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障害厚生年金のここがありがたい!

社会保険労務士が紹介する障害厚生年金のありがたい5つのポイント

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社会保険手続を中心に弁護士業務や成年後見業務をサポートしている社会保険労務士の徳本博方です。

今回は「障害厚生年金のここがありがたい!」というテーマで、障害厚生年金のありがたいポイントを5つご紹介したいと思います。

障害年金は、障害基礎年金(国民年金)と障害厚生年金に大きく分かれますが、弁護士の先生方や法律事務職員のみなさまとお話していると、意外とこの2つの違いを意識されていない場合があります。

障害の程度を確認した際に「厚生年金加入期間中だったらよかったのですけどね・・・」などと申し上げても、ピンとこない人もいらっしゃいます。

障害厚生年金のポイントをご紹介しながら、できるだけ障害基礎年金との異同もご説明できればと思っていますので、ご参考にしていただければ嬉しいです。
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障害厚生年金が支給されるのはどんな人?

障害厚生年金のポイントを知る前に、まず障害厚生年金はどのような人に支給されるのかを確認しておきましょう。

それは、初診日が厚生年金に加入している間にあるかどうかで判断されます。

初診日とは、障害の原因となった病気やケガについて初めて医師または歯科医師の診療を受けた日のことです。

発症した日を基準にするのではなく、初診日を基準にするという点は注意が必要です(知的障害のように生まれながらの障害の場合には出生日を初診日として取り扱う場合もありますが、原則として初めて診療を受けた日が初診日となります)。

たとえば、厚生年金に加入している人が、会社に勤めている間は何となく体調が悪いと思いつつ、忙しくて病院に行けなかったような場合で、退職後に初めて病院に行って診療を受けたという場合には、初診日が厚生年金に加入している間にないことになり、障害厚生年金の対象にならないケースも考えられます(このような場合でもすぐに諦めるのではなく、厚生年金に加入している間に何とか初診日として認めてもらえる日がないか探すことをお勧めします)。

この他にもいわゆる保険料納付要件も必要となりますが、これは障害厚生年金だけでなく障害基礎年金にも共通しています。

 

ありがたいポイント1 障害厚生年金には3級・障害手当金の制度がある

障害厚生年金最大の特徴は、3級と障害手当金の制度があることです。

障害厚生年金は、障害の重さによって1~3級と障害手当金に区分されています(重い方が1級)。

これに対して、障害基礎年金(国民年金)は1級と2級しかありません。

つまり、障害厚生年金の1級・2級に該当した場合には、併せて障害基礎年金の1級・2級が支給されるのですが、障害厚生年金の3級や障害手当金に該当した場合には、障害厚生年金(3級・障害手当金)だけが支給されるということです。

これは裏を返せば、障害基礎年金しか該当しない人(初診日が厚生年金の加入期間にない人)が3級や障害手当金相当の障害を負った場合には、障害年金はまったくもえらえないということを意味します。

この違いは大きいです。

たとえば、交通事故などで下肢の3大関節の1つに人工関節をそう入置換することになったような場合であれば、障害年金の等級は3級に該当するのが原則です。

そうすると、被害者が障害厚生年金に該当する人(初診日が厚生年金の加入期間にある人)であれば、3級が認定されて障害厚生年金が支給される可能性が高いのですが、障害基礎年金しか該当しない人の場合(初診日が厚生年金の加入期間にない人)には、3級では障害基礎年金が支給されないので、より重い2級以上に該当するかどうかが問題になってきます(2級以上に該当しなければ障害年金はまったくもらえないということです)。

なお、人工関節=3級というイメージが強いですが、機能障害の状態などによっては2級以上に認定される場合もありますので、諦めずにしっかりと確認されることをお勧めします。

 

ありがたいポイント2 障害厚生年金は初診日が65歳以上であっても可能性あり

障害厚生年金は、初診日が厚生年金に加入している間にあるかどうかで判断すると先ほど述べましたが、厚生年金は原則70歳まで加入できますので、その期間内に初診日があれば障害厚生年金を受給できる可能性があるということです。

これに対して、障害基礎年金(国民年金)の場合には、原則として、少なくとも65歳までに初診日がなければいけません(65歳以上でも国民年金に任意加入している場合や2号被保険者になっている場合には例外的に障害基礎年金の対象になる場合もありますが、このようなケースでは65歳以上の時点で老齢年金の受給期間を充たさないことが前提ですので、現実問題としてはこのような場合に障害年金の保険料納付要件をクリアできるのかはかなり厳しいところです)。

つまり、障害年金がもらえる可能性のある年齢が障害厚生年金の方が有利になっているということです。

もっとも、65歳以上の厚生年金加入期間内の初診日の場合、老齢年金の受給資格を有している人については障害基礎年金の支給はありません(つまり、この場合、1級や2級に該当しても、障害基礎年金は支給されず、障害厚生年金だけが支給されるということです)。

また、年金には1人1年金の原則がありますので、老齢基礎年金と障害厚生年金は併給できません(これに対して、例外的に障害基礎年金と老齢厚生年金は併給できます)。

ですので、このような場合には老齢基礎年金や老齢厚生年金の額と障害厚生年金の額を比べてみることになるでしょう(また、受給額だけでなく、老齢年金は課税対象ですが、障害年金は非課税なので、この点も考慮することになります)。

 

ありがたいポイント3 障害厚生年金には配偶者の加給年金がある

次に障害厚生年金の支給額についてみていきましょう。

支給額に関する障害厚生年金のありがたいポイントとしては、配偶者の加給年金があります。

障害厚生年金の支給額を簡単に説明すると、

【1級】(報酬比例の年金額) × 1.25 + (配偶者の加給年金額)

【2級】(報酬比例の年金額) + (配偶者の加給年金額)

【3級】(報酬比例の年金額)

のようになります。

このように、1級と2級には配偶者の加給年金が認められています(残念ながら3級にはありません)。

この配偶者の加給年金は、障害年金の受給者に生計を維持されている65歳未満の配偶者がいるときに加算されるものです(その配偶者が障害年金を受給している場合など一定の場合には支給停止になります)。

配偶者の加給年金の額は2019年4月現在で年額224,500円です。

これに対して、障害基礎年金(国民年金)の場合には子の加算が認められています。

ところで、この配偶者の加給年金に関して、「自分は独身だからあまり関係ない」と思われた人もいるかもしれません。

しかし、この配偶者の加給年金は、受給権取得時に対象となる配偶者がいる場合だけでなく、受給権取得後に婚姻して、新たに対象となる配偶者が生じた場合でも、手続きをすればもらえるようになります。

そのような場合には、手続き忘れのないようにご注意ください。

 

ありがたいポイント4 障害厚生年金には300月みなし制度がある

支給額に関する障害厚生年金のありがたいポンイントはまだあります。

それは300月みなし制度です。

前述のように、障害厚生年金の受給額は「報酬比例の年金額」が基本です(1級の場合には報酬比例の年金額は1.25倍で計算されます)。

この「報酬比例の年金額」の計算は少し複雑なので省略しますが、年金額計算の基礎とされる被保険者期間が長ければ長いほど年金の金額は多くなるのが原則です(障害認定日(原則として初診日から1年6月経過日)の属する月後の被保険者期間は年金額計算の基礎とはされません)。

逆にいえば、障害認定日の属する月までの被保険者期間が短い人の場合、それほどの金額にはならないということです。

そこで、この300月みなしが効いてきます。

これは、被保険者期間が300月未満の場合は、300月とみなして計算する制度です。

300月=25年です。

極端な例でいえば、仮に1ヶ月しか働いていなくても、その間に初診日があれば、25年間働いたものとみなして障害厚生年金の「報酬比例の年金額」を計算するということです(この場合にはもらえる金額は300倍になるということです)。

なお、障害手当金の場合には「報酬比例の年金額」の2年分が一時金として支給されます(一時金というのは、定期的・継続的にもらえる年金とは異なり、1度しかもらえないという意味です。簡単に言えば、一括払いということです)。

これに対して、障害基礎年金(国民年金)の場合には、被保険者期間に関係なく、一律の定額制です。

2019年4月現在の障害基礎年金の額は、年額で1級975,125円、2級780,100円です(対象となる子がいる場合には子の加算もあります)。

 

ありがたいポイント5 障害厚生年金には最低保障額制度がある

支給額に関する障害厚生年金のありがたいポンイントはさらにあります。

それは最低保障額制度です。

この最低保障額制度は障害厚生年金の受給権者が障害基礎年金(1級・2級)をもらえない場合(主に障害厚生年金3級や障害手当金の場合)に認められています。

その額は、障害基礎年金2級の3/4に相当する額とされ、2019年4月現在年額585,100円です(障害手当金の場合はその2倍の1,170,200円が最低保障額です)。

一般的に、若いころの給与や賞与は安く抑えられていることが多いので、300月みなしで計算したとしても、障害厚生年金の額が障害基礎年金2級の額の3/4にすら満たない場合もあります(若い人だけに限りませんが)。

障害基礎年金がもらえる1級や2級の人であればまだいいのですが(2019年4月現在の障害基礎年金の額は、年額で1級975,125円、2級780,100円)、そうでない人であれば障害厚生年金だけではもらえる金額が少なすぎるということもありえます。

そこで、障害基礎年金をもらえない人(主に障害厚生年金3級や障害手当金の人)に関しては、最低保障額を設けて救済をしているというわけです。

 

さいごに

以上「障害厚生年金のここがありがたい!」というテーマで、障害厚生年金のありがたいポイントを5つご紹介いたしました。

この他にも、障害厚生年金3級の場合には、精神障害などの場合に就労していても比較的認められやすい傾向もあり、これもありがたいポイントの1つです。

繰り返しになりますが、障害厚生年金がもらえるかどうかは、初診日が厚生年金加入期間内にあるかどうかで判断されます。

ですので、会社の健康診断で引っかかった場合や、心や体に不調を感じた場合などには、できるだけ速やかに医療機関を受診されることをお勧めします(受診時には確定的な診断が出ていなくても、後になってその日が初診日と認められることもあります)。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事がみなさまのお役に立てれば幸いです。

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前後の記事

前の記事:てとて障害年金支援プロジェクトへの道 その2

後の記事:法律事務職向 覚えておきたい社会保険の基礎知識 ~交通事故編 その4~

専業主婦になれば、国民年金の保険料を払わなくていいって本当ですか?【年金の常識7】


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「いまさら聞けない 年金の常識」シリーズです。

社会保険労務士である筆者が受けた相談や質問から、意外と間違えやすい年金の仕組みを回答していきます。

第7回目の質問はこちらです。

 

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質問「専業主婦になれば、国民年金の保険料を払わなくていいって本当ですか?」

回答:必ずしもそうとは限りません。国民年金の第3号被保険者になることができれば、国民年金の保険料を払う必要はなくなります(その期間は、保険料を全額払ったものとして、将来の老齢基礎年金の受給額が計算されます)。

 

国民年金の第3号被保険者とは、会社員や公務員など国民年金の第2号被保険者(夫など)に扶養される配偶者の方(20歳以上60歳未満)が対象です。

また、第3号被保険者になるためには、いわゆる「130万円の壁」の収入要件もあります。

収入要件とは、年間収入130万円未満(60歳以上又は障害者の場合は、年間収入180万円未満)かつ①同居の場合:収入が扶養者(被保険者)の収入の半分未満、または②別居の場合:収入が扶養者(被保険者)からの仕送り額未満であることが原則です。

つまり、夫が会社員(第2号被保険者)で、かつ収入要件を充たす場合には、専業主婦は第3号被保険者となり、国民年金の保険料を払わなくてもよいということなのです。

ですので、次のような人は専業主婦であっても第3号被保険者にはなれません。

  • 夫が、自営業やフリーランス、非正規社員などで、国民年金の第2号被保険者ではない(会社員や公務員で厚生年金の被保険者ではない)
  • 自分自身に在宅の事業収入があったり、不動産収入があったりして、収入要件を充たさない
  • 自分自身が、雇用保険の失業等給付、公的年金、健康保険の傷病手当金や出産手当金を受けていて、収入要件を充たさない

このように、夫がどのような形態で働いているか、妻がどのくらい収入があるかによって、第3号被保険者になれるかどうかが決まるというわけです。

なお、第3号被保険者制度は、妻の場合にのみ適用されるものではなく、夫であっても適用されます。

 
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国民年金保険料をアルバイト先に半分払ってもらえますか?【年金の常識6】

いまさら聞けない 年金の常識(6) ~国民年金保険料の事業主負担

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第6回目の質問はこちらです。

 

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質問「国民年金保険料をアルバイト先に半分払ってもらえますか?」

回答:当然にはできません。国民年金には、厚生年金のように労使折半の制度はありません

 

この質問は、「社会保険料は労使折半」という制度をアルバイトの場合でも使えるのかという趣旨だと思います。

「労使折半」の労使とは、労働者と使用者という意味です。

そして、労働者とは、色々な定義がありますが、働いて賃金をもらっている人というものが一般的ですので、アルバイトも労働者に含まれるのなら、アルバイトの場合でも年金保険料をアルバイト先と折半できるのではないのかと思われたのでしょう。

しかし、この場合の労働者は、厚生年金の被保険者(厚生年金に加入している人)という意味で、アルバイト(労働者)であっても厚生年金に加入していない人(=国民年金を払っている人)はこれには含まれません。

逆に言えば、アルバイトであっても厚生年金の被保険者であれば、法律上当然に保険料は労使折半になるということです。

つまり、同じアルバイトであっても、厚生年金の場合には、厚生年金保険料は労使折半になりますが、国民年金の場合には、国民年金保険料は、全額が自己負担ということです

なお、アルバイト先が国民年保険料の半額相当額を賃金に上乗せして支払ってくれる場合もあるかもしれませんが、それはあくまで任意なのであって、法律上当然に請求できるものではありません。

最後に少し余談ですが、厚生年金の被保険者であれば、会社の経営者(一般的には労働者ではなく使用者)であっても、社会保険料は会社と折半になります。

この場合「使使折半」という方が正しいのかもしれません(そもそも「労使折半」は法律上の用語ではないので、あまり正確な表現ではないということです)。
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厚生年金しか払っていませんが、将来国民年金ももらえますか?【年金の常識5】

いまさら聞けない 年金の常識(5) ~厚生年金保険料と国民年金受給金額の関係

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第5回目の質問はこちらです。

 

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質問「厚生年金しか払っていませんが、将来国民年金ももらえますか?」

回答:はい、もらえます(資格期間が10年以上必要です)。厚生年金の被保険者は、原則として国民年金の第2号被保険者となりますので、その期間(20歳以上60歳未満)は国民年金の老齢基礎年金の受給金額にも反映されます

 

会社員などの厚生年金の被保険者は、国民年金の第2号被保険者となりますが、国民年金保険料を別途支払う必要はありません。

厚生年金の保険料には、国民年金の保険料に相当する部分が含まれているとお考えください。

国民年金保険料を支払う義務があるのは、自営業者などの国民年金第1号被保険者です

ただし、将来老齢年金をもらうには、保険料納付済期間(国民年金の保険料納付済期間や厚生年金保険、共済組合等の加入期間を含む)と国民年金の保険料免除期間などを合算した資格期間が原則として10年以上必要です(ちなみに、平成29年7月31日までは、この資格期間が25年以上必要でしたが、法律が改正されて同年8月1日から10年に短縮されました)。

ざっくり言えば、厚生年金に加入していた期間と、国民年金の保険料を支払った期間などが合わせて10年以上必要というわけです(正確には、国民年金第3号被保険者であった期間や、ちゃんと手続きをとって国民年金の保険料の免除や猶予を受けた期間なども、この10年間には含まれます)。

この点、厚生年金と国民年金の加入期間が、それぞれ最低10年必要と勘違いされている人がいらっしゃいますので、お間違えのないようにお願いいたします。

合わせて10年以上あれば大丈夫です(必ずしも老齢基礎年金を満額もらえるわけではありません)。

逆に言えば、資格期間が合わせて10年にも満たない場合には、老齢年金は原則もらえないというわけです。

たとえば、会社員(厚生年金の被保険者)を5年間続けた後、自営業を始めて国民年金の第1号被保険者となった場合には、最低あと5年間は国民年金保険料を納めないと、原則として、国民年金だけでなく厚生年金についても、一切老齢年金はもらえなくなります

その場合、かけた保険料はもどってくるのかといえば、原則として、そのような制度はありません。

もったいない話ですが、掛け捨てになります。

せっかくかけた保険料を無駄にしないためにも、国民年金の保険料はしっかり納めましょう。

経済的に国民年金の保険料を納めることが困難な場合にも、免除や猶予の制度が使える場合もありますので、あきらめずに行政機関の窓口などで相談してみてください。
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親が亡くなったら、子が成人していても遺族年金はもらえますか?【年金の常識4】

いまさら聞けない 年金の常識(4) ~成人の子の遺族年金受給の可否

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第4回目の質問はこちらです。

 

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質問「親が亡くなったら、子が成人していても遺族年金はもらえますか?」

回答:もらえません。遺族年金の対象者には、国民年金の場合でも、厚生年金の場合でも、成人(20歳以上)の子は含まれていません

 

国民年金(遺族基礎年金)の対象者は、死亡した者によって生計を維持されていた、「子のある配偶者」、「子(子とは18歳到達年度の年度末を経過していない者または20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の障害者に限ります)」です。

厚生年金(遺族厚生年金)の対象者は、死亡した者によって生計を維持されていた、「妻」、「子、孫(18歳到達年度の年度末を経過していない者または20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の者)」、「55歳以上の夫、父母、祖父母(支給開始は60歳から。ただし、夫は遺族基礎年金を受給中の場合に限り、遺族厚生年金も合わせて受給できます。)」です。

つまり、遺族年金の対象になる「子」というのは、18歳到達年度の年度末を経過していない者(ざっくり言えば高校生以下)か20歳未満の障害者である必要があるのです。

かつては、公務員等の共済年金制度においては、障害者の場合20歳以上であっても遺族年金の対象になっていた制度もあったのですが、平成27年(2015年)10月1日以降は被用者年金一元化によって、厚生年金の制度に統一されました。

親の年金を生活の基礎にしている成人の子(引きこもりや障害者などさまざまな理由はあると思いますが)は、親が亡くなっても、親の遺族年金をもらうことはできませんので、早めに経済的な自立方法を模索しておく必要があります。
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未成年でも、厚生年金の保険料は払わなくてはいけないのですか?【年金の常識3】

いまさら聞けない 年金の常識(3) ~未成年の厚生年金保険料

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第3回目の質問はこちらです。

 

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質問「未成年でも、厚生年金の保険料は払わなくてはいけないのですか?」

回答:はい、そのとおりです。20歳未満であっても、会社員(厚生年金の被保険者)であれば、厚生年金の保険料を払わなくてはいけません

 

たとえば、高校卒業後すぐに就職をして厚生年金の被保険者となったような場合、20歳未満であっても、厚生年金の保険料を払わなくてはいけません。

ここで間違えやすいのは、国民年金(第1号被保険者)の場合、20歳になってから保険料の支払い義務が生じる(20歳未満の場合には保険料は払う必要がない)という点です。

たとえば、高校卒業後に短時間のアルバイト(厚生年金の被保険者になっていない)として働くような場合には、20歳になるまでは、国民年金の保険料は払わなくていいということです。

厚生年金の場合と国民年金(第1号被保険者)の場合で制度が異なりますので、注意が必要です。

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このように回答をすると、さらに「厚生年金の保険料には、国民年金の保険料(に相当するもの)も含まれているということですが、20歳未満の期間は国民年金(老齢基礎年金)の金額には反映されないと聞きました。もらえない年金の保険料を払うのはいやなので、20歳になるまで、厚生年金保険料がその分安くならないのですか?」という質問をされることがあります。

もっともな質問だと思います(かなりするどい質問です)。

ただ、残念ながら、保険料が安くなるような制度はありません。

20歳未満であっても、厚生年金の保険料は20歳以上の人と同じ方法で計算します

20歳未満であっても、厚生年金の被保険者は、「国民年金の第2号被保険者」になっているのです。

もっとも、ご心配のように、20歳未満の期間が老齢年金の金額にまったく反映されないというわけではありません(老齢厚生年金には20歳未満の期間も全額反映されます)。

たしかに、国民年金の老齢基礎年金の場合には、20歳未満の期間は金額に反映されませんが、その部分は別に厚生年金の経過的加算という制度で反映されることになっています(ただし、経過的加算には上限がありますので、すべてが反映されるとは言い切れません。これは少し難しい話になりますので詳細は省略します)。
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親の扶養に入れば、子の国民年金の保険料は払わなくていいのですか?【年金の常識2】

今さら聞けない 年金の常識(2) ~被扶養者である子と国民年保険料の関係

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社会保険労務士である筆者が受けた相談や質問から、意外と間違えやすい年金の仕組みを回答していきます。

第2回目の質問はこちらです。

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質問「親の扶養に入れば、子の国民年金の保険料は払わなくていいのですか?」

回答:そのような制度はありません。原則として、子が20歳になれば、子の国民年金の保険料の支払い義務が生じます。

 

解説

この質問は、会社員の妻などが被扶養配偶者として国民年金の第3号被保険者になった場合に、国民年金の保険料を払わなくていいという制度を、子の場合にも適用できるのではないかと勘違いされているものと思われます。

国民年金の第3号被保険者になれるのは、配偶者などの場合で、子の場合には適用されませんので、子が20歳になれば原則として子の国民年金の保険料を払わなくてはいけません。

なお、間違えやすい制度に、健康保険の被扶養者制度があります。

健康保険の被扶養者には子も含まれますので、子が被扶養者の要件を充たす場合には、親の(勤務する職場の)健康保険の被扶養者となれます。

子が親の健康保険の被扶養者になった場合には、子が国民健康保険に加入する必要はありません。

厚生年金と健康保険は、意外と混同しやすいので、注意が必要です。

 

経済的な理由などで国民年金保険料の支払いが困難な人には、免除や猶予という制度が用意してあります。

国民年金保険料が「未納」とならないように、積極的に免除や猶予の制度を活用していただければと思います。

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保険料を払いたくないので、年金を辞めることはできますか?【年金の常識1】

いまさら聞けない 年金の常識(1) ~保険料支払い忌避による公的年金の辞退(任意脱退)

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今回から「いまさら聞けない 年金の常識」シリーズをスタートします。

社会保険労務士である筆者が受けた相談や質問から、意外と間違えやすい年金の仕組みを回答していくという企画です。

第1回目の質問はこちらです。

 

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質問「保険料を払いたくないので、年金を辞めることはできますか?」

回答:できません(国民年金、厚生年金)。

 

国民年金にしても、厚生年金にしても、要件を充たす人は加入する義務が法律で定められています。

公的な年金は、民間の保険のように、任意で入ったり辞めたりすることはできないのです(強制加入です)。

国民年金の場合は、原則20歳以上60歳未満の日本国内に住む人であれば強制的に加入しなければなりません。

厚生年金の場合は、常時従業員を使用する会社などの適用事業所に勤務している70歳未満の人で、臨時に使用される人や季節的業務に使用される人を除いて、就業規則や労働契約などに定められた一般社員の所定労働時間及び所定労働日数の4分の3以上ある従業員は原則加入義務があります(また、所定労働時間及び所定労働日数が4分の3未満の従業員でも「短時間労働者」として加入義務が生じる場合もあります)。

厚生年金の保険料は給料から控除されるのが一般的ですので、それほど問題にはなりませんが、国民年金の場合は保険料を滞納すると、将来の老齢年金の額が少なくなったり(もらえなくなったり)、障害年金をもらうための資格を充たさなくなったり、強制的に差押を受けたりといった様々な不利益が生じるおそれがあります。

国民年金の場合、経済的理由などで保険料を払えない人には、保険料の免除や猶予の制度が使える場合もありますので、あきらめずに行政機関の窓口などでご相談されることをお勧めいたします。
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「第8回法律事務職員勉強会」開催のお知らせ

第8回法律事務職員勉強会のご案内

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今回は、勉強会のお知らせです。

筆者は、オフィス北浦代表者として、偶数月に勉強会を開催しています。

その勉強会ですが、

日時:2018年4月13日(金) 18時00分~19時30分

場所:山口県萩市内 ※場所の詳細はご参加者に追ってご連絡いたします

参加料:無料

のとおり行います。

今回からは、この勉強会を「法律事務職員勉強会」として、法律事務職員さん向けに実務で役立つ内容に特化していこうと思っています(弁護士の法律事務所の職員さんに限らず、司法書士や行政書士の事務所の職員さんも歓迎します)。

今回のテーマは「障害年金の精神障害等級判定ガイドラインを読む」です。

平成28年9月から実施されている「国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン」は、精神障害及び知的障害の認定が障害認定基準に基づいて適正に行われ、地域差による不公平が生じないようにするために定められたものです。

法律事務職員の皆さまにとっても、精神障害者などの成年後見業務において、障害年金の請求に関わることがあると思いますが、その際に等級認定の仕組み(診断書のどの欄を確認すべきかなど)を知っておくことは有用なことではないでしょうか。

この機会に一度ガイドラインをちゃんと読んでみませんか?

勉強会の参加費用は無料です。

なお、勉強会の後に飲み会を開きますので、よろしければ、こちらにもご参加いただければと思います(飲み会は、会費として3000円をいただきます)。

興味のある方やご参加希望の方は、

info@officekitaura.jp

まで、メールでお問い合わせくださいませ。

お申し込みの締め切りは3月30日(金)までといたします。

よろしくお願いいたします。

成年後見人が遺族年金請求を行う際の請求者の氏名の書き方

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社会保険労務士の徳本博方です。

今回は、成年後見人が遺族年金(遺族基礎年金や遺族厚生年金など)を本人さんに代わって請求する場合に、年金請求書の請求者欄の氏名をどのように書けばよいかを述べたいと思います。

具体的には、①請求者氏名は誰の名前を書くか、②押印は誰のものが必要かの2点について、本人(成年被後見人)さんを甲山A子さん、成年後見人さんを乙川B男さんとして考えていきます。
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まず、年金請求をする権利があるのは、当然A子さんです。

ただ、A子さんには判断能力がほとんどないので、その法定代理人として、成年後見人であるB男さんが手続きを行います。

なお、B男さんが成年後見人であることの証明は、法務局が発行する成年後見の登記事項証明書によって行います(この場合、A子さんからの委任状は不要です。A子さんはそもそも委任ができる状態ではないからこそ、成年後見人が選任されているのです)。

とすれば、A子さんに代わって成年後見人のB男さんが、①請求者氏名を「甲山A子」と記名し、②「甲山印」を押捺すれば足りるのではないかとも考えられます。

たしかに、社会保険労務士が一般の人(成年被後見人でない人)から依頼を受けて年金請求を行う際には、請求者欄には、本人の名前を記名押印したうえで、社会保険労務士欄に提出代行者(ないし事務代理者)として記名押印します。

それとパラレルに考えるなら、ここでも「甲山A子 + 甲山印」でいいようにも思えます。

しかし、社会保険労務士の行う提出代行や事務代理は、民法上の代理制度とは厳密には異なる制度ですので、これを法定代理の場合にそのまま当てはめるのは適切ではないでしょう。

そもそも、成年後見人が本人を代理して契約等を行う際には「甲山A子 成年後見人 乙川B男」と書き、「乙川印」を押捺するのが一般的です。

民法の代理の規定からすれば、代理人であることを示すことが原則だからです(これを顕名といいます)。

そうであれば、登記事項証明書で成年後見人であることを示したにもかかわらず、顕名をせずに本人「甲山A子」名義の文書を作成するというのは不自然なので(その効力は別として)、年金請求の場合にも①「甲山A子 成年後見人 乙川B男」と書き、②「乙川印」を押捺するのが正しいようにも思えます。

「甲山A子 + 甲山印」か、「甲山A子 成年後見人 乙川B男 + 乙川印」か悩むところです。

では、実務ではどうしているのでしょうか。

この場合には、①請求者欄の氏名欄には本人の氏名を「甲山A子」と書くが、②本人の押印は不要、さらに③欄外に「甲山A子 成年後見人 乙川B男」と書き「乙川印」を押すという扱いになっています。

実際には請求書の「性別」欄の横の欄外に多少余白があるので、そこに③の成年後見人の署名押印をすることになるでしょう。

この書き方は、請求書3ページの履歴欄に「職歴について、被保険者記録照会回答票の内容どおり相違ありません。」と添える場合の氏名や、7ページの生計維持証明の氏名欄を書く際にも同じように行います。

ちなみに、未支給年金の請求書でも同じなのですが、この書式には欄外の余白がほとんどないので、ちょっと困ります(しかたないので筆者は氏名欄に詰めて記載するようにしています)。

 

以上、成年後見人が遺族年金請求を行う際の、請求者の氏名の書き方について考えてみました。

成年後見人は、色々な場面で、本人に代わって手続きを行います。

しかし、氏名欄ひとつとっても、行政機関、金融機関、病院や介護施設など、それぞれで求められる書き方が異なります。

正直に言って、とても混乱しているのが現状のように思います(場合によっては、本人の印鑑を執拗に求められることもあります)。

本人欄に加えて、代理人欄が設けられている書式(本人押印不要)が理想的ですが、そうでないなら、せめて本人氏名欄の記載は「甲山A子 成年後見人 乙川B男 + 乙川印」として手続きが行えるように統一してもらえないものかと思うところです。

最後までお読みいただきありがとうございました。
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毎月の給料が変わっても厚生年金保険料や健康保険料が変わらない理由

オフィス北浦のブログサイトにようこそおいでくださいました。

社会保険労務士の徳本博方です。

平成30年2月25日(日)、大阪市の本町で定例勉強会を開催しました。

テーマは「20代・30代シングルのための社会保険基礎知識」でした。

 

筆者はこういう社会保険の基礎知識をご説明する機会には、給料明細や源泉徴収票を正しく読めるようになることを目標にするのですが、その際に皆さまが厚生年金保険料や健康保険料がいつどうやって決まるのかを意外とご存じないことに気づきます。

そこで、今回は厚生年金保険料と健康保険料がいつどうやって決まるのかを簡単にご紹介したいと思います。
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現役社会人の皆さまの中にも「給料の額に比例して決まるんだろうな」と漠然と思っておられる人は少なくないのではないでしょうか(筆者も人のことは言えず、この仕事をする以前は詳しい知識はありませんでした)。

そう思っていらっしゃる人は、もしお手元に給料明細がある場合には、直近の何ヶ月分か(たとえば、12月、1月、2月支給分)を見比べてみてください。

時間外手当などで給料の額が毎月変わっていても、控除欄の厚生年金保険料と健康保険料の金額は変わっていないのではないでしょうか(それに対して、同じ控除欄でも雇用保険料や所得税の金額は増減があると思います)。

どうしてそのようになるかというと、厚生年金保険料と健康保険料の金額は、(毎月変動する可能性のある)給料の額そのものに保険料率をかけて計算するのではなく、「標準報酬月額」に保険料率をかけて計算しているからです(標準報酬月額×保険料率=保険料の金額ということです)。

そして、標準報酬月額は、いったん決まれば、毎月の給料が増減しても原則1年間(その年の9月から翌年8月まで)は変わらないというシステムになっています(保険料の計算を簡単にするためと言われています)。

では、標準報酬月額はいつ決まるのでしょうか。

まず、新入社員の場合は入社時に「資格取得時決定」を行い標準報酬月額が決まります。

そして、入社時以降の標準報酬月額は、1年に1度の「定時決定」(毎年7月1日時点で同日前3ヶ月間(4~6月)の給料の額の平均で9月以降の標準報酬月額を決めること)により決まるのが原則です(なお、定時決定の他にも、連続3ヶ月間の給料に著しい高低が生じた際や育児休業や産前産後休業が終わった際などにも標準報酬月額は改定されます)。

これは、①標準報酬月額が変わるときには、厚生年金保険料や健康保険料が変わるということを意味しています。

また、もう一つ、厚生年金保険料や健康保険料が変わる場合があります。

それは②保険料率が変わるときです。

標準報酬月額が同じでも、保険料率が変われば、保険料の金額が変わるのは当然なことです。

もっとも、一般の会社員の厚生年金に関しては、現在(労使合わせて)18.3%で保険料率が固定されていますので、②保険料率が変わるときというのは、健康保険の保険料率が変わるときということになります。

そして、協会けんぽの場合、原則毎年3月に健康保険料率の変更があります(この他にも40歳になって介護保険の被保険者になったときにも変更があります。65歳未満の人の場合、介護保険料に相当する額は健康保険料に含めて支払いますので、健康保険料が増えることになります)。

まとめると、厚生年金や健康保険は、①標準報酬月額の定時決定が反映される9月分の保険料(保険料は翌月払いなので、10月支給分の給料から控除)と、②健康保険料率が変わる3月分の保険料(4月支給分の給料から控除)1年に2回のタイミングで変わる(それ以外では原則固定されている)ということになります(なお、ちょっとした豆知識ですが、毎年4月に子ども子育て拠出金の保険料率も変わるのですが、これは事業主さんのみが負担するものなので、会社員の皆さまの給料から控除されるものではありません)。

このように原則として固定された保険料は、毎月いくら払うかの見込みが立てやすいという利点がありますが、仮に一時的に給料が減っても、決められた保険料を支払わなくてはいけないという欠点もあります。

極端な例でいえば、保険料が免除されない個人の都合で休業した場合、仮にその月の給料が0円であっても、標準報酬月額が変わらないなら、決められた保険料は支払わなければならないということなのです(その場合は保険料分は持ち出しになることもあるでしょう)。

いわゆる日給月給制や時給制等で基本給が固定されていない給与形態の場合には、特に気を付けたいところです。

 

以上、厚生年金保険料と健康保険料がいつどうやって決まるのかを簡単にご紹介しつつ、給料の増減にかかわらず保険料が変化しない理由をご説明いたしました。

社会保険の正確な知識は、税金の正確な知識と同じくらい大切なことだと思います(独立起業を考えている人には特に大切なことだと思います)。

「税金も社会保険料も給料から天引きだから、あまり関心がない」という人も、少し意識して給料明細を見てみることから始めてみてはいかがでしょうか。

少し宣伝になりますが、筆者は、ときどき社会保険の無料勉強会をやっています。

今回の勉強会では、起業を目指す人の参加があったので、起業者のための社会保険の知識(個人事業の場合と会社を立ち上げた場合の違い)や、人を雇った場合の社会保険の知識(強制適用の要件や事業主負担)についても概要をご説明いたしました。

興味のある人はお気軽にお問合せいただければと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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社会保険労務士・オフィス北浦のブログサイトにようこそおいでくださいました。

前回は、新社会人さんの5月の給料から引かれていく社会保険料について、書きました(詳しくはこちらに)。

簡単に言えば、給料からは、厚生年金保険料や健康保険料が引かれ、手取り額が思った以上に低くなるので、それをふまえて家計管理をしましょうというお話でした。

このお話をすると、ときどきこんな質問を受けます。

「給料から国民年金の保険料が引かれていないけど、まさか別に払うのですか?」

この方は、学生時代からちゃんと国民年保険料を納めてこられた方なのでしょう。

そういう方だからこそ、気になるところだと思います。

というのも、令和7年度の国民年金保険料は1ヶ月あたり1万7510円です。

もしも、結構な厚生年金保険料が給料から引かれたうえに、さらに国民年金保険料を負担するとなれば、本当に気が滅入ってくることでしょう。

でも、ご安心ください。

結論からいえば、厚生年金保険料を払っている方は、更に国民年金保険料を払う必要はありません。

もう少し詳しく言うと、厚生年金に加入している方は、同時に国民年金にも加入しているのですが、第2号被保険者という立場になり、国民年金保険料を支払わなくてよいのです(将来の国民年金はちゃんともらえます)。

まれに、新社会人さんの元に国民年金保険料の納付書が届くことがありますが、これは事務手続上のタイムラグから生じるものですので、厚生年金に加入した後には国民年金の保険料は払う必要はありません(日本年金機構のHPをご参照ください)。

ざっくり言えば、厚生年金保険料の中に国民年金保険料に相当するものが含まれていると考えてもらえればいいでしょう。

そうすると、たとえば、20万円の給料から引かれる厚生年金保険料は1万8300円ですので、この中に国民年金保険料相当(約1万7500円)が含まれていると考えると、逆に厚生年金保険料は安いのではなんて感じもしてきます。

ただ、これには理由がありまして、それは、給料から引かれている厚生年金保険料とほぼ同じ額を、会社が負担してるのです。

つまり、給料から約1万8300円引かれている場合には、会社と合計で約3万6600円の厚生年金保険料を支払っているということになります。

「社会保険料は労使折半」なんてことを聞いたことがあるかもしれませんね。

そういう意味では、厚生年金は意外とお得な感じがしてくるかもしれません(保険料が安いかどうかは別問題ですが)。

今回の話をまとめると、

  • 厚生年金に入っている人は、国民年金の保険料は払わなくていい
  • 給料から引かれている厚生年金保険料と同じ分だけ会社も支払っている

ということです。

是非、この2点は覚えておいていただければと思います。
さいごまでお読みいただきありがとうございました。

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そちらもあわせて読んでいただければ幸いです。