「入院医療の必要性の高い患者」の一般所得者で「生活療養Ⅱ」:360円から420円に引き上げ

となりました(指定難病患者以外の一般所得者は、入院医療の必要性の高低にかかわらず、「生活療養Ⅰ」が460円、「生活療養Ⅱ」が420円ということです。ちなみに指定難病患者の一般所得者は260円です)。

なお、70歳未満の「低所得者」及び70歳以上の「低所得者Ⅱ」の食費(1食)は、指定難病患者も含めて210円です(長期入院該当の場合は160円)。

また、70歳以上の「低所得者Ⅰ」の食費(1食)は、「入院医療の必要性の高い患者」及び「指定難病の患者」が100円、それ以外の者が130円です。

そして、繰り返しになりますが、入院医療の必要性の高低や指定難病の有無にかかわらず、境界層該当者の食費(1食)は100円です。

 

ところで、金額だけみると、たとえば、入院医療の必要性の高い患者(一般所得者も低所得者も)の居住費は改正前は0円(正確にはH29.10から200円)だったものが、H30.4からは370円になったのですが、一見すると370円程度ならそれほど負担にはならないのではないかと思う人もいるかもしれません。

しかし、これは1日の金額です。

入院時生活療養費の対象者は長期入院されている人も多いので、この引き上げは、

1ヶ月(30日)なら、370円×30日=1万1100円

1年(365日)なら、370円×365日=13万5050円

となり、特に低所得者には無視できない金額であることがおわかりになると思います。

場合によっては、この負担が増えることで、生活保護が必要になる人も出るかもしれません。

そこで、境界層該当者という区分を設けて、その防止を図ってるということでしょう。

 

また、これに関連して、もう一つ、健康保険法の改正を紹介すると、入院時食事療養費に係る食事療養標準負担額が、一般所得者区分で、1食360円から460円に引き上げられました(社労士試験の受験生の皆さまであれば、入院時食事療養費と入院時生活療養費の違いの説明は不要と思いますので、ここでは触れません)。

こちらも、一見するとたった100円の引き上げと考えがちですが、食事は原則1日3食あります。

つまり、仮に30日入院したとすれば、

1食100円×3食×30日=9000円

の引き上げということです。

長期に入院する場合には、この負担はじわじわ効いてきます。

筆者の担当する成年被後見人さんの中には、この負担増加により家計収支が赤字になった人もいらっしゃいます。

家計収支が赤字になるということは、赤字分は預貯金を切り崩して対応せざるを得ないということです。

負担の公平な分担が必要だということは理解できるのですが、実際問題となるとなかなか割り切れないところでもあります・・・

 

今回は、健康保険法の改正のうち、入院時生活療養費に係る生活療養標準負担額の引き上げとそれに伴う境界層該当者についてまとめてみました(最後は食事療養標準負担額の引き上げをからめて、愚痴のようになりましたが)。

もちろん、この他にも法改正はありますので、受験生の皆さまにはしっかり準備をして本試験に挑んでいただきたいと思います。

皆さまの合格を心よりお祈り申し上げます。

最後までお読みいただきありがとうございました。
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本試験直前期に役に立ったことをまとめてみた【社労士試験独習者】

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平成29年8月27日(日)の第49回(平成29年度)社会保険労務士試験に向けて、ラストスパートをかけている受験生の皆さん、お疲れさまです!

今年の受験申込者数は約4万9900人と、5万人を割り込んだとはいえ、これは記念受験層や無勉受験層が減って、むしろ少数精鋭の強者が残っているんだろうと気を引き締めておられることでしょう。

今日は、去年のこの時期、自分がやっていて合格に役に立ったことをまとめてみようと思います(筆者は去年の第48回社労士試験に何とか合格できました)。

残念ながら裏技的なものはありませんが、何かの参考にしてもらえればと思っています。

模試・過去問の復習は徹底的にやる

これは基本中の基本だと思います。

細切れ時間を利用して過去問を繰り返すとか、模試の復習は解説欄の発展箇所も含めて読み込むとか、直前期になってもやるべきことはたくさんあります。

この時期は、自分の苦手な科目に特に時間を割いてもいいかもしれません。

筆者は、労一が苦手だったので、この時期は労一にかける時間を多くしていました。

新しいことをやるのではなく、あくまでも模試と過去問の復習が中心でした。

本試験で、過去問や模試でやったことのある問題が出たときの嬉しさは格別です。

ただ、思い込みによるケアレスミス(同じようにみえて同じではないこともあるので)には要注意です。

やったことのある問題が出たときほど、嬉しさを抑えつつ、慎重に確実に点をいただきましょう。

音読しながら、手書きする

とてもアナログかつシンプルな方法ですが、高校生のころに英単語を覚えるのにやっていた方法です。

覚えたい単語を声に出しながら、手書きする。

これを社労士試験でも応用していました。

社労士試験では、キーワードとなる専門用語がたくさんあり、やっかいなことに似ている専門用語もたくさんあります。

「平均標準報酬月額」と「平均標準報酬額」とか、「支給停止基準額」「支給停止調整開始額」「支給停止調整変更額」など、例をあげればきりがありませんが、とにかくややこしいのです。

これに関しては、真正面から取り組むほかないと思っています。

ただ、英語のテストと異なるのは、書き取り方式ではなく、選択方式だということです。

つまり、自力で100%再現する必要はないということ。

与えられた選択肢の中で正解を選べればよいのです。

しっかり意味を吟味しながら、何度も声に出して手書きした用語は、体に染みついていきます。

すると、間違っている選択肢のちょっとした言い回しに、どことなく違和感を覚えるようになるのです。

違和感のアラームとでも言うのでしょうか。

こうなったらもうけもので、消去法で正解を導くことができます(もちろん選択肢を決め打ちで選べれば一番かっこいいのですけど)。

また、これは、いわゆる目的条文を覚えるために使えます(目的条文の重要性は言うまでもありませんね)。

目的条文を読みながら手書きしていく。

目的条文を暗唱できるようになる必要はありませんが、間違った選択肢に違和感アラームが作動するようになればいいのです。

地味な作業ですが、本試験でこそ、違和感アラームは威力を発揮します。

どうしても覚えられない数字をカード化する

社労士試験をやっていると、どうしても覚えられない数字や、いつも間違えてしまう数字というのが出てきます。

同じような数字がいろんなところで出てくるので、これはしかたのないことだと思います。

ただ、この「どうしても覚えられない」というのは、個人差があって、ある人には簡単に覚えられるものが、他の人にはどうしても覚えられないということが起こり得ます。

つまり、こればかりは個人の問題ですので、他の人の作ったものは役にたたないということです。

たとえば、筆者の場合、なぜか徴収法の第3種特別加入保険料率が、1000分の3だか5だかでわからなくなるのです(正解は1000分の3です)。

こういう現象はしかたないとあきらめて、自分専用の「どうしても覚えられないカード」を作ることにしました。

カードといっても、市販のちょっと大きめな単語カードに単純に数字を書いた、なんてことのないものなんですけど、これが本番直前にお守りのような存在になっていました。

本番時は、逆に「これだけは完璧に覚えているカード」になっているのです。

社労士試験において、あいまいな知識は、役に立たないどころか有害でもあります。

特に数字に関しては、正確な知識だけが得点に直結します。

それに、本試験でこの数字が出てきたときは、確実に1点取れたという安心感にもつながります。

このカードのおかげでリラックスして本試験に臨むことができたと思います。

白書・統計対策は毎日やる

白書・統計対策の重要性はこれまでに何度か述べてきました。

筆者は、予備校の対策講座のレジュメと受験雑誌の特集号を毎日繰り返し読み込んでいました(去年の7月から本試験前日までこれを実践しました)。

数字を完璧に覚える必要はないと思います。

どんな内容の統計があるのか、だいたい何割程度が該当してるかなど、ざっくりしたところを繰り返し押さえていきました。

最近の傾向として、統計そのものの仕組みを問う問題も出ているので、今思えば、そういう対策もやっておいた方がよかったのかなと思いますが、そこまでは手が回りませんでした。

平成26年の選択労一で失敗した翌年は、統計学の本を買ったりもしましたが、それが役に立ったのかどうかはよくわかりません。

そういうことよりも、統計のトレンドを押さえるとか、白書の問題意識を感じ取るとか、そういうことの方が役に立ったように思います。

ここでも繰り返しになりますが、いかにして違和感アラームの感度を上げていくかということかなと思うのです。

抽象的な表現で申し訳ないのですが、具体的な方法としては、とにかく毎日、白書・統計に触れておくということです。

あとは、白書・統計に関する模試の復習もお忘れなく。

 

なんだか、柄にもなく偉そうなことを書いてしまいましたが、去年の自分を思い出して、自分なりに書けることはないかと考えた次第です。

この時期、心身の健康にも充分に気を配ってください。

暑くない時刻を見計らって、ウォーキングなど軽い運動もお勧めします。

皆さまの合格を心よりお祈り申し上げます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

白書との付き合い方【社労士試験独習者】

オフィス北浦のブログサイトにようこそおいでくださいました。

社労士試験独習者の皆さんは、8月の本試験に向けて、受験勉強に励んでおられることと思います。

筆者は、平成28年度の社労士試験に運よく合格できましたが、去年の今頃を思い返すと、この時期が精神的に一番辛かったように思います。

8月になれば、良い意味で開き直れるのですが、この時期は、学習計画の遅れが気になって、「あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ」と焦っていました。

合格者の体験記は、筆者よりも優秀な方がたくさん書いておられますので、そちらを参考にしていただきたいのですが、この時期、「やろうと思っていてやれていないこと」で一番悩んだ白書対策について、今回は自分なりに少し書きたいと思います。

 

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社労士試験で「白書」といえば、「労働経済白書」と「厚生労働白書」が有名です。

それぞれ、科目としては、労一と社一に対応しており、択一試験だけでなく選択試験対策としても、とても重要なものです(労働経済白書は択一対策、厚生労働白書は選択対策のようなイメージもあるかもしれませんが、必ずしもそうとは言い切れないと思います)。

個人的には、いつも前年に両白書を購入して、「時間のあるうち(年内)に通読しよう」などと計画を立てるのですが、なかなか思うように進まず、7月ころになると「あー、全然読めてない」となって、「読むべきか、読まざるべきか」で悩んでいました。

結論から言います。

読まなくていいです。

この時期、もっとやるべきことはあるはずです。

計画通り進んでいないのなら、なおさらのことです。

理由はシンプルです。

白書そのものを読んでいなくても、致命傷にならないからです。

ただ、これは、白書・統計対策をしなくていいと言っているわけではありません。

むしろ、白書・統計対策は絶対に怠ってはいけません

ではどうしたらよいのか。

ここは、情報を買ってください

具体的には、各予備校の白書・統計対策講座を受講する、受験雑誌の特集号を購入するといった方法があります。

また、模試の復習に関しても、白書・統計分野の問題は特に念入りに確認するべきです(模試というのは、力試しという意味もありますが、各予備校から「予想問題という情報」を買うという意味で利用した方がいいと思います)。

そもそも、試験問題の出題は、労働経済白書と厚生労働白書に限ったものではありません。

受験生だけでなく、各予備校でさえも、予想していなかったような白書や統計から出題されることもあります(平成28年度の選択労一などはその例です)。

とすれば、いくら労働経済白書と厚生労働白書を読み込んでも、試験対策として万全とはいえないのです(ましてや、その他のたくさんの白書や統計を読み込むことなど到底不可能なことです)。

そうであれば、ここは素直に予備校など他人の力を借りて、情報を買う方が、効率的で効果的だと言わざるをえません。

ちなみに、去年の筆者は、模試と白書対策講座はLECを利用し、受験雑誌は「社労士V」を購入していました(ただし、どの予備校がいいとか、どの受験雑誌がお勧めとかいうものではありませんので、ご参考までという程度です)。

 

以上、社労士試験対策として、白書を読むべきかどうかという問題を考えてみました。

労働経済白書も厚生労働白書も、読み物としてはとても興味深く面白いものです。

本試験が終わったあとに(合格されたあとに)、じっくり腰を据えて読み込んでみてはいかがでしょうか。

皆さまの合格を心よりお祈り申し上げます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。